1981年以降、日本の京都と米国のハワイで交互に開催されてきた先端半導体技術および回路に関する国際学会「Symposium on VLSI Technology and Circuits」が、今年は6月14~18日にかけて米国ハワイ州ホノルルにて「2026 IEEE/JSAP Symposium on VLSI Technology and Circuits(2026 VLSIシンポジウム)」として開催される。
それに先立ち、運営を担当するシンポジウム委員会と論文審査を担当するプログラム委員会が合同記者説明会を開催し、会議の概要や応募・採択状況、注目論文などを紹介した。同シンポジウムは、米国IEEE(電気電子学会)と日本の応用物理学会が主催し、電子情報通信学会が協力している。
今回のメインテーマは、「Advancing the AI Frontier through VLSI Innovation(VLSIイノベーションによるAIフロンティアの前進)」である。
シンポジウム委員長を務める東京大学の平本俊郎 教授は、このテーマについて、「AIの発展により生産・業務の飛躍的な効率化が起こり、フィジカルAIは人とロボットの共存を加速し始めています。このようにAIの進化と新しい社会の創出は不可分になりつつあります。AIの最前線を前進させていくためには基盤となるVLSIのイノベーションが不可欠です。今回のVLSIシンポジウムでは最新のVLSI技術の進展、革新的な回路設計、そしてそれらが可能にする応用分野が紹介されます。そしてデバイス・プロセステクノロジーと回路技術の相乗効果を最大限に引き出し、VLSIのイノベーションの創出につなげることを目指しています」と説明する。
会期は5日間だが、初日がワークショップ、2日目がショートコースとデモセッションとパネル討論、3~4日が基調講演と一般講演、5日目が一般講演というタイムスケジュールになっている。
AIの進展を支える半導体技術の将来に関する4件の基調講演
基調講演は、「生成AIを支える半導体設計」「先端パッケージ技術」「DRAM技術革新」「装置革新とスマート製造」をテーマに、当該分野を代表する4名の専門家が、半導体技術の将来について講演する。
- “Building the Engine of AI: From Foundational VLSI Technologies to System-Scale Impact(AIのエンジンを構築する:基盤的VLSI技術からシステムスケールでのインパクトへ)”:Dr.Richard Ho氏(Head of Hardware、OpenAI)
- “Advanced Package for Next-Generation AI System Scaling(次世代AIシステムスケーリングに向けた先進パッケージング)”:Dr.L.C.Lu氏(Senior Fellow and Vice President, Research & Development / Design & Technology Platform、TSMC)
- “Intelligence Accelerated: Memory Innovations to Power the AI Era(加速する知能:AI時代を支えるメモリ技術の革新)”:Nirmal Ramaswamy氏(Corporate Vice President、Micron Technology)
- “Meeting AI Demand through Equipment Innovation and AI-driven Manufacturing: Progress and Challenges(装置イノベーションとAI駆動型製造によるAI需要への対応:進展と課題)”:三田野好伸氏(東京エレクトロン コーポレートオフィサ兼エグゼクティブ・バイスプレジデント&ゼネラルマネージャー)
初日に開催される6つのテーマのワークショップ
同シンポジウムの初日には、プログラムに関連する周辺分野についてさらなる学習機会を参加者に提供するため、一連のワークショップセッションが開催される。今回は6つのワークショップが予定されている。
- クライオCMOSの進展:デバイス、回路、および応用
- サブ2nm時代における組込みメモリ:SRAMスケーリングの展望、代替技術、3Dの将来
- 光とロジックの融合:高性能システムに向けた電子・フォトニック協調設計
- シリコンスピン量子ビットのための設計・システム・異種技術間協調最適化
- DRAM向け高性能CMOS:AI時代におけるモバイル、グラフィックス、データセンター、HBMを支える技術
- VLSIデバイスの製造性:仮想化による半導体歩留まりの向上
テクノロジー/サーキットのショートコースは1件ずつ
今年は、テクノロジー分野とサーキット分野別に1件ずつのショートコース(1日かけて第一線の専門家が最新動向と課題や展望を解説する講義)が開催される。
テクノロジー系ショートコース
「Technologies Shaping the Future as Key Enablers for AI(AIを支える中核技術として未来を形作るテクノロジー)」では、先端ロジック技術のスケーリング、3D拡張次元スケーリング、ヘテロジニアス統合、AI向け材料/プロセス統合の革新、6F2を超えるスケーリングフロンティアと次世代DRAM、新興の不揮発性メモリ、3D統合向け酸化物半導体、AIコンピューティングのための先進光インターコネクトについて解説が行われる予定。
サーキット系ショートコース
「AI-Driven Design Acceleration: Learning Across Circuits, Technology, and Yield(AI駆動設計の加速:回路・技術・歩留まりを横断した学習)」では、アナログEDA、メモリ開発におけるAI活用、EDAにおけるエージェントAI、実用的なAI駆動フロアプランニング、AIアナログIC設計のためのAIアシスタント、故障診断における機械学習、チップ設計の将来、VLSIの包括的トランスフォーメーション/再設計を取り上げ、幅広い分野におけるAI応用の最前線と実践事例を紹介し、次世代チップ設計の方向性を展望する予定。
なお、2回目となる次回は、VLSIシンポジウム2026への投稿・採択状況について紹介する予定である。

