当日は天候も良く風も順調に吹き、まさにテストフライト日和で、繰り返し何度も飛ばすのを見る事ができた。最後には取材陣や金沢アートプラットフォームの参加作家もゴム曵き隊に加わり、筆者も実際にゴム曵きを体験することができた。はじめに八谷氏よりゴム曵きにおける心得を伝授いただき、M-02を設計しているオリンポスの四戸哲氏に実際にゴム曵きの行ない方やコツ、危険を回避するための注意などを受けた。ゴム(といっても結構太いロープのようなもの)を引っ張りはじめる位置まで全員で運び、引っ張る位置で、先端からかけ声とともに、身体の向きを引っ張ってきた方向に変える。これによって、全体中をかけてゴムを引っ張った状態で保つ訳だ。後は「離せ!」のかけ声で一斉に全員手を離すと、M-02が浮上し、ゴム曵き隊のいる側に飛行してくる、という訳だ。この時、正面から向かってくるM-02の勇姿を目の当たりにすることができるわけで、これには何度も飛ぶ姿を横から眺めていても、感動する。これこそがゴム曵き隊の特権、醍醐味というわけだ。

みんなでゴム曵き

いよいよゴムを離す瞬間が

正面から見たM-02の飛行

スタート位置までは人力で戻すがそれほどの重労働ではないそうだ

金沢アートプラットフォームの参加アーティストで、人々の夢をLED発光する「夢のたね」にのせ、空から大量の光の種を降らせるというプロジェクトを進行している高橋匡太氏もゴム曵き隊に参加した。高橋氏がゴム曵きに参加する際のフライトでは、八谷氏が自分の「夢のたね」を持って離陸し、空中で放つ、というコラボレーションが実現した。

機体右の翼の付け根部分に注目して欲しい。はねのすぐ下に八谷氏が離陸すると同時に放った「夢のたね」が

「夢のたね」の高橋匡太氏

ゴム曵き隊にはこれまで何度もボランティアで参加しているベテラン(?)のゴム曵き隊員がいて、この中には"鳥人間コンテスト"に出場している航空工学を学んでいる学生もいるそうだ。当然の事だが、OpenSkyプロジェクトにはこうした専門分野に進む学生やプロフェッショナルが関わっており、夢が現実のものになりつつあるのだ。ジェットエンジンを搭載して飛行する姿を見る事ができるのも、そう遠くない未来になりそうだ。

風向きはこの『TARO鯉』でチェックするそうだ

会場となった金沢市民芸術村アート工房PIT5では関連した展示を行なう「OpenSky展」が11月9日まで行なわれている。会場ではOpenSkyプロジェクトのこれまでの経過がわかる、初期段階からのモデルや記録資料を展示している。また、手軽に飛行体験ができる実機を模したフライトシミュレーターなどを展示している。このフライトシミュレーターはいくつかの質問にクリアして参加できるもので、誰でもチャレンジできる。また、11月8日、9日には八谷氏によるワークショップも行なわれる予定だ。