この半導体ニュースのまとめ
・xLightが米商務省とCHIPS法に基づく1億5000万ドルの交付契約を締結
・自由電子レーザー(FEL)による次世代EUV光源の開発と実証を推進
・リソグラフィの課題解決を通じて半導体製造能力とコスト改善を狙う
米xLightは6月2日(米国時間)、米国の「CHIPS及び科学法(CHIPS and Science Act)」、いわゆるCHIPS法に基づき米国商務省および国立標準技術研究所(NIST)から総額1億5000万ドルの連邦補助金を受け取るための最終交付契約を締結したことを発表した。補助金は、同社が開発を進める自由電子レーザー(FEL)ベースのEUV光源の構築および実証に充てられる。
半導体需要拡大と生産における課題
半導体市場では、AIニーズの拡大に伴う先端プロセスを採用した高性能半導体の需要増加が続く一方、生産能力の拡張が課題となっている。
とりわけ半導体に対する製造能力の確保と並行したコスト抑制が重要なテーマとなっており、1台あたり300億円以上ともされるEUV露光装置が、高NA EUV露光装置では4億ドル(約600億円)になるとも言われており、装置コストに見合うだけの生産性をどのように確保するのかが半導体デバイスメーカーを悩ます問題となっている。
実際、従来のEUV露光装置に関してはASMLと協力する形で開発、導入、量産と展開してきたTSMCも次世代の1.3nmプロセス(A13プロセス)ならびに1.2nmプロセス(A12プロセス)については、現状の方向性としては、研究開発チームの努力によって、高NA EUV露光装置を用いないでプロセススケーリングを実現できる方法の探索を続けており、従来EUV露光装置の技術で対応できるとの見方を示すなど後ろ倒しを図っている。また、DRAM製造にEUV露光装置を導入したMicron Technologyのスタンスも、可能な限り従来技術を引っ張る形で最低限の導入に留めるなど、投資対効果を意識した導入を図る動きを見せている。
複数のEUV露光装置にEUV光を同時供給
xLightは、従来の旧Cymer(ASMLが買収)の露光装置内に搭載される光源に代わって、加速器を活用して生成した自由電子レーザーを活用してEUV光を発生させ、それを分岐させることで最大16台の露光装置に同時に供給する技術の開発を進めている。
従来よりも高い光源出力を実現でき、製造スループットの向上を図ることができるようになり、同社では既存の半導体工場の生産性を向上させ、より多くの半導体チップを、より高品質で、より低コストで生産することを可能にするとしている。
実際にこのFELベースの光源施設のコストがどの程度になるかの部分もあるが、日本の理化学研究所が整備したX線自由電子レーザー施設「SACLA」の建設費は2006年~2011年で約388億円とされており、当時と今では金銭的価値が変化している、ならびに規模が異なる点を踏まえても光源付きの高NA EUV露光装置を1台買うくらいなら、こちらを導入するという選択肢もない程度の金額になると思われる。
また、ASMLとの兼ね合いはどうなるのかという点についても、xLightはASMLと共同開発体制を構築しており、同じ型番の露光装置に対してCymer光源なのかxLight光源なのかの選択が可能だという。



xLightのFELベースのEUV光源活用イメージ。ファブと隣接する形で加速器を設置し、そこで発生させたEUV光をファブ内の露光装置に供給する仕組みとなる (出所:2025年6月開催のPlayground Globalによる説明会での配布資料)
米国で実証設備を構築
今回の米商務省からの支援を受ける形でxLightは米ニューヨーク州アルバニーにおいて初のFELシステムの構築を進めるとしており、同設備における実証を通じて量産適用に向けた技術検証を行い、半導体メーカーとの連携を進めていく計画としている。
リソグラフィの高度化は引き続き半導体の進化の鍵に
半導体製造においてリソグラフィ工程はプロセスの微細化を支える基幹工程であり、そこで用いられる光源性能は生産効率とコストに直接影響する要素となる。
xLightのCEO兼CTOであるニコラス・ケレズ氏も、「リソグラフィ技術の革新こそが、ムーアの法則を復活させる鍵となる」と説明しており、自社の取り組みを通じてEUV光源の進化を実現させることで、リソグラフィ技術の革新を支えていくことを強調している。