映画『モーレツ怪獣大決戦』(監督: 荒木憲司)は、空想科学古物商えむぱい屋創立10周年記念作品として製作・公開された怪獣バトル映画である。この映画のDVDが、ついに3月21日に発売。そこで、えむぱい屋を主宰する堤哲哉氏と本作品に怪獣おじさん21(ツーワン)として出演された漫画家の唐沢なをき氏に、パチモン怪獣バトルの魅力についてうかがった。

漫画家の唐沢なをきさん(左)と、えむぱい屋の堤哲哉さん(右)

――映画『モーレツ怪獣大決戦』は、堤さんが主宰されている「えむぱい屋」さん創立10周年記念作品として、企画されたんですね。

堤「はい、そうですね(笑)。ホントに単純な思いつきで、なにか記念になることをやりたいな、というところから始まってるだけなんですけれども」

――それが、怪獣映画だったと。

堤「まあ、好きなことをやるんだったら、ちょっと、怪獣だろうと。しかも、くだらないものがいいだろうと。いうことで、友人と、あんまり深く考えずに……(笑)」

『モーレツ怪獣大決戦』DVDのパッケージ。この70年代テイストをとくとご覧いただきたい

唐沢「年季の入った怪獣ファンとして注目してほしいのは、ただの怪獣じゃなくてパチモン怪獣なんだよ、ということですね。マニアの間では有名なキユーピーのパチモン怪獣トランプというものがあるわけですけれども」

――いわゆるパチモン怪獣トランプというのは、怪獣ブームのころに勝手に作られた、ジョーカーを含めた53枚のカードすべてにパチモン怪獣の絵が描かれた「大怪獣カード」のことですね。

唐沢「それに登場している怪獣たちが実際に立体になって闘うというのが、なんともしれんいい味出してるなあ、という感じの映画なんですね、これは」

堤「いやあ、結局そんなにお金が出せるわけでもない、ということを考えるとですね、やっぱり、目指すところは『ウルトラファイト』のようなものになってくるわけですよね(笑)」

唐沢「私も『ウルトラファイト』マニアなんですけどね。こういうツボをついたものはね、もっともっと作られたほうがいいな、と思っていたところなんで、これは『本当によくぞ作ってくれた!』と」

堤「うーん(笑)」

唐沢「ただ、まあ、それに自分が出演してしまったというのは、かなり計算外だったことなんですけど」

――唐沢さんは、怪獣おじさん21という役どころで、怪獣同士のバトルのシーンの幕間に登場して解説をなさるわけですけれども、そのオファーはどういう形で受けられたのでしょう?

唐沢「この作品には堤さんのほかにもう一人、岩佐陽一さんというプロデューサーの方がいらっしゃいまして、その方から突然電話がかかってきて、なんか『出てくんない?』みたいな軽いノリで言われたんで(笑)、『ああ、いいですよ、いいですよ』みたいな」

堤「(笑)」

唐沢「軽く引き受けちゃったのが間違いでしたね。今から考えると軽率だったなという感じがしますね」

堤「(笑)」

唐沢「その岩佐さんて方が適当な方で(笑)」

一同「(笑)」

唐沢「なんかね、『もう、いいかげんにやっちゃってください。思いついたこと何でもしゃべって』みたいな感じで。『でも、脚本とか、もうちょっとちゃんと役作りとか……』『いや、なんもなくていいですよ』」

一同「(笑)」

唐沢「『ちょっと、小バカにしたような感じでやってくださいよ』みたいなね、『いかにも適当感が漂うような感じがいいですね』というようなことしか言わないんでですね(笑)、で、こういうことになってしまった(笑)」

堤「確かに台本ないですからね、あれ(笑)。いきなり言ってもらってるコメントばっかりなんですよ。思いつきなんですよね」

唐沢「しかも岩佐さんの意向にそって言っちゃってるだけなんで、わたしはこれは、かなり忸怩(じくじ)たるものがありますね(笑)。どんな馬鹿な怪獣に対しても、無条件に愛をそそぐってのが私の心情なんですけど、あの作品観てる人にはそうは見えない(笑)」

一同「(笑)」

唐沢「いかにも、なんか『イヤなオヤジだな』という感じにしか見えないという。なんとしたものか、という(笑)」

一同「(笑)」

――撮影は、今お話をうかがっている、この唐沢さんのアトリエで行われたんですね。

唐沢「ついさっきまで、そこで漫画を描いていました、という状態で、『じゃ、ちょっとカメラ入ります』みたいなノリで、ドカドカとカメラが入ってですね、ちょっとテーブルどかして、ハイどうぞ、みたいな(笑)」

一同「(笑)」

唐沢「もうちょっと、なんとかならんかったんですかと。岩佐さんがここに居たら、ちょっと問いただしたい(笑)」

堤「(笑)」