――先ほど、唐沢さんのコメントには台本がなかったというお話でしたが、現場で撮影している方たちは呼吸を合わせて動く必要がありますから、一応なんらかの準備はなさるわけですよね?
堤「おおまかでしたよ」
一同「(笑)」
堤「僕は、キングドンとメロメロンとヒーターがそれぞれ闘うシーンの撮影につき合いましたけど、こんな感じでいいのか、っていう現場でしたからね」
唐沢「(笑)」
堤「ほとんど荒木監督が、『次、こんな感じね』って言ったら、『じゃ、それでいきましょう』っていう世界でしたからね」
唐沢「荒木監督もそうだと思うんですけど、怪獣のDNAといいますか(笑)、作ってる人間は、みんなわかってるんですよ。こういう場面だったら、こういう動きするな、とかね。例えば湖から上がってきたら、この怪獣はこういうふうに暴れるだろうみたいなものがね」
――なるほど。
唐沢「だいたい、同じような原体験といいますか、そういうものを持ってる人間ばかりが集まって作ってるので、そこらへん思いつきでやっているんではあるんですけど、それでもなんとなく形になってしまうというのが、怪獣マニアの業の深いところというか(笑)」
一同「(笑)」
堤「誰もそれで『ええっ?』っていうことは、なかったですからね。『まあ、いいんじゃないですか』という感じで」
――関係者全員が、あらためて打ち合わせしなくても、「ここは当然こうだろ」という共通認識があったと。
堤「ああ、そうですね」
唐沢「そう。あるべき姿に近づけるために、みんな本能むき出しにすると、自然にそういう形になるという、いい見本ですね」
――後楽園ゆうえんちにあったサークロラマ劇場という全周スクリーンの360度映画館用の作品で、『ウルトラマン・ウルトラセブン モーレツ大怪獣戦』という映画が1969年に公開されたそうですが、これにちなんでタイトルをつけられたのでしょうか?
堤「先ほどから話に出ている岩佐さんが、『70年代チックにやるんだったら、"モーレツ"だろう』という、シンプルな発想だっただけなんですよね。その作品を意識したというわけではないです」
――じゃ、「モーレツ」というフレーズを使って、怪獣がバトルする内容だっていったら、大体こういうタイトルになると(笑)。
一同「(笑)」
唐沢「あのころって、怪獣たちにとって黄金時代でしたから。次から次へと新しい番組が出てきて怪獣たちが巷で大人気だった時代の、熱気みたいなものを映像化しようぜ! という意思の現れじゃないでしょうか、『モーレツ』っていう言葉は」
堤「そうですね」
――『ウルトラファイト』にしても、怪獣たちがいっぱい出てきて、殴り合ったり走り回ったりするという、そういったところに通ずるテイストということなんでしょうか?
唐沢「怪獣たちがホントに元気がよかった時代ですね。そして、できることなら、そういう時代がまた来てほしい、そういう熱い想いみたいなものがですね、全編に漂ってますよ」
堤「怪獣ものをそんなに難しく考えなくていいだろうと思うんですよね」
唐沢「そうそう。怪獣の出てくるドラマって設定とかをガチガチにSF的に考証して、さてそれでおもしろいものができるかというと、まあそうでもないな、ということは、もうだんだん世間の皆さん、わかってきてるんじゃないかと思うんですよ」
――はい。
唐沢「怪獣っていうのはもともとナンセンス極まりないもので、はっきり言って何でもありな世界なんですから、もっと皆さんに自由な発想で怪獣映画を観てほしいし、これから作る人ももっと型破りに作ってほしいと思います」
――もっと、肩の力を抜いて……。
唐沢「この『モーレツ怪獣大決戦』というのは確かに怖ろしいばかりに低予算で(笑)」
一同「(笑)」
唐沢「馬鹿みたいに適当に作っているかもしれないけど、そういう破天荒な怪しさというか、怪獣ってのはこうでなくちゃイカン、という、作ってる人たちの男気あふれる想いは確実に定着してると思います、この作品」
