東京ビッグサイトで開催中の「危機管理産業展2007」(17~19日)にて、緊急地震速報に関連した製品が多数出展されている。まだ種類はそれほど多くないものの、一般家庭向けの専用端末・サービスなども出てきているので、本稿ではそれらに注目してみたい。

危機管理産業展2007の「緊急地震速報利用者協議会」のブースでは、各社のパンフレットが配られていた

緊急地震速報とは

緊急地震速報は、地震発生直後に震源近くで揺れを検知し、その観測データを瞬時に解析して震源や地震の規模を推定、大きな揺れが到達する前に知らせるものだ。原理的に「地震の予知」とは異なるが、利用者にとっては、「地震が来る前に教えてくれる」という点で、体感的にはそれに近い。

先行して企業向けサービスが提供されてきたが、今月1日からは一般への提供も開始されているので、耳にした人も多いだろう。緊急地震速報そのものは気象庁が提供する情報で、各利用者に対しては、気象庁からの情報を受けたサービス提供事業者が配信するという形態になる。

NECの「震前大使」

これは富士通のシステム

新分野のソリューションということで、今回の危機管理産業展ではNEC、富士通、松下電器などの大手がこぞって製品やサービスをアピールしていたが、残念ながらこれらはほとんど企業向け。一般家庭向けの製品はまだまだ数が少なく、端末の価格も高いのが実情だ。以下で簡単に紹介したい。

家庭向けの専用端末

トータル・ライフサービスコミュニティが展示していたのは、家庭用専用端末の「Takusu-V」。専用サーバーが500メートル間隔で揺れの到達時刻と大きさを独自に計算し、インターネット経由で端末に配信、LEDの点滅と音声ガイダンスで警告するものだ。また高齢者が体調の急変を訴える時などに利用できるコールボタンも用意されており、端末の警報音やメールで家族に伝えることができるようになっている。

トータル・ライフサービスコミュニティの「Takusu-V」(モックアップ)

背面のLANポートでインターネットに接続するだけ

価格はオープンだが、店頭では専用端末が65,000円(税別)、コールボタンが15,000円(同)程度となる見込み。利用料金は、緊急地震速報が月額525円、リモコンの緊急コールサービスが同1,050円ということだ。専用線は必要なく、インターネット回線さえあれば利用は可能。今後、量販店などで販売することも計画されているそうだ。

サンシャインの製品は「EQガード」で、こちらもインターネット回線を利用する。点灯するLEDの色によって地震の強さが分かるほか、到達までの予想秒数のカウントダウンも行う仕様。またこの製品には接点出力も搭載されているので、照明の点灯や、扉の解錠など、緊急地震速報と連動して各機器を制御することもできる。端末の価格は78,000円(税別)で、月額の利用料金は1,300円(同)。

サンシャインの「EQガード」。これは家庭向けで、このほか業務用のモデルもある

残念ながら会場では見忘れたのだが、地震計も内蔵したユニークな製品が、エイツーの「HomeSeismo(ホームサイスモ)」。緊急地震速報は仕組み上、震源付近では警報が間に合わない可能性があるが、HomeSeismoは自分で初期微動(P波)を検出して、主要動(S波)の警告を出すことができる。

もちろん、インターネット接続環境があれば、緊急地震速報の受信端末として利用することも可能。本体の価格は68,000円(税別)で、利用料金は月額1,800円(同)から。