よほどのテレビ好きでなければ気づいていないのではないか。23日13時50分から、関東エリアのフジテレビで初めて『旬感LIVE とれたてっ!』(カンテレ制作)が生放送される。

『とれたてっ!』は今年10月2日にスタートしたばかりの情報番組。関西のほか東海、山陽、山陰、四国、九州などの西日本エリアで、平日午後に生放送されている。普段より視聴者の多い祝日の23日は、関東と宮城で初放送するほか、1時間延長の拡大版を予定しているという(※一部地域は通常の1時間編成)。

その放送時間帯と放送局で思い出すのは、『情報ライブ ミヤネ屋』(読売テレビ制作・日本テレビ系、13:55~15:50)と、『ゴゴスマ -GO GO!Smile!-』(CBC制作・TBS系、13:55~15:49)。それぞれ大阪・読売テレビと名古屋・CBCが平日午後に全国放送している生放送の情報番組であり、23日の『とれたてっ!』は「今後この2番組に続く上でのトライアル」とみられている。

なぜ平日午後ばかりに、在京キー局ではなく系列局の手がける情報番組が集まっているのか。その背景をテレビ解説者の木村隆志が掘り下げていく。

  • 『旬感LIVE とれたてっ!』MCの青木源太

    『旬感LIVE とれたてっ!』MCの青木源太 (C)カンテレ

■平日14時間の大半は生放送情報番組

いくつかの背景がある中、真っ先に挙げておかなければいけないのは、平日の日中における編成の難しさだろう。2010年代から在京キー局の多くは、早朝4時台から19時まで約14時間の大半で情報番組を生放送するようになっていた。

現在も、日テレは『Oha!4 NEWS LIVE』『ZIP!』『DayDay.』『情報ライブ ミヤネ屋』『news every.』、テレビ朝日は『グッド!モーニング』『羽鳥慎一モーニングショー』『大下容子ワイド!スクランブル』『スーパーJチャンネル』、TBSは『THE TIME,』『ひるおび』『ゴゴスマ』『Nスタ』、フジは『めざましテレビ』『めざまし8』『ノンストップ!』『イット!』を生放送している。

今回『とれたてっ!』を放送するフジは、2020年9月25日で『直撃LIVE グッディ!』(13:45~15:50)、22年4月1日で『バイキングMORE』(11:55~14:45)を終了させていたが、その理由は単に視聴率の低迷だけではないだろう。

平日5日間、早朝から夕方まで生放送の情報番組を手がけ続ける上で、スタッフとキャストの人、テーマの取捨選択、コメントの管理、映像や写真の素材、予算やスポンサー対応などのさまざまな点で難しさがある。局内での調整や配慮、局内評価なども含めてストレスがかかりやすく、「系列局に任せてみたらどうか」という流れは当然なのかもしれない。

そもそも、どの局が制作するか以前に、視聴者ニーズや多様性などの点で「平日の早朝から夕方まで生放送の情報番組を続ける」という編成自体が強引な感は否めない。さらに、それを「在京キー局だけですべて手がけよう」というのは難しいのではないか。