この半導体ニュースのまとめ
・WSTSは2026年の半導体市場が前年比89.9%増の1兆5112億ドルに達すると予測
・AIデータセンター向けのメモリとロジックが市場拡大を主導
・2027年も26.6%成長見込みでAI投資による高成長が継続
WSTS(世界半導体市場統計)は2026年春季半導体市場予測を発表し、2026年の世界半導体市場が前年比89.9%増の1兆5112億ドルに達するとの見通しを示した。2025年の7956億ドルからほぼ倍増する急成長となる。
AI需要が市場成長を加速
2025年も半導体市場は前年比26.2%増の7956億ドルと回復が進んでいたが、2026年はそれを大きく上回る成長が見込まれている。
背景には、AI利用拡大に伴うデータセンター投資の拡大があり、特にAIサーバー向けの半導体需要が市場全体を押し上げる構造となっている。
半導体メモリが最大の成長ドライバー
製品カテゴリ別にみると、半導体メモリの成長が突出している。
2026年のメモリ市場は前年比249.5%増の8039億4100万ドルと大幅な伸びが予測されており、市場拡大の最大要因となる見込みである。AIサーバにおけるHBM、LPDDR5X、大容量RDIMMのほか、エージェントAI需要の高まりによる汎用サーバの市場拡大に伴うサーバDRAM需要も拡大していることを背景に、価格高騰および需給ひっ迫が成長を押し上げる要因とみられる。
ロジックとMPUも高成長
ロジックは前年比37.3%増と引き続き高水準の成長が見込まれており、GPUを中心としたAI向け半導体が需要をけん引することが予想されている。また、汎用サーバの更新需要などからMPUなどのマイクロ系半導体も同19.8%増と堅調な成長が予想されている。
地域別では米州とアジアが牽引
地域別での状況は、米州が前年比112.0%増の5436億5400万ドルともっとも高い成長を示し、AI投資の中心として市場をけん引する構図が鮮明となっている。
また、アジア太平洋地域も同87.4%増の8239億ドルと高い伸びを見込んでおり、製造と需要の両面で市場拡大が続く見通しである。
日本市場も同27.6%増の570億5000万ドルと回復基調にあるが、成長率では他地域に比べ緩やかな水準にとどまる予想である。
個人向け需要は回復遅れ
一方で、スマートフォンなどの個人向け電子機器は、部品不足やインフレの影響を受けやすく、需要は低調に推移すると予測されている。そのため、半導体市場のけん引役は引き続きデータセンター向け需要を中心とする構造となることが想定され、2027年もデータセンター需要を中心に伸び、同26.6%増の1兆9136億ドルと2兆ドル一歩手前に迫る規模となると予想されている。
ただしAI投資の継続に加え、産業機器や自動車など他用途の回復も市場を支える要因とされる一方、インフレや地政学リスクによる不確実性も残ることから、先行き不透明感は残る点は懸念材料と言える。
半導体市場は「AI主導型」へ
今回のWSTSの予測では、半導体市場のけん引役が従来のPCやスマートフォンから、AIデータセンター中心の構造へと移行していることを示すものといえる。
ただし、先般発行されたSemiconductor Industry Association(SIA)のAIデータセンターに関する調査レポート「Powering AI: The Semiconductor Ecosystem at the Foundation of Data Centers」にもあるように、AIデータセンターを支える半導体はメモリやロジックのようないわゆるAI半導体だけでなく、ネットワークや電源などより広範なものとなってきており、半導体市場全体へと恩恵が波及する流れができつつあると言える。そうしたことを踏まえると、今後の半導体市場は、AIインフラ投資の動向に強く連動する「AI主導型市場」としてしばらくは推移していくことになると考えられる。


