テクノロジーが進化し、AIの導入などが現実のものとなった今、「働き方」が様変わりしてきています。終身雇用も崩れ始め、ライフプランに不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

本連載では、法務・税務・起業コンサルタントのプロをはじめとする面々が、副業・複業、転職、起業、海外進出などをテーマに、「新時代の働き方」に関する情報をリレー形式で発信していきます。

今回は、書評ブロガー・ビジネスプロデューサーの徳本昌大氏が、「本を読むことの重要性」についてお話します。

  • 本を読むことは最高のライフハック?


読書が最高のライフハックとなる理由

書評家・ビジネスプロデューサーの徳本昌大です。私は1日に数冊レベルで本を読み、それをアウトプットすることで、ビジネスのパフォーマンスを高めています。読書は最高のライフハックだと考えていますが、それと同じ意見をデイヴ・アスプリーの「シリコンバレー式超ライフハック」で見つけました。

著者のデイヴは20年近くかけて、シリコンバレーの最新のラボからチベットの修道院まで、世界中のあらゆる場所に足を運び、自分の脳と体を実験の場にし、人生を変えることに成功しました。

彼は脳科学、生理学、東洋哲学、心理学といった分野の専門家やアスリート、医師、ライフハックの達人まで、400人以上の研究者や成功者たちに、「最も重要な3つのことをあげてほしい」と質問し、その答えをまとめたのが本書です。そしてこの著者のアドバイスに従い、自分の習慣を変えることで、よりスマートに、より速く、より幸福に生きられるようになります。

なぜ著者は、400人以上の習慣をライフハックにまとめたのでしょうか。著者は、ただ1人の成功法則を真似ても、それに再現性がなければ意味がないと言います。DNAや成育環境、得意分野や根気強さも違う中で、多くの成功者の大量のデータを分析したほうが、よりよい成功法則を明らかになると考えたのです。

その中のひとり、ジム・クウィクは、速読、記憶改善、脳パフォーマンス、加速化学習のエキスパートとして世界的に知られています。彼は今までにフォーチュン500社のCEOを多数、トップクラスの映画俳優を何十人も指導してきました。レストランでは、ジムはテーブルに来る店員全員の名前を覚えることで、店員との関係をよくします。記憶力を活用することで、人間関係も改善できるのです。

ジムは読書の研究をしていますが、それは、読むことが学習の基本だと考えているからです。著者が数十年かけて蓄積した経験と知恵を注ぎ込んだ1冊の本を1、2日で読み、その内容を取り込めるのですから、読書は強力なハックだと言えます。

読書の効果を高める「FAST」とは

より効果を得るため、ジムは超速学習法「FAST」をマスターするよう勧めています。このFASTは、飛ばし読みをして大意を把握する伝統的な速読とは異なり、集中力を高めて読む方法で、ただ速く読むだけでなく、読んだことを効率的に学び、記憶することができるのです。「FAST」は次のような点を意識して行います。

F:FORGET(忘れる) 空にしなければ入れられない
私たちは多くの情報を捨てて、新しいものを入れられるスペースを作るべきです。自分の世界に安住するのをやめ、新しいことを学ぼうとすべきです。知っていることを一時的に忘れなければ、新しいことは学べません。いま学ぼうと集中していること以外のすべてを忘れるようにして、本に集中しましょう。

ジムによれば、一度に集中できる情報は、7つだけだと言います。余計なことを考えずに本に集中し、最大限に学ぶようにすべきです。

A:ACTlVE(能動的) 自ら創造する
集中力を身に付けることで、短時間で学び、結果を出せるようになります。「21世紀の教育は創造性に基づくものであるべきだ」とジムは言います。積極的に学びに参加し、インプットしたものはアウトプットするのです。能動的にノートを取り、学んだことを共有することで、記憶が定着します。

本書ではジムのノートの取り方についても紹介されています。中央に線を引き、左側の「キャプチャー・ノート」には学んだ情報やアイデアを書き、右側の「クリエイティブ・ノート」には学んでいることに関する印象、自分の考え、疑問を書きます。

この方法を使えば、脳全体を学習に没頭させることができ、より速く学び、より多く記憶できるようになるそうです。

S:STATE(状態) 脳と身体のコンディションを整える
脳と身体のコンディションやムードをよくすることで、よりよい結果を得られます。環境を変え、コンディションをよくすることで、インプットの質と量を変えられます。

T:TEACH(教える) 教えることでわかることがある
人に教えることで、新しいテーマや技能を素早く学べます。ほかの人に説明するという意識を持つことで、より多くの情報を吸収できるようになるということです。

私は日々、書評ブログを書いていますが、ブログを書くことが、この「FAST」を実践していることになっていると気づきました。

毎朝ブログを更新するためには、コンディションを整え、集中力を高める必要があります。メモをとり、記事をかき、それを校正することで、記憶が定着します。アウトプットを前提にする読書は、人に教えることと同義です。

毎日ブログを更新することで、私は様々な知識や体験を身に付けていたのです。仕入れた情報が脳の中で結びつくことで、新しいアイデアが浮かび、パフォーマンスアップできていたのです。


みなさんも読書は最強のライフハックだと考え、超速学習法「FAST」を今日から実践してはいかがでしょうか? 著者が数十年かけて蓄積した経験と知恵を注ぎ込んだ多くの書籍を自分の人生に取り入れることで、アイデアの幅が広がり、ビジネスのパフォーマンスをアップしてくれるでしょう。

執筆者プロフィール : 徳本昌大

書評ブロガー・ビジネスプロデューサー
複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在は、ベンチャー企業の取締役や顧問として活躍中。インバウンド・海外進出支援サービスなどを提供するEwil Japan取締役COO、IoT・システム開発のビズライト・テクノロジー 取締役、みらいチャレンジ ファウンダー、他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数。書評家としても活動中。