この半導体ニュースのまとめ
・LSTCはルテニウム/エアギャップ配線の製造ばらつきが寿命に与える影響を解明
・ウェハ内の微小な形状差が絶縁寿命の差の要因であることを実証
・1nm世代以降のロジック半導体に向けた高精度な信頼性設計指針を確立
技術研究組合 最先端半導体技術センター(LSTC)は6月2日、1nm世代以下のロジック半導体で有力視されるルテニウム/エアギャップ(Ru/AG)配線について、製造時に生じる微小なばらつきが絶縁寿命に与える影響を統計的に解明し、信頼性設計指針を確立したと発表した。1nm世代以下のロジック半導体への適用を想定した研究成果となる。
微細化で顕在化する配線の信頼性課題
ロジック半導体ではトランジスタ素子の小型化に加え、信号を伝える配線の微細化も物理的な限界に近づいている。従来から用いられてきた銅配線は微細化に伴って抵抗の増大と、それに伴う発熱が大きくなることから、性能と消費電力の両立が難しくなっているためで、1nmプロセス世代以降の配線材料候補として、抵抗増加が小さいルテニウムが、構造としては配線間の干渉を抑制するエアギャップが注目されているが、構造の微細化に伴い製造時に生じるわずかな寸法ばらつきが寿命や壊れにくさに影響する懸念があるものの、そうした製造ばらつきと寿命分布の関係を定量的に評価する方法は十分に確立されていなかったという。
製造ばらつきが寿命差を生む構造を解明
今回の研究は、そうした課題の解決に向けて、ルテニウム/エアギャップ配線の製造工程に起因する微小な形状ばらつきが絶縁寿命に与える影響を統計的に解明しようというもの。幅10nmのルテニウム配線を用いた試験構造を用いて、エアギャップ幅や配線ピッチが絶縁破壊寿命(TDDB)に与える影響を評価したという。
また、EUV露光装置を用いて加工する必要があったが、国内には現状、そうした最先端露光装置を研究開発用途として活用できる環境はないため、imecとの連携のもと、信頼性評価を行ったという。
その結果、エアギャップによる配線間隔が広いほど寿命が長くなることを確認するとともに、同一ウェハ内でも寿命にばらつきが生じることが明らかとなったとする。さらなる解析を進めたところ、ウェハ中央では寿命が長く、外周では短くなる傾向が確認され、その原因がエアギャップ幅のわずかな差にあることを実証したともする。
ナノメートル級の形状差が信頼性を左右
電子顕微鏡観察および統計解析の結果、製造工程で生じるナノメートル級の形状ばらつきが、配線の寿命ばらつきの主要因であることが判明。特に配線ピッチ(メタルピッチ:MP)が22~24nmの領域では、寸法ばらつきと寿命ばらつきが強く相関していたとするほか、より微細な20nmでは、寸法差だけでは説明できないばらつきも確認されたとのことで、製造の難しさに伴って局所的に欠陥が集中しやすくなる可能性が示されたとする。
研究チームでは今後、ルテニウム/エアギャップ配線間の電界分布や局所的な欠陥発生を考慮した、より高精度な寿命予測モデルの開発を進めるのと並行して、今回確立した統計解析技術を2nm以降、さらには1nmプロセスノード以下の超微細配線へ展開し、寿命ばらつきを見込んだ高信頼性配線設計へ応用していくとしており、将来的なAIサーバーやスマートフォン向け先端ロジック半導体の量産技術確立につなげていきたいとしている。
なお、今回の研究成果の詳細は6月1日より米国サンノゼで開催されている国際会議「IEEE International Interconnect Technology Conference 2026」にて、横浜国立大学 大学院理工学府博士課程後期の中山航平氏により発表される予定だという。
