Booksベストセラー週間総合ランキング5月2日~5月8日では、3タイトルが再登場でトップテン入りしたが、新登場で10位以内に入ったタイトルはなかった。各部門を見ても新登場したタイトルは少なく、大型連休に伴って動きの少ない週となったようだ。そんな中、単行本フィクション部門では『相棒 劇場版』が9位にランクイン。同部門では唯一の新登場トップテン入りとなっている。

5月2日~5月8日のBooksベストセラー週間総合ランキング(日販調べ)

順位 書籍名(出版社) 著者
1位 B型 自分の説明書(文芸社) Jamais Jamais
2位 夢をかなえるゾウ(飛鳥新社) 水野敬也
3位 A型 自分の説明書(文芸社) Jamais Jamais
4位 ヘキサゴンドリル(2)(扶桑社)
5位 脳を活かす勉強法(PHP研究所) 茂木健一郎
6位 ダーリンは外国人 with BABY(メディアファクトリー) 小栗左多里/トニー・ラズロ
7位 アイム・ファイン(幸福の科学出版) 大川隆法
8位 ヘキサゴンドリル(扶桑社)
9位 流星の絆(講談社) 東野圭吾
10位 ホームレス中学生(ワニブックス) 田村 裕

『相棒 劇場版』は、5月1日に公開された同名の映画のノベライズ版。謎の連続殺人事件が発生するが、現場にはいずれも不可解な記号が残されていた。捜査を続けるうち、東京ビッグシティマラソンが犯人の次のターゲットとして浮上。警視庁特命係の名コンビ、杉下右京と亀山薫は3万人ランナーと15万人の観衆の命を守れるのか―。映画では描ききれなかった部分も詳細に描かれており、ファンには必見の一冊。ラストは映画版とは少し異っているが「こちらのほうが良い」という声も。

単行本ノンフィクション部門では、『日本のおかず』(西健一郎)が新登場で9位にランクイン。本著は新橋「京味」の店主による家庭向けの料理本。難しい手順や特別な材料を必要とせず、少しの工夫で毎日の料理がおいしくなる方法を説明している。

今週の注目

壁抜け男の謎 (角川書店/有栖川有栖/1,500円(税別)

推理作家として多くのミステリー作品を著わしている有栖川有栖による短編集。1998年から2007年までの間に新聞や雑誌などに掲載された作品16本が収録されている。表題作はいかにも意味ありげだが、実は「壁抜け男」なる人間は作品中に登場しない。不思議な場面設定や登場人物の設定に戸惑っているうちに話がどんどん進んでいき、いつの間にか終わっていることもしばしばだが、それでは作者に負けたような気がする。そのため、何度も読み返しておもしろさを確認したくなることだろう。

作者は本著に収録する作品に特にテーマを設けなかったとのことで作品に一貫性はないが、実験的な作品も少なくない。この作品集を通して、ミステリー作家の感性と自分の感性とを戦わせてみるのはいかがだろうか。残念なことに筆者は、収録作の中の1本がどうしても意味がわからない。負けた気分である。