メカ好きなら部品製作場へ!

さて、鉄道ファンとしてはもう少し電車工場を見物したいもの。この日は機体組立工場のほかにも、様々な工場等が公開されていた。ステンレス板を加工する機械、スポット溶接ロボット、3次元レーザー加工機、内装取り付けラインなどを間近に見られる。ただし、車体組み立てほどの迫力はないし、説明されないと何をしているかわからない機械も多い。なぜかというと、工場内は徹底的に自動化と安全管理が行き届いていて、機械のそばに近づけないのだ。これは良いことなので、つまらないなんて言ってしまってはバチが当たる。

それでも来場者に理解してもらおうと、この日のために職員さんたちは様々な工夫をしている。機械のそばにカメラを置いてテレビモニターで見せてくれたり、説明用のポスターを貼ったり、加工前後の部品を展示してくれたり。ここまでしてくれれば、鉄道ファンだけではなく、工作機械、自動機械のファンも楽しめるだろう。

金属板折曲機「サスケ」

一枚の板をこんな風に加工する

3次元レーザー加工機はモニタで見学

加工製品のサンプルに触れた

吸盤で金属板を移動させる機械

スポット溶接ロボット

内装工場では運転台で記念撮影できた

できたての運転台だ

床下機器を取り付けるライン

内装工場。これからシートを取り付ける

その中でも感動した場所は「台車製造センター」だ。普段、私たちがじっくり見られない部分だけに興味深い。職員さんたちもPOP広告のような看板を貼って、台車の各部分を説明している。できたての台車はとてもきれいで、コードのコネクタはビニールで覆われている。その姿は新しいデスクトップPCに通じる。新品のにおいっていいな。ウチにも一個ほしいな……。いや、それは冗談ですが。

台車なんて無骨なだけの部品だと思っていたが、E233系の台車には小さなコードが張り巡らされている。説明係の方に伺うと、「ひとつの台車に4つの車輪が付いています。その1つひとつの車輪をセンサーで監視し、微妙なブレーキ操作を加えることで挙動を安定させる仕組みです」とのこと。なるほど。E233系の台車は「考える台車」だった。

新品の台車はとってもきれい

ここにセンサーが入っている

生産効率と環境への配慮を優先

さらにもう1つ。台車生産ラインの奥に鎮座する機会に注目。これは五面加工機といって、素組した鋼鉄の塊から台車の骨組みを切り出す機械だ。いわば自動金属彫刻機。この機械は1日に23時間以上も自動運転され、台車の基本形を作り続けているという。金属を削りだす機械だから、ものすごく大きな音が出るそうだ。

騒音といえば、ひとつ気になることがあった。先ほど電車の体験試乗会に行ったときのこと。線路は工場の最も外側にあった。その隣は民家である。正確には民家の庭だった。そして、そこには壁がない。こんなに大きな工場の周囲に民家……。この疑問について、五面加工機の説明員さんに教えていただいた。

それによると、台車製造センターは、新津車両製作所の中央に配置されている。そして、その周りを、比較的小さい音しか出ない部品の生産工場で囲んでいる。こうして騒音を反射、分散させることで、できる限り騒音が広がらないように工夫しているのだとか。巨大クレーンがある機体組立工場も結構な音が出る。しかし、こちらは道路に面しており、向かいはショッピングセンターなので影響は少ないらしい。しかも、機体組立ラインは深夜の稼働はないとのことだった。

ほとんどの工場は、生産効率を上げるために建物を配置するものだ。もちろんそれは新津車両製作所でも同じ。しかし、周囲の環境に配慮するため、騒音の出る建物については、効率よりも環境を優先したらしい。なるほど、だからこそ先ほどのトラバーサーが活躍するというわけだ。

大活躍する五面加工機

新津車両製作所の配置図。台車組立工場は真ん中。比較的静穏な台車部品工場は民家寄りにある

鉄道ファンにとっては、まだまだ見所が多い。さりげなく置かれた最新型気動車、保線マンの作業実演も今昔の対比を紹介するという興味深い内容。メインゲートそばの建物では、新津車両製作所を詳しく紹介するパネル展示が行われている。車体製作の詳しい解説や、生産した電車の一覧などもパネルで展示された。

11月から営業開始するキハE120形気動車を展示。製作は新津車両製作所ではなく新潟トランシス。新潟産の車両が新潟を走る初のケースとなった

こちらは新津車両製作所場内で使用される機関車。連結器に注目。様々な車両に対応できるよう、自動連結器と密着連結器の両方を切り替えられる