北海道のルスツリゾートにおいて9月29・30日、「健康村」がプレオープンした。ダイエットの新理論として注目される「血糖コントロール」に基づき、大自然に恵まれた環境の中で、楽しく無理なく健康になれるプログラムを提唱する「健康村」。正式なオープンは2009年春の予定だ。

メインの建物、ノースウイングの正面入口

小春日和の秋空の下、短い滞在ながらも、新鮮な空気の中で乗馬やゴルフでからだをほぐし、ダイエット食でありつつ地元の食材を活かした料理を満喫……。今回は第1回目のプレオープンとして実施されたプレス向けツアーに参加した。その様子をレポートする。

国道を挟んだ向かいに建つルスツタワー

キーワードは「Be Happy!!」

新千歳空港からバスで約1時間30分、雄大な高原の真ん中に広がる一大リゾートが現れた。スキー場やゴルフ場、遊園地など、北海道最大の総合レジャー施設として知られるルスツリゾートは、4,000人規模の宿泊施設を誇っている。今年の洞爺湖サミットの際には、国際メディアセンターが置かれていたことでも有名だ。

ホテルに到着後、「健康村」"入村式"が開かれた。もっとも村といっても特別な施設があるわけではなく、いわば同リゾートそのものに「健康村」という新たなブランドが冠されたイメージである。

「観光、環境、健康、教育、この4Kの時代である今日、『楽しい』をコンセプトに掲げて『健康村』は構想されました。『楽しい』施設であることは、ルスツリゾートが常に心がけているコンセプトでもあります。苦しいイメージのあるダイエットを、気軽に無理なく楽しく続けて健康になるのがテーマ。そのためキーワードは『Be Happy!!』とし、ルスツを訪れるお客様すべてに幸せになってもらうことを目指しています」。

入村式の冒頭でこう語るのは、ルスツリゾートを経営する加森観光の加森久丈(かもり ひさたけ)マーケティング部長。今年で27年目を迎えるルスツリゾートは、道民はもちろん、全国のスキーヤーなどにも知られた、いわば老舗リゾート。「健康村」立ち上げにより、拡大する健康マーケットへの参入を目指す。

「健康村」に適した恵まれた自然、施設の環境と立地

入村式と退村式の際には、血糖値測定などが行われた。実際の「健康村」でも、さまざまな測定がプログラムの前後に実施されるそうだ

「健康村」がターゲットとしているのは、肥満解消を目的としている人々、肥満ではないが健康への意識が高い人々、そして企業や法人団体の大きく3つ。日本国民の20%を占める生活習慣病患者だけを扱う医療機関とは異なり、生活習慣病予備軍(50%)と健康者(30%)も対象としている。ターゲットが幅広い分、例えば「肥満解消」「健康管理」「企業」などのようにマーケットを細分化し、さらにそれを性別や年代別などに細かく分類して、より具体的なプログラムを提供する計画だ。エリアとしては道内や首都圏、関西など道外はもちろん、健康ブームが加速している東南アジアなど海外も視野に入れている。

入村式で挨拶する加森マーケティング部長

「各種レジャー施設が充実しているだけではなく、新千歳空港や札幌からクルマで1時間半という立地条件にも恵まれています。自然、施設ともに恵まれた環境で、地元の旬の食材を味わい、コーディネーターから健康な生活を送るためのセミナーを受ける。さらにプログラムの選択肢が広いのも大きな特徴です」(加森部長)。

血糖コントロールダイエットとは?

血糖コントロールダイエットについて説明する戸田氏

入村式では、「健康村」の主軸プログラム"血糖コントロールダイエット"を提唱する戸田春実(とだ はるみ)慶應義塾大学環境情報学部講師も挨拶。戸田氏は企業、市区町村などで生活習慣病予防についての講演会・セミナーも数多く行っている。「健康村」でのプログラムは、戸田氏の監修のもとで組まれたもの。戸田氏はコーディネーターではあるが、参加者とともにプログラムを実践するという立場から"村長"と呼ばれている。

血糖コントロールダイエットとは、規則正しく3回の食事を摂り、朝から昼、夕方にかけて糖質の摂取量を減らしていくというもの。血糖値のピークを朝食後に持っていき、昼、夕方と少しずつ下げ、就寝4、5時間前に食事を済ませることで、就寝時に血糖値を一番下げる。そうすることで、寝ている間に脂肪が燃焼され、効率よく痩せられるという。

確かに、朝食を抜いて、昼食、夕食、そして夜食と次第にカロリーと糖質の量が増えていけば、当然、就寝中に中性脂肪が蓄えられ、そしてメタボへ……、という話は、健康診断の時に毎回聞かされる話。血糖コントロールダイエットの理論は確かにわかるのだが、果たして続けられるものかどうか。

「血糖コントロールダイエットでは、夕食で炭水化物はほとんど摂れませんが、その分、たんぱく質や脂質でカバーします。カロリー量も、通常のカロリー制限ダイエットに比べ、2、3割多く摂取可能なので、継続しやすいわけです」と戸田氏は自信を持って断言する。実際、大学の学生やさまざまな企業などで、数多くの効果をあげているという。

実際の「健康村」では、1週間のレギュラーや2泊3日のショートコース、また1泊2日のお試しコースなどを設定する予定。1日3度の規則正しい食事に、ウォーキング、ゴルフなど、血糖値を下げる効果のある軽い有酸素運動を組み合わせたプログラムを提供する。血糖コントロールダイエットの食生活パターンと軽い運動を「健康村」で習慣づけ、その後も継続していけば、無理なく健康的に痩せることができるというわけだ。