フライフィッシングってどんな釣り?
「フライ」と呼ばれる虫や小魚を模した小さな毛針を使って魚を釣るフライフィッシングは、スポーツフィッシングのなかでもルアーフィッシングに並んで人気の高い釣り方だ。他の釣りと大きく違う点は、独特のキャスティング方法にある。これをマスターするまでには少々時間がかかるが、趣味と言う物はちょっと難しいくらいの方が面白い物でもある。また、「フライ」は出来合いの物を買うこともできるが、本来は自分で作るのがこの釣りの楽しみでもある。そんなフライフィッシングの世界に足を踏み入れてみてはいかがだろうか?
フライフィッシングの主な釣り場は渓流や湖等、淡水でのマス類がメインとなる。最近では大型のフライを使って、シーバス(スズキ)などを釣るのも流行ってきており、その範囲は意外と広い。
しかし、いきなり渓流に行ってもまず簡単には釣ることができないだろう。というのも、フライフィッシッグは他の釣りと違い、キャスティングの方法が異なるからだ。通常の釣りの場合、仕掛けに重りをつけてその重さで仕掛けをポイントに投げたり、沈めたりして釣る。ルアー釣りでもルアーの重さを利用してルアーを投げるが、フライフィッシングは基本的に竿のしなりと、ラインと呼ばれる太い糸の重みを利用して、数回竿を振って毛針を目的のポイントに投げる。このキャスティングがなれないうちは非常に難しく、文章やビデオで見ても簡単に理解できる物ではないのだ。そんな理由から、「フライフィッシングをやってみたいのだけど難しそう」と尻込みしてしまう人も多い。しかし、慣れてしまえばこれほど面白い釣りもないのだ。その面白さを実感するためにも、1日もしくは半日で良いのでスクールに入ってキャスティングを習うことをお勧めする。
どんな道具が必要なの?
フライフィッシングの場合、釣り場や対象魚によって選ぶ竿が変わってくる。竿の長さはだいたい7フィートから12フィートくらいまであり、長ければ長いほど遠くに飛ばしやすくなる。その反面、小さな渓流等では長い竿は木にぶつかってしまったりして扱いにくいと言う欠点もある。
ラインは#2番から#12番くらいと言った単位で揃っており、それにあわせた固さの竿が必要になってくる。#の番号が増えるほど太く重くなるので、竿も固くなってくる。ラインの太さと竿の固さが合わないとキャスティングが難しくなるので注意が必要だ。ほかにもラインの形状によってダブルテーパー、ウェイトフォワード、シューティングテーパーといったラインがあり、浮力がある物をフローティングライン、沈む物をシンキングラインと呼ぶ。それらは記号で表されていることがほとんどで、例えば「DT4F」と書かれていたら、「ダブルテーパー(DT)の#4番(4)フローティングライン(F)」と言う風になる。では、初心者ならどのような竿とラインを選ぶのが良いだろうか?
基本的な考え方として、日本の渓流で釣る場合は、よほど大きな川で釣らない限り、あまり長い竿である必要はない。最初は7フィート6インチから8フィートくらいの#4番か#5番あたりの竿で、ラインもダブルテーパーのフローティングラインで良いだろう。また、湖等でボートの上から釣ってみたい人には9フィート前後の竿で、#6番のウェイトフォワードのフローティングラインが使える物が初心者には扱いやすい。
ラインを巻き取れるリールも必要になってくるが、大抵の場合はスプール(リールの糸を巻く部分)の軸が細いため、50フィート程度の下巻きの糸を巻いてからラインを巻くようにする。これは、ラインに細い軸の巻き癖が着かないようにするためだ。また、フライフィッシングでは、よほどの大物を引っ掛けた場合以外はリールでやり取りをすることはない。ほとんどの場合は、糸を手でたぐり寄せて魚とファイトを行うので、リールはラインホルダーとしての役割がメインになるのだ。そのため、あまり高価な製品を買う必要はなく、ラインの収納時にスムーズに巻けるのなら、4000円くらいから買える安価な物でもかまわないだろう。
その他に、ラインの先端につけるテーパー状の糸であるリーダー、フライを取り付けるための細い糸のティペットと呼ばれる糸が必要になってくる。あとはエサの変わりになるフライがあれば、一通りの釣りができる。欲を言えば、釣った魚をキャッチするためのネットと魚籠があると良いだろう。