みなさんは「STEM」という言葉をご存じでしょうか? Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)の頭文字をとった言葉で、先進国のなかでも、日本はSTEM分野の仕事に携わる女性が圧倒的に少ないと言われています。
そこで、企業のSTEM分野で活躍している方々との交流を通し、「STEMの仕事をもっと身近に感じてほしい」「将来の選択肢を広げてほしい」という想いから企画されたのが、東京都主催の“女子中高生向けオフィスツアー”です。

今回は、総合エンタテインメント企業であるセガサミーホールディングスで開催したツアーの様子をお届けします。

セガサミーホールディングス
オフィスツアープログラム
世界中にファンを持つエンタメ企業のトップからメッセージ
エンタテインメントコンテンツ、遊技機、ゲーミングなど幅広いフィールドで、新たな「遊び」を提供しているセガサミーグループ本社に集まったのは、約50名の女子中高生。会場にはティーン世代に大人気の最新のプリクラ機が設置され、さらにAIバーチャルキャラクターがお出迎え。エンタテインメント企業らしいユニークなおもてなしに、始まる前からみなさん胸を躍らせている様子です。
まずは代表取締役社長グループCEOの里見治紀さんが登壇。
「当社は感動体験を創造し続けることをMission/Purpose(存在意義)に掲げ、多岐にわたるサービス・製品・技術を提供しています。そのなかでもみなさんに馴染みが深いのが、プリクラ機ではないでしょうか。弊社のグループ会社は1995年に『プリント倶楽部』を世界で初めて世に生み出しました。他にも『UFOキャッチャー』やその景品の製作、映画やアニメの製作も行っています」と、革新的なコンテンツを次々と生み出してきた会社であることを説明しました。

セガサミーホールディングス代表取締役社長グループCEOの里見治紀さん
里見社長は、これからの未来を輝かせるために必要な大切なこととして、
- 進むべき方向性を明確にすること
- 自分と対話すること
- 自分の最善を他者に尽くし運を強くすること
- Grit(やり切る力)とResilience(困難から立ち直る力)を鍛えること
- 不平等なことが多い世の中で唯一平等に与えられている“時間”を有意義に使うこと
これら5つのことを意識しながら、自分がどんな社会人になりたいのかを考えて欲しいと、参加者に熱いエールを送りました。
「中高生のときに夢中になっていたことが、今の仕事に直結している」
次に、グループ会社のセガ フェイブでプリクラ機「GIMMI」の企画開発をしているディレクターの宮中沙羅さんが登壇。ご自身の学生時代の話から、進路・就職について、現在携わっている最新のプリクラ機「GIMMI」の開発秘話を語ってくださいました。

プリクラ機「GIMMI」ディレクターの宮中沙羅さん
「私は、アメリカの州立大学のグラフィックデザイン科を卒業して帰国後、セガでバイトをしたことがきっかけで正社員になり、現在に至ります。高校時代に大学の進路を考えたときに『一刻も早く社会に出て、グラフィックデザイナーとして働きたい!』と思い、最短でデザインと英語と基礎教養を学ぶにはアメリカの芸術学部がいいのではと渡米しました。とにかく自分が“やりたい”と思ったことを本気で頑張っている学生時代でした。当時は夢中で取り組んできたことが、今の仕事に直結していて大きな支えになっています」
宮中さんは続いて、昨年リリースされた新製品「GIMMI」について紹介してくれました。

プリクラ機「GIMMI」
「『GIMMI』は1プレイで最大19枚の撮影枚数、らくがき時間に撮影ができる『追加撮影』、好きなタイミングでシャッターを切れる『プリリモコン』、自分で作った加工設定がすべての撮影データに適用される『専用盛りメイカー』など、新機能がたくさん詰まった新しいカタチのプリクラ機です。私は企画、設計、デザイン、技術開発と、あらゆる業務に携わっています。学生時代に勉強したグラフィックや写真の知識はもちろん活かせていますが、技術に関わることは会社に入ってからも勉強し続け、日々仕事に邁進しています。理系の仕事といっても多岐にわたり専門性の活かし方もさまざま。世の中には自分が知らなかった、考えたこともなかったような仕事がたくさんあるので、どこかに自分の興味や情熱を活かせる仕事があると思って欲しいです」

『プリリモコン』の実物を見せて説明する宮中さん
宮中さんの話は、興味深いエピソードばかりで、中高生たちも熱心に聞いていました。
バースペース、コミュニケーションエリアなど、社内には交流を促進する場がたくさん!
次はオフィスツアーに出発。東京・大崎にあるこの本社には、セガサミーグループの約20社が集約され、約5,500人の従業員が働いています。

エントランスに入ると、船のパーツ「竜骨」をイメージしたオブジェがお出迎え
入口に入って最初に目につくのが、木でできた巨大な肋骨のようなオブジェ。これは船の「竜骨」というパーツで、世界中にみんなで旅に出ようというコンセプトを基に、旅路への期待感とおもてなしの気持ちを表現しているそう。会議などで使う部屋にはそれぞれに世界の港町の名前が付けられています。
総合受付にはグループ会社のグッズを販売するオフィシャルショップや1,400㎡超の広さを誇るコワーキングスペースがあります。

入口付近には様々なキャラクターの像が飾られている
社員食堂には、飲食スペースだけでなく、ダーツやビリヤードなどを備えた「&BAR(エンデバー)」と名付けられたバースペースがあり、18時以降はアルコールを提供しているそう!

オシャレな雰囲気のバーエリア
バーエリアの奥には「FREEPORT」と呼ばれるコミュニケーション&インスピレーションエリアがあり、コーヒーなどが無料で飲めて、カウンター越しに仲間とおしゃべりを楽しむ場となっています。

FREEPORTの様子
さらに奥には様々なジャンルの本とミーティングスペースを揃える「THE LIBRARY」があり、従業員同士のコミュニケーションを活性化させるスペースの多さは、さすがエンタメ企業ならでは!

落ち着いた雰囲気のライブラリーエリア
新機能が満載の最新プリクラ機「GIMMI」と、AIバーチャルキャラクターとの会話を体験
続いては、プリクラ機「GIMMI」を実体験!

説明を受けながらさっそくブースの中へ!
4名ずつに分かれて撮影することになり、今日初めて会ったので最初は緊張した面持ちでしたが、みんなでシールデザインを選んだりしている間に自然と会話が弾み、撮影時はみんなで同じポーズをとってニコニコの笑顔。

『プリリモコン』を使いこなして撮影を行う参加者たち
「GIMMI」は、従来機と異なり、撮影、らくがき、シール印刷までが一つのブースの中で完結するのも大きな特徴。ブース移動が必要ないため、撮影のノリのまま、みんなで“盛り”を楽しみながら感動体験を満喫していました。

出てきたシールはお土産としてみんなで持ち帰りました
プリクラ体験後は、本日の進行役であるAIバーチャルキャラクターの久瀬光希クンとのトークタイムも! 参加者からの質問にスラスラと流暢に答え、「彼女はいますか?」などプライベートなことも「うーん、秘密です。でも大切な人を持つと、人生が豊かになりますよね」とサラッとかわして、AI技術と3DCG技術のスゴさを体験できました。

AIバーチャルキャラクターの久瀬光希クン
学生時代にやっておいたほうがいいこと、仕事のやりがいとは。女性社員によるパネルディスカッション
最後は、先ほど登壇された「GIMMI」ディレクターの宮中沙羅さんと、同じく「GIMMI」のマーケティングに携わる大崎美穂さんへの質問会を実施。お二人の話が楽しくて、終始和やかな雰囲気で進みました。

質問に答える大崎美穂さん(左)と、宮中沙羅さん(右)
- Q.
-
1日のスケジュールはどんな感じですか?
- A.
-
フレックス制なので出勤時間は選べて、私は基本10時に出勤しています。主な仕事としては、マーケティングに関連した資料の作成や、他部署との情報共有を目的としたミーティングなどがあります。19時に退勤し、余裕があればゲームセンターに立ち寄って、実際に「GIMMI」をどんな人がプレイしているのか現地視察することもあります(大崎さん)
実際に開発中のゲーム機を触って作業することが多いときは出社したり、なにか技術的な作業を黙々とやり込まないといけないときは在宅ワークしたり、開発の進み具合や時期によって、やりやすいように働き方を変えています(宮中さん)
自身のエピソードを交えながら仕事の魅力について語る宮中さん
- Q.
-
プリクラを開発する1番のやりがいは?
- A.
-
たくさんの方に使ってもらえることですね。初めて市場に「GIMMI」を設置させていただき、楽しく遊んでくださるお客様を目にしたときは鳥肌が立ちました! あと学生の頃から、設計、プログラマー、デザイナーなど、いろいろなプロフェッショナルたちと一つのものを作るのが夢で、今まさにそれを叶えていることに日々やりがいを感じています(宮中さん)
- Q.
-
女性として働くなかで大変だと感じたことは?
- A.
-
私は今社会人5年目ですが、女性だから大変だと感じたことは基本的にありません。今はプリクラのマーケティングなので、メインターゲットの女子中高生は同性でインタビューもしやすいですし、むしろ女性であることがプラスになっています。この会社は性別関係なく、どんな人間も尊重されるので、とても働きやすいと思います(大崎さん)
笑顔で会社の魅力について語る大崎さん
- Q.
-
学生時代にやっておいたほうがよいことは?
- A.
-
学生時代は失敗を恐れずに、自分の好きなことにいろいろ挑戦してほしいです。あと、自分の好きなことや得意なことを積み重ねていくことが大事だと思っています。例えばなにか好きなものがあっても、同じような人はたくさんいるかもしれない。ですが、それに加えて自分の好きなことや得意なことを重ねていくと、唯一無二になっていきます。社会でも、ひとつのことへの専門性やレベルの高さではなく、思いもよらない組み合わせが強みになることが多々あります。いろいろなものに手を出して、本気で向き合っていくと、いつかきっと仕事に役立つと思います(宮中さん)
フットワークをめちゃめちゃ軽くして、気になることがあれば「とりあえずやってみる精神」を持つこと。これからの人生、いろいろな選択に迫られることがあると思いますが、この道が正しいという確信を得ることは結構難しいんです。だから、あらかじめいろいろなことに触れておくと、選択肢の幅も広がりますし、逆に自分が向いていないものも分かるので決断しやすくなる。そういった経験は、体力と時間がたくさんある学生のうちにしておくべきだと思います! (大崎さん)
参加者の感想は?
ユーザーに感動体験を届けたい、という熱い想いにあふれたオフィスツアーを終え、参加者はどのような感想を抱いたのでしょうか。その中の二人に、今日の感想を聞いてみました。

4月からスポーツ推薦で大学に行くことが決まっているのですが、開発にも興味があり、参加を決めました。開発者さんの話を聞いて、様々な苦労のなかでも一つひとつの機能にこだわり、ユーザーに感動体験を提供したいという想いがすごく伝わってきて、働くことの楽しさに触れられました。

開発といってもやることは多岐にわたるし、マーケティングという職種があることも初めて知り、会社に対する知識が広がりました。今日参加してみて、もっといろいろな企業を見てみたいと思いました。また社員さんの話を聞いて、女性だからといって苦労した点はないと聞き、すごく安心しました!
などの声が多く挙がり、大盛況でした。
セガサミーホールディングスを支える社員から 中高生に向けてのメッセージ
ご参加いただいた都内女子中高生の皆さまの「笑顔」をたくさん拝見できて、企画した我々がたくさんの「感動体験」を参加者の皆さまから頂きました。「エンタメを通じた感動体験を創造する」楽しさを、少しでも肌で感じていただけたのであれば、この上ない喜びです。
次回のオフィスツアーは「SUBARU」お楽しみに!
