物販ブースで午前中の一番人気ブースだったのは、おそらく日本レストランエンタプライズ(NRE)。主力商品はもちろん全国各地の駅弁だ。「昨日(13日)は12時30分までに商品がなくなってしまったんです。だから今日(14日)は急遽増量しています」(NRE)とのこと。全国の駅弁製造メーカーは、遠方からは宅配便で、関東近県の場合はイベント当日の朝に新幹線で持ち込むという気合いの入れよう。ブース内には定番の有名駅弁や珍しい駅弁がズラリと並び、大勢のお客さんが手を伸ばす。バーゲン会場を見ているような状態だった。

駅弁コーナー。昼過ぎには完売するほどの人気ぶり

私も昼食用に駅弁を1つ確保。「せっかくだからと滅多に行けないような遠い駅を」と九州新幹線出水駅の「極(きわみ)黒豚めし」(1,050円)を買いました。もちろん冷めているけれど、冷めてもおいしくなければ駅弁とは言えない。それが、コンビニやホカ弁が普及する前からの駅弁の伝統というもの。「しかしこの豚肉は厚みがあるからちょっと固いかも……」と思いきや、ほっこりとやわらかい! 舌の上にのせれば焦がし醤油と肉の風味がふわっと広がる。うまい。だしで炊きあげたご飯もしっとりとしていて、肉の旨みを引き立ててくれる。付け合わせの高菜も香りがよく、箸やすめにもってこい。これはぜひ、出水駅へ出かけてもう一度食べたいものだ。

肉好きを幸せにしてくれる「極黒豚めし」(出水駅)

その後、ステージイベントを見物してから再びNREブースをのぞくと、すでに完売だった。14日は12時40分に完売とのこと。空になった物販用テーブルにはなぜか鉄道グッズが並べられていたので、そこで私は地元を走る京浜東北線の路線図を買い、各社のブース見物を開始した。

10月はカレンダーの季節

鉄道イベントで駅弁以外の物販と言えば、鉄道グッズである。廃車車両や駅のリニューアル工事によって不要となった本物の鉄道中古部品、鉄道車輌を模したオモチャやロゴ入りグッズを思い浮かべる人が多いだろう。しかし、鉄道の日フェスティバルではカレンダーの販売が目立つ。全国の鉄道会社が発売する来年のカレンダーがここ日比谷に集結するのだ。鉄道の日フェスティバルはリピーターが多いと聞くが、その理由の1つはカレンダー購入のためなのではないだろうかと思った。

鉄道カレンダーはプロの写真家による写真が満載。ばっちりなアングルの車両とともに、沿線の美しい風景も見せてくれる。車両ファンにも乗り鉄にも嬉しいアイテムだ。JR時刻表の出版元として知られる交通新聞社は、鉄道カレンダーと中古部品の品揃えが豊富で長い行列をつくっていた。つくばエクスプレスも大判のカレンダーを用意。車種が少ないだけに風景を見せる構図が多かった。

注目のブースはJR貨物だ。鉄道では電車がメインの日本において、JR貨物は機関車ファンにとっての拠り所となっている。旅客駅を持たないJR貨物の場合、カレンダーや関連グッズを買える場所は少ない。よって、JR貨物のグッズを買うなら鉄道フェスティバルしかないというわけだ。JR貨物ブースでは、カレンダーのデザインを月ごとにパネル展示し、じっくりと見せてくれた。

交通新聞社はカレンダーが豊富

JR貨物のカレンダー

各社のユニークアイテムを探せ

JR貨物ではカレンダーの他に「EH500グッズ」がズラリ。EH500は2車体1組の機関車で、動軸数が8本のモンスターマシンだ。「エコパワー・金太郎」の愛称を持つ最強機関車の1つ。日本の全ての在来線電化区間において走行可能で、現在は首都圏と北海道を結ぶ貨物列車などで活躍している。そのEH500をあしらったグッズは、ボールペンやファイルボックスから食品保存容器までバラエティに富んでいた。圧巻は巨大なボディタオル。機関車級のボディを持つお父さんも、これなら安心!? と言えそうなサイズだ。ペットボトル入りの水は釜石の鉱山から湧きだした天然水。「この水の製造元は、当社の荷主さんです。首都圏の備蓄水として、釜石から東京まで当社が輸送しています」(JR貨物)とのことだ。

金太郎グッズがズラリ

釜石の水

バスタオルは2色

JR四国とJR北海道のブースは隣接しており、奇しくも両ブース共に鉄道連絡船をテーマとした展示とグッズ販売がメインだった。JR四国は本四連絡橋を走る特急列車の模型を展示しており、販売アイテムのメインは「宇高連絡船うどん」。かつて、四国と本州を結ぶ宇高連絡船のデッキで販売されいたが、本四備讃線の開業とともに廃止。現在は高松駅の構内で販売し、伝統の味を受け継いでいる。JR北海道は本州と北海道を結んでいた青函連絡船の精巧な模型を展示。こちらも津軽海峡線の開通によって廃止となったが、青函連絡船100年を記念したチョロQセットやTシャツなどを販売していた。

本四連絡特急がズラリ。アンパンマン列車が無くて子供たちはちょっとガッカリ?

昆布だしの連絡船うどんはすぐに完売

元青函連絡船の修理工が30年前に作成し、函館の高校生が修復した「大雪丸」の模型

船のチョロQは珍しい