――ホームページを拝見しますと、高木さん個人のホームページというよりは、「きりえや」というプロジェクトのホームページということになっていますが、このプロジェクトというのは、どのようなものなのでしょうか。

「20代のころは、先ほど言いました連載が終わった後、時々いただける仕事を待ちつつ、毎年カレンダーを作って周りの方たちに販売するといったような活動をほそぼそと続けていました。しかし、仕事をいただけるのを待っているだけではなく、また、僕が制作した作品を間に人を入れないで直接お客さまにお届けすることはできないか、ということで、『きりえや』を名のって、直接販売するというプロジェクトを始めました」

――産地直送の野菜みたいですね。

「それに近いですね(笑)」

――間に人が入ることによって、当初、自分が伝えたいと思っていたものとニュアンスが変わってしまうリスクがあるわけですね。

「いろんなことを試みて、やっぱりマスを相手にしようとすると仕掛けがどんどん大きくなってしまって、制約も増えていき大きく回そうとすると、なかなか最終地点までたどり着かないこともありますね。その結果、一番見ていただきたいエンドユーザーであるお客さんまで届かないというケースもあるんです」

――先ほどもこちらの画廊にお客さんが来られて、いろいろ買っていかれたようですが、直接販売してみてお客さんの反応というのはいかがでしょう?

「それはもう、いろいろですね。ひたすらカワイイと言って喜んでくださる方もいらっしゃいますし、じーっとひとつの作品の前で固まったように見ていただく方もいらっしゃいます。お話を添えた作品の場合だと、それを読んでちょっと涙ぐんでくださる方とか……」

――そのお話もお考えになるわけですか?

「ええ、作ります」

――ホームページの紹介文にあります、「『かわいくて、おかしくて、ちょっとだけさみしい』世界」というのは、先ほど、お好きだとおっしゃった東君平さんの世界とも近いものがあるんでしょうか?

「そうかもしれませんね」

――ほかにお好きな作家の方は、いらっしゃいますか?

「ジム・ヘンソンという方のキャラクター作りやユーモアのセンスが、子どものころから好きです。晩年の映画『ダーククリスタル』とかもいいですね」

――ジム・ヘンソンさんは、操り人形師でマペット作家でいらした方ですね。一番有名な仕事は、『セサミストリート』のキャラクター創作でしょうか。そういったものの影響も?

「受けているでしょうね」