2026 VLSIシンポジウムのテクノロジー分野(プロセス技術・デバイス技術・材料技術など)の投稿件数は前年比34%増の469件で過去最多となった。採択件数は99件で、採択率は21%というきわめて狭き門となった。これは投稿論文5件のうち1件しか採択されなかったということを意味する。また、Late Newsには8件の応募があり、2件が採択された。採択されたのはTSMCとSK hynixからの論文である。
2026 VLSIシンポジウムのテクノロジー分野に対する投稿件数を地域・国別に見ると、中国が最多の161件(2025年の109件から52件増加)、次いで韓国の101件(同66件から35件増加)、米国の74件(同55件から19件増加)と続く。特に、中国と韓国からの投稿数の大幅に増加している点が注目される(図2)。また半導体製造の米国政府による国内回帰政策の後押しもあり、米国からのテクノロジー分野への論文数が初めて70件を超えた点も注目すべき動きである。
また、テクノロジー分野の採択件数を地域・国別に見ると、韓国が最多の23件、次いで米国の22件、中国と日本の各14件、欧州13件と続く。アジア全域の採択件数は66件で、総採択件数99件の65.3%を占める勢いとなっている。
2026 VLSIシンポジウムにおけるテクノロジー分野のカテゴリ別投稿・採択論文数を図4に示す。メモリについては強誘電体メモリ、プロセスではTMD(2D半導体である遷移金属ダイカルコゲナイド)とIGZO(インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、酸素(O)から構成される酸化物半導体)、先端CMOSではGAA(ゲート・オール・アラウンド)とCFET(コンプリメンタリFET)の発表が目立つ。
大学からの投稿が全体の8割、採択は大学と産業界がほぼ1:1
投稿論文数と採択論文数の産業界と大学別内訳を図5に示す。投稿論文数は、2023年に大学からの投稿比率が5割を超えて以降、大学からの投稿件数が増加してきており、2026年には約8割が大学からの投稿が占めている。一方の採択件数は、大学から53件、産業界から48件と、このところほぼ1:1のバランスを保っている。これは、産業界の採択率が45%なのに対して、大学からの採択率が14%と低いためである。
機関別採択件数ランキングを図6に示す。1位はSamsung Electronics(サムスン)の14件、2位のベルギーimecの10件という順位は、昨年および一昨年と同様である。3位は米GIT(ジョージア工科大学)の6件、4位はシンガポール国立大学とIntelの各5件、6位がキオクシアとIBMの各4件、8位がTSMC、台湾国立交通大学、ソニーセミコンダクタソリューションズの各3件と続く。
日本からの採択件数は合計14件で、発表機関別内訳は、キオクシア4件、ソニーセミコンダクタソリューションズ3件、産業総合研究所2件、そのほか5件である。
プログラム委員会が選んだ注目論文12件
2026 VLSIシンポジウムのプログラム委員会は、テクノロジー分野の採択論文99件の中から注目論文12件を選び出して発表した。
これらの注目論文を簡単に説明すると、3層積層ナノシートチャネルを特徴とする3D積層FET(Samsung)、18A GAAプロセスの性能向上(Intel)、高温耐性を持つSiGeナノシートPFET(IBM)、裏面配線を備えた16A GAAプロセス(TSMC)といった先端CMOSロジック技術、ウェハ直接接合技術を用いた高密度3Dフラッシュメモリ(キオクシア/Sandisk)、TSVを用いたウェハ積層構造を持つ高帯域DRAM(SAIMEMORY)、低セル面積を実現する垂直ゲート型DRAM(SK hynix)といったメモリ技術、 EUVリソグラフィを用いた2Dチャネルトランジスタの微細加工(imec)、低電圧0.4Vで動作するHZO強誘電メモリ(シンガポール大)といったプロセス技術、 新しい車載イメージセンサ技術(ソニー)である。
今回はイメージセンサ分野と新材料・プロセス分野の注目論文を紹介したい。
ソニーがグローバルシャッター2.1μmピクセルピッチCMOSイメージセンサを発表
- A 2.1-μm Pixel-Pitch CMOS Image Sensor with 65% MTF/35% QE IR Global Shutter and RGB Rolling Shutter Sequential Operation for In-cabin Applications,(車室内アプリケーション向け65% MTF/35% QE IRグローバルシャッターおよびRGBローリングシャッター順次動作を備えた2.1μmピクセルピッチCMOSイメージセンサ) (論文番号:T5-5)
ソニーセミコンダクタソリューションズは、車室内アプリケーション向けにローリングシャッター(RS)およびグローバルシャッタ(GS)モードを組み合わせた順次動作を持つ2.1μm RGB-IR CMOSイメージセンサを発表する。
RGBセンサとして、Tj=85℃で112dBのダイナミックレンジ(DR)を達成し、高品質な可視画像撮影を可能にしている。IRセンサについては、65%の変調伝達関数(MTF)と35%の赤外線量子効率(IR-QE)という最先端の特性を達成し、IR照明下での視線検出を容易にしている。さらに、IRセンサは65%のMTFと35%のIR-QEを特徴とする優れた性能を達成したという。
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図7:(左)提案されたセンサの画素回路図および構造。RGBフィルターはIR感度も備えている。(中央)Tj=85℃におけるRGBフレームのSNR曲線。112dBのDRを達成。(右)性能⼀覧、RGBとIRの両方で良好なピクセル性能を達成した
imecが2D材料チャネル・トランジスタ向けEUV対応プロセスを発表
- First EUV-enabled Integration Route for 50nm Pitch N and PMOS Transistors with 2D Materials Channel from a 300mm Fab,(2D材料チャネルを持つ50nmピッチNおよびPMOSトランジスタ向け初のEUV対応300mmプロセスインテグレーション) (論文番号:T1-3)
imecは、EUVリソグラフィと300mmファブプロセスを活用した2D材料チャネルを持つトランジスタの新しい集積プロセスフローを発表する。
このアプローチにより、50nmまでのコンタクトピッチ、75nmまでのアクティブ幅、および約2nmの等価酸化膜厚(EOT)を特徴とするスケーリングされたトランジスタの製造が可能になったという。さらに、ダイまたは小ウェハ転写法により、同一ウェハ上にNMOS用のMoS2とPMOS用のWSe2という異なるチャネル材料を並べて配置することで、疑似的にCMOSインテグレーションが実現できたとしている。
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図8:(左)今回の発表論文で提案されたプロセスフロー。(中央)製作された遷移金属ダイカルコゲナイド(TMD)材料(NMOS用WSe2およびPMOS用MoS2)の断面STEM画像。(右)製作されたNMOSおよびPMOSデバイスのId-Vg特性
次回は、先端CMOS技術分野の注目論文を紹介する予定である。





