――これもそれぞれ作って、丸ノコなどのいろいろな装置を車体に入れなきゃいけないわけですよね。

「そう(笑)。それは後から決まったことですので、その都度にいろいろ入れていったんですね」

――かなり大変なお仕事だったとは思うんですが。

「はい。ただ当時は、それをプラモデルにするとかってことじゃなかったんで、荒唐無稽にものを考えてできたもんですから。だから、無理矢理でもそこへ付けちゃえばいいっていうふうな(笑)……そういう安易な考え方だから、実際プラモデルにする場合に設計された方はえらい苦労したでしょうね(笑)。ギミックをどこに入れるか大変だったと思うんですけど」

――当時のプラモデルでは、ボンネットの中に収容されていなければいけないはずのギスモ号(もしくはギャラント号)がボディに収まらなくて、ボディの上にそっくり出てるんですよね。

「そりゃ入るわけがないですよ(笑)」

当時発売されたマッハ号のプラモデル
(C)タツノコプロ

――かなり大らかな時代だったということですね。

「今度、それを水中に潜らせようっていう話が出てきて(笑)。『どういうふうにするんだ』って。もう漫画ですね、やってることが(笑)」

――まず、透明の覆いがコックピットを閉じる。そうやって密閉した上で、ボンベからエアを供給。さらに、潜望鏡が出て水上の様子がバックミラーに映るっていう……(笑)。

「そうです。はい」

――最初にマッハ号をデザインしたときに、かなり珍しいデザインだったということもあって、設定書を渡しただけではアニメーターさんがなかなか描けなかったそうですね。オープニングのラストカットで、奥から手前にマッハ号が走ってきて、剛が運転席から飛び出し、そのまま時計回りに90°回転して真横から見た絵になるところですが。

「ええ。それはね、描けないと思いました(笑)。それであのマッハ号の動画は全部訂正して、私が描いたんですね。皆さん、形が取れないもんですから気になって。でも、どうしてもこうしなきゃいけないって、全部動画をもらって、その動画の上から全部形を上へ乗せながらやったんです。だから、動画を描いて放映されたっていうのは、あれが初めてです(笑)。あれが最初で最後ですね(笑)」