――では、漫画原作のデザインから出発して、フェラーリやポルシェなど、当時の車のデザインも参考にしつつ、最終的に中村さんのインスピレーションを加えて、現在残っているマッハ号のデザインになったわけですね。

「そうですね」

ついに完成したマッハ号。そのデザインセンスは、40年の時を経て、今なお輝きを失っていない
(C)タツノコプロ

――このマッハ号の誕生とともに、メカデザイナーとしての中村光毅さんも誕生して、そしてメカデザイナーという職種も誕生した、といったところでしょうか。

「(笑)。そうですね」

――車の形はできたとして、さらに文芸部さんのほうで設定をお考えになりますね。7つの特殊装置を入れようということで。

「ギミックをいろいろ考えて。A、B、C……っていう」

ここで、マッハ号の7つの特殊装置をおさらいしておこう。

記号 名称 機能
A オート・ジャッキ(AUTO JACK) 車体の下からジャッキが飛び出し、タイヤ交換は即座にOK。走りながら押すと、ジャンプもできる。
B ベルト・タイヤ(BELT TIRE) フェンダーからベルトが出て、砂漠でも荒地でもぬかるみでも、スリップせずにスイスイと走ることができる。
C カッター装置(CUTTER) 丸ノコが飛び出して、藪や林を切り払いながら進む。
D ディフェンサー(DEFENSOR) 透明の覆いがコックピットを閉じる。これは、硬質プラスチック製であるから、鉄砲玉など、たちまち跳ね返してしまう。
E イブニング・アイ(EVENING EYE) 闇や霧を通して、物を見る装置だ。まず、ライトから赤外線を出す。赤外線は目には見えないが、
それを剛のグラス越しに見ると、はっきりと見えてくる。
F フロッグ装置(FROGGER) ボンベから空気を出して、水の底を走ることができる。バックミラーで潜水艦の潜望鏡のように水上を見ることができる。
G ギスモ号(GIZMO) マッハ号のマスコット。これは通信にも使えるし、悪党どもを懲らしめることにも利用できる。

オート・ジャッキ
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カッター装置
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ディフェンサー
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フロッグ装置
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ギスモ号
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