テクノロジーが進化し、AIの導入などが現実のものとなった今、「働き方」が様変わりしてきています。終身雇用も崩れ始め、ライフプランに不安を感じる方も多いのではないでしょうか。本連載では、法務・税務・起業コンサルタントのプロをはじめとする面々が、副業・複業、転職、起業、海外進出などをテーマに、「新時代の働き方」に関する情報をリレー形式で発信していきます。

今回は、書評ブロガー・ビジネスプロデューサーの徳本昌大氏が、レオス・キャピタルワークスの藤野英人氏が上梓した書籍『おいしいニッポン 投資のプロが読む2040年のビジネス』についてご紹介します。

  • 起業が日本でも当たり前の選択肢になってきた?

書評家・ビジネスプロデューサーの徳本昌大です。私が就職した30年以上前には、学生起業はまだまだハードルの高いものでした。大学生はどこかの企業に就職し、一生その会社で働くことが当たり前の時代でした。その後、時代は急激に変化し、転職することが当たり前になり、今では学生起業家も増えています。

今日は危機の時代と起業について考えてみたいと思います。参考にしたのは、レオス・キャピタルワークスの藤野英人氏『おいしいニッポン 投資のプロが読む2040年のビジネス』です。

藤野英人氏は数年後の未来より、10年先、20年先を予測する方が簡単だと言います。20年前のアメリカでは、ITバブルがはじけたにも関わらず、多くのベンチャーが生まれ、イノベーションを先導しました。現在のGAFAMの隆盛も優秀な人間が当時ベンチャーだったGAFAMを目指したことも一因になっています。また、シリコンバレーなどで起業家や彼らを応援するファンドが増えることで、起業のエコシステムが形成されたのです。

アメリカに遅れること20年、ようやく日本でも優秀な学生が同じ道を選び始めています。世の中のペインを見つけ、それを解決する起業家が増えています。私が客員教授をしているiU大学でも、起業を選択する学生が増えています。実際、昨年オープンした大学にも関わらず、この2年で8社のスタートアップがこの大学から誕生しています。日本の教育が変わり、起業のエコシステムが出来上がることで、日本のベンチャー・スタートアップの厚みが増し。日本からも今後ユニコーンが続々と生まれてきそうです。

これからの10~20年間で、課題先進国である日本は大きく変化していくはずです。日本は多くのチャンスが見つかる場所だと考え、行動することで、起業の道が開けます。

『「変化を見据えて動く人」と「変化に備えることなく動こうとしない人」、言い換えれば「未来志向で生きる人」と「そうではない人」との間で、大きな格差が生じるでしょう』(『おいしいニッポン 投資のプロが読む2040年のビジネス』藤野英人著 から引用)

アメリカで起こったことと同じことが日本でも起こり、小さなベンチャー企業が日本を代表する企業と入れ替わるかもしれません。未来に賭けた人は、楽しく幸せに生きられますし、間違った選択をした人は不幸になる可能性が高まります。著者は居場所次第で、20年後は天国と地獄に分かれると指摘します。

もしも「自分の居場所は今後、衰退していく可能性が高い」と思うのであれば、ものの見方や考え方、行動などを変える努力が必要でしょう。転職や起業の道を選んだり、未来のGAFAMに投資するということも選択肢になります。自分の周りの起業家を応援することで、自分のマインドセットを変えられます。普段付き合う人を変えることで、自分の価値を再発見できますし、起業家や経営者から多くの学びも得られます。それから起業の道を探ることもありだと思います。

広告会社に勤めている頃、当時ベンチャーだった企業のマーケティングをサポートするうちに、私は自分のマインドセットを変えられました。当時の取引先の多くが上場し、世の中のペインを取り除いていることが、私の背中を押してくれました。社外取締役やアドバイザーとして、ベンチャー・スタートアップの支援を行えるようになったのも当時のクライアントのおかげだと感謝しています。

?『私は日本の未来を明るいと感じていますが、それは「日本の社会全体が幸せな方向に進んでいて、その日本という大きな船に乗ってさえいれば幸せになれる」ということではありません。2040年に明るい未来を迎えられるのは、これから来る未来に向けて準備をし、何らかのアクションをした人だけです。未来は暗いと信じたまま特に行動を変えることもしない人にとっては、きっと厳しい時代がやってくるでしょう。つまりこれからの10年、20年は、皆さん一人ひとりがどのように人生を選択するか次第で、幸せにもなれば不幸にもなるということです。本書で取り上げたベンチャーのように、社会課題の中から「穴」を見つけてそれを埋めることができれば、多くの人を幸せにし、自分も幸せになれる可能性は無限にあります』(『おいしいニッポン 投資のプロが読む2040年のビジネス』藤野英人著 から引用)

大きな危機の中にもチャンスがあることは、過去の歴史が教えてくれています。実際、リーマンショック後の2008年以降の数年の間に、今私たちが当たり前に使っているInstagramやSquare、ランサーズ、メドレーなどが創業されました。

危機が大きくなればなるほど、チャンスも大きくなると考え、やりたいことがあるのなら、今すぐビジネスをスタートさせましょう。コロナ禍が変えた世の中には、チャンスがたくさん隠れています。 こんな時代には、変化に適応できる人たち、やりたいことをやり続ける人が成功できると考え、行動をスタートしましょう。

書籍情報
『おいしいニッポン 投資のプロが読む2040年のビジネス』
著:藤野英人 発行:日経BP