子育ては人それぞれ……とはわかっていても、こんなに悩んでいるのはわが家だけ? 今回、マイナビニュースでは、先輩ママパパ202人にアンケートを実施。マタニティからベビー期に関する質問を聞き、たくさんの「悩み」を教えてもらいました。

その「悩み」を、多くの夫婦に向けて子育てセミナーを行うNPO法人ファザーリング・ジャパン理事の林田香織先生と一緒に見ていきましょう。先輩ママパパはマタニティ&新生児期、どんなことで悩んでいたのでしょうか。また、知っておきたかったこととは?

▼今回お話を聞いた方
林田香織先生
ワンダライフLLP 代表/NPO法人ファザーリング・ジャパン 理事

自治体、企業において、両立支援セミナー、育休前・復帰前セミナー、配偶者向けセミナー、夫婦向けコミュニケーションセミナー等の講師を多数務める。プライベートでは、九州男児の妻、三人の男児の母。

ママとパパ、それぞれの「子育ての悩み」1位は…?

今回のアンケートでは、全国の20代から40代のママパパに協力してもらいました。みなさん、妊娠中からお子さんが生まれて半年くらいの間、どんなことに悩んでいたのでしょうか?

「子育てについて悩んだことがありますか?」という質問に、「はい」と回答した方は全体の8割以上。ママとパパ、それぞれの具体的な悩みを見てみましょう。

子育ての悩みは家族なら一緒……と思いきや、バラバラの結果に。ママは「授乳の仕方や寝かしつけ、お風呂の入れ方」、パパは「夫婦での育児の分担」「夫婦での家事の分担」が多い結果となりました。コメントの一部を見てみましょう。

「とにかく抱っこしないと泣く子だったので、横になって休めませんでした(30代・ママ)」「生活リズムが大きく変わって、なかなか慣れなかったです(30代・ママ)」「大変な妻を見ていても何を自分がしていいのかわからなかった。なにかできることある?って聞くしかできなかった。(40代・パパ)」

林田先生「ママは子育てのやり方について主体的な悩みが多いですが、パパのコメントを見ると"何をしたら良いのかわからない"など、"ママの補助的な悩み"が上位にきていますね」

子どもが生まれると、環境が大きく変わるもの。協力して育児や家事を分担しよう! と思っても、実際はなかなかスムーズにはいかない様子……。分担の認識にズレがあったり、家事や育児のやり方の不一致が原因でもめてしまうことも。

そんなパパの悩みがある一方、ママの意見で多かったのが「ついパパを怒ってしまう」というもの。

「体調や気分が日によって不安定だったので、日常的な家事や育児をこなしていくのが苦痛だったし、もっと手助けして欲しかった。(30代・ママ)」「自分ばかり、休みの日にサーフィンに行かれてイラついた(30代・ママ)」

林田先生「産後のママは精神的・時間的・体力的にも余裕がなく、ホルモンバランスが大きく崩れる上に日々の寝不足も重なって、怒りがちになってしまうものなんです。"出産後のママがイライラしてしまうのはある程度は仕方がない"とママもパパも認識しておきましょう

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とはいえ、どうしても育児や家事の分担でもめることはあるもの。どうしたらスムーズに分担できるものでしょうか?

林田先生「育児や家事の分担を決める前に、"どうやったら自分たちに余白が作れるか"を考えてみるのはどうでしょうか。出産前に2つのことを決めておくと、産後の育児や家事の分担がスムーズになりますよ」

林田先生、2つのことってなんでしょうか?

出産前に考えておきたい2つのこと

「我が家が大事にしたい」ことは? 立ち位置を共有しよう!

林田先生「"夫婦が笑顔でいることを大事にしたい""キャリアなど互いのやりたいことを諦めない"というように、雑談で話すくらいの内容でいいんです。我が家で大事にしたい立ち位置を決めておくことが、今後の行動指針になります

子どもの教育方針ではなく、我が家で大事にしたいことですね。そのくらいざっくりしたものなら決めやすそうです。

林田先生「例えば、離乳食や大人の食事を全部手作りにするのは、忙しい時は結構大変ですよね。"夫婦が笑顔でいること"という決め事があれば、じゃあ手作りじゃなくてレトルトを活用して負担を減らそう、というように、悩みの解決の糸口になります」


「夫婦間の情報格差」を広げないこと!

林田先生「アンケートの中で、"何を手伝ったら良いかわからない"というパパのコメントがありました。この背景には、夫婦の間で持つ情報に差があることが考えられます」

いつも子どもと一緒にいるママのほうが、どうしても育児のやり方や情報に詳しくなりがち。そうなると、情報を持っている方が分からないほうに教えるという、夫婦だけどなんだか師弟のような関係に……。

林田先生「情報格差を広げないために、どちらかが学んだことは情報共有することが大切です。調べ物があれば、ママとパパそれぞれ一緒に調べるのもいいですね」

さて、ビジネスで効率化を考えるとき、「PDCA(P=Plan・計画、D=Do・実行、C=Check・チェック、A=Action・改善)」という考え方があります。林田先生は、この「PDCA」の考え方に、2つのポイント、価値観を共有すること(S=スタンド、立ち位置)、情報を共有すること(R=リサーチ)を加えると、夫婦で協力しての子育てをしていきやすいと言います。

林田先生「最初に立ち位置を決め、情報共有をした上で子育ての計画や実行をしていくとスムーズです。子どもが成長してまた環境が変わってきたら、立ち位置を決め直して計画を見直す、それを繰り返しましょう」

ママの「パパのやり方が気になる」問題

先生、いざ育児や家事を分担しようと思ったとき、どうやって決めるのが良いですか?分担をしようにもズレが起きてしまうママパパもいるようで、こんなコメントも来ています。

「妻から家事に対してこれをやってほしいと言われないので、やろうか?と聞きながら家事に参加していた。ところ、確認すること=家事を手伝っていると受け取られて、キレられて困った。さらに、確認しないで家事をすると妻のやり方と違うため、それはそれでキレられて困った(30代・パパ)」「昼も夜もあまり寝られずにいる中、夫には自分自身の事くらいやってほしいと思っていた(40代・ママ)」

林田先生「そうですね。出産前に一度家事・育児項目の棚卸しを夫婦でしてみるのも良いと思います。どのように分担するかをある程度擦り合わせておくと出産後は微調整で済みます。"食事を作る"と言っても、買い出しや献立決めなど、慣れない人はわからないことも多いですよね。あと、分担を決めるときも"我が家が大事にしたいこと"に立ち返って決めていくと、迷いが生じにくいですよ」

ピジョンでも、出産前に家事や育児の分担を確認するシートを用意しています。こういったツールを使ってみるのもよいかもしれませんね!

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分担を決めても、「今まで私がやっていた方法と違うし、ちょっとそのやり方は……」とついついママはパパに口を出してしまいそうです。そういう時はどうすればいいのでしょうか。

林田先生「家事や育児を渡すのはプレゼントを渡すことと同じだと思ってください。任せたらやり方も含めて、その事項のマネージャーとして全部お任せするんです。また、頼まれたほうは自分のやり方でできれば、納得感と責任感をもって取り組みやすくなります」

確かに、プレゼントしたものを返してほしいとはあまり言わないですよね。

林田先生「子どもが産まれる前から、手放す練習をしておくことは大事ですね」

林田先生「私は、子育ては夫婦とその周囲の方で作るチームで行うもの、という考え方をしています。心理学者のタックマンが提唱している"チームビルディング理論"では、チームを作ると必ず混乱する時期があると言われています。これまで夫婦で暮らしてきた場合と違い、子どもが生まれると"子育てのチーム"が新たに形成されるわけですが、チームを作った最初のうちは混乱して当たり前。その混乱の時期をなるべく早く抜けるため、夫婦で価値観をすり合わせて、話し合うことが大切なんだと思います

先生、最後にこれから子育てをするママやパパに、メッセージをお願いします。

林田先生「子育ては生まれた瞬間からカウントダウンがスタートします。授乳をするのもおむつを替えるのも、期間限定なんですよね。その期間、ママパパや周りの人が楽しんでいける環境を作る。もしつらいなら、自分たちが合わせるのではなくて、どうやったら自分たちが子育てを楽しめる環境が作れるか、を考えみてください」

林田先生、ありがとうございました!


林田先生のお話の中でよく出てきた言葉が「生活に余白を作ること」というものでした。とはいえ出産後は心身的に余裕がなくなるものです。忙しくなる前、マタニティの時期に夫婦で話し合い、子どもが生まれた後にいかに「生活の余白」を作れるか、考えてみてはいかがでしょうか。

子育ての情報はこちらもチェック! ピジョン「育児イマLABO」

育児を取り巻く環境は、今ママ・パパになるみなさんが赤ちゃんだったころに比べて、大きく変わってきました。
イマ、子育ては家族でチームとなって行っていく時代です。
そんなイマドキ育児を実践する家族をピジョンが徹底調査し、これから育児が始まるプレママ・プレパパと、今まさに育児真っ最中のみなさまに新しい育児のカタチをお届けしていきます。

【妊娠・子育てについてのアンケート】
調査時期 : 2019年7月3日~2019年7月5日
調査対象 : マイナビニュース会員(子供のいる20~40代男女)
調査数  : 202人
調査方法 : マイナビニュースインターネット調査

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