2018年も気づけばもう終わり。常套句のように言ってしまう、「今年は秒だった」。でも、時間の経過が早く感じるのは、それだけ毎日が充実していた証拠だという。同意見のみなさま、2018年の自分の活躍を思い切り自画自賛しよう。
そして、また今年もテレビではドラマティックなストーリーが生まれて、私たちを楽しませてくれた。読者のみなさまは、どんな作品が印象に残っているだろうか。
マイナビニュースでは、2018年に視聴率やSNSなどで話題に挙がり、人気を博したドラマ6本をピックアップ。これらを3本ずつ、白組と紅組に分けて、それぞれの物語の“推し”を振り返っていこうと思う。
まずは、白組ドラマ3作品の紹介から。今年は、男たちの不器用ぶりに拍車がかかった1年だった。
▼『西郷どん』 - むさ苦しさにチラついた、日本男児への憧憬
物語の主役は、歴史上の人物として名高い西郷隆盛(鈴木亮平)。薩摩(現在の鹿児島県)の下級武士の家に生まれながらも、武士としての大いなる力を見出されて江戸へと進出。戦争を重ねながら、薩摩を、そして日本国を改革していこうと志す。これがのちに明治維新となった。しかし、地元の盟友・大久保利通(瑛太)と図らずも敵対、西南戦争に突入する。
俳優であれば、一度は出演してみたいと憧れる「大河ドラマ」。今年は、歴史上の人物として教科書でもお馴染みの西郷隆盛が主役。そう、上野公園に銅像として堂々と犬を連れて鎮座している、あの短髪の男性だ。
この作品の何が心をジュンとさせてくれたかと言えば、鈴木亮平さんが演じる西郷の、むさ苦しいほどの不器用さと熱さだ。まず、島津斉彬(渡辺謙)をひたすら敬愛し続ける姿勢が熱い。
(江戸行きを)いつまで待てばよろしかとですか。ないをためらっておいででございもすか。ないから逃げていらっしゃっとでございもすか! こん窮状から薩摩を救ってくださお方は、あなた様のほかにおいもはん!(第4話)
これが西郷から斉彬に当てた言葉の一部。ラブレターかよ。斉彬が亡くなった時には、自分も死のうと本気で考えるほどの実直さ。「崇拝」という言葉の浸透率が薄くなりつつある昨今からすると、この熱さは斬新だった。
そして、物語の主軸となった西郷隆盛と大久保利通。維新三傑がいなければ、明治維新は成り立つことがなかった。地元・薩摩の仲間として支え合っていくはずの相手と戦わねばならないのは、曲がることを知らない西郷の性格からすると、実は心苦しかったのではないかと推察。
西南戦争以前にも、2人の間にはいくつも衝突が起こるのだけど、結局西郷の思いのすべては薩摩に帰結する、という地元愛に熱さが漂う。上下関係を重んじて、地元や愛する女性を大事にする男性の姿勢は、ひと昔前まではデフォルトだった。最近ではあまり見られなくなってしまったので、憧憬に近い。
なんだか真面目な綴りになってしまったけれど、上記のような西郷の熱量は、今までの大河ドラマ史上最も高かったのではないかと思う。その熱さを後押ししていたのが、鈴木さんのビジュアル。最終的には100キロ近くまで太ったのではないかと噂されるほどの巨漢ぶりだ。
『TBSテレビ60周年特別企画 日曜劇場 天皇の料理番』(TBS系・2015年)では56キロ程度だったので、たったの3年で40キロ近くの体重増量とは何かと心配になる。でも、身を投げて熱さを教えてくれたのだとすれば、この大河は西郷隆盛と同じく歴史に残したい。天晴れ。
▼『花のち晴れ~花男 Next Season~』 - 神楽木の純真さは“新モテ男”ルール
セレブの子女が通う英徳学園。その2年・江戸川音(杉咲花)は、父親の会社が倒産してしまい、隠れ庶民に。ただ、音には桃乃園学院の生徒会長・馳天馬(中川大志)という婚約者がいるのだ。結婚の条件は、音が18歳まで英徳学園に通うこと。庶民であるという真実をひた隠しにしていくはずが、学園で“庶民狩り”を取り仕切る神楽木晴(平野紫耀)に正体がバレてしまう。当初は牽制しあっていた音と晴だが、いつの間にか特別な思いが芽生えていく。
今年の「火10」で大ハマりしたのが、『花晴れ』だった。この放送をリアタイ(リアルタイムでドラマを観ること)するために朝から真面目に仕事をして、放送をテレビの前で待ったほど。中年女子を夢中にさせる要素が、この作品には詰まっていた。
まずは、女子なら一度は観たり聞いたりしたことがあるだろう、『花より男子』(TBS系・2015年)の続編であること。貧乏女子が生粋のお坊っちゃまに求愛されるシンデレラストーリーときたら、女性の大好物。
『花晴れ』では、杉咲花さん演じる江戸川音が主役であることは承知している。しかし、ここではあえて、その音を好きになった神楽木晴の「不器用な男ぶり」を推したい。
英徳学園のヒーローを気取りながら、実はヘタレ男子の晴。庶民なんて好きになるはずがない……と思っていたのに、心はいつの間にか音に占拠されていた。初恋に夢中になる晴。クッションを抱えてデレデレしているシーンが可愛かった。でも、音の前ではつい偉そうな態度を取ってしまう不器用さも、彼の魅力を増量。
そして、恋のライバル出現など紆余曲折を経て、
なんで(音を)信じねえんだよ! そんなの一択だろ!!! 好きな女の言っていること信じねえでどうすんだよ!!!(第9話)
と、恋のライバル天馬くんに放った名言が生まれたのだ。恋愛に対する男性の小慣れ感は、頼りになるかもしれない。天馬くんのように、惚れた女にポンと5000万円払ってくれるような気っ風の良さだって素晴らしい。でも、男女同権になったいま、神楽木のように自分だけを見てくれる純粋さのあふれた求愛は、強くなりすぎてしまった女性の心を溶かすのではないか、というのがスナイパー小林予測。
そんな神楽木晴を演じた平野紫耀さん。彼が属する「King & Prince」は、今年の紅白歌合戦に初出演。いつもドラマのベストタイミングでかかっていた『シンデレラガール』が年末に聴けるのが楽しみだ。女性が言われたいセリフが詰まったあの曲を聴くと、恋が始まる。
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▼『おっさんずラブ』 - 男3人、距離感の狂った恋愛劇場が時代を動かす
春田創一(田中圭)はモテない、もちろん彼女もいない不動産会社の営業マン。冴えない日々を過ごす彼に、突然怒涛の春が訪れる。春田のことが好きだと告白してきたのは、尊敬していた上司・黒澤武蔵(吉田鋼太郎)と同居中の後輩・牧陵太(林遣都)という男2人。「自分は女が好きだ」と信じて疑わずに生きてきた春田だが、ストレートかつ強引な2人の求愛に心惹かれていき……。
いわゆる“業界”というところで働き出して、もう15年が過ぎた。毎年言われるのが、「視聴率低迷」「予算削減」という、クリエイティブのやる気を削ぐようなワードばかり。私が敬愛するテレビドラマもその一部になるのだけど、今年はその不穏なムードを『おっさんずラブ』が覆してくれたのだ。
深夜ドラマにも関わらず、世間の話題をさらった。放送中からSNSは大騒ぎ、最終回直後からロス続出。ドラマ本はバカ売れ、写真展も開催、流行語大賞にはトップテン入り、そして主演の田中圭さんは時の人となった。
人気を博した理由のひとつは、“男性が男性を好きになる”というシチュエーション。これが可愛かったのだ。急激に春田との距離感を縮めようとする、黒沢と牧。
牧:先輩が巨乳好きなのは知っています。でも……巨根じゃダメですか?(第1話)
黒澤:おまえが俺をシンデレラにしたんだ(第2話)
黒澤:えーっと~、可愛すぎる~! 存在が罪~! ピュア~! えっ、可愛すぎる~! (第2話)
そして戸惑う春田。
春田:俺のためにケンカすんのやめてくださーーーーい! (第2話)
駆け引きなんて知らない、直球ストレート勝負の恋。不器用な男たちが自分の恋心にワチャワチャしている様子を、ドラマで見られる日が来ようとは。そしてひとつのムーブメントを巻き起こしてくれたことに、テレビドラマオタク代表として敬意を評したい。
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と、不器用だらけの男たちを並べてきた白組の作品。年末年始の特番に飽きたら、ぜひ観返してほしい。オススメは、動画配信サービスの「ビデオマーケット」だ。
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不器用男たちから見えるものは果たして……?