Uber Eatsが日本でサービスを開始したのは2016年9月29日。それから月日が経ち、明日で日本上陸10周年を迎えます。今では日常生活に溶け込んでいるUber Eatsですが、導入している店舗側にとって、Uber Eatsはどのような存在なのでしょうか。

今回は、Uber Eatsの導入店舗で働く人を対象に、導入したきっかけやその経緯についてアンケートを実施。さらに、Uber Eatsの導入によって売り上げや経営面にどのような影響があったのかも聞きました。

最近導入した店舗から、日本でのサービス開始から比較的早い時期に導入した店舗まで。その声を時系列でたどってみると、飲食店を取り巻く環境と、デリバリーに求められる役割の変化も見えてきます。

  • Uber Eatsの導入は飲食店にどのような影響を及ぼしたのでしょうか

    Uber Eatsの導入は飲食店にどのような影響を及ぼしたのでしょうか

Uber Eatsを導入した時期

飲食店での勤務経験を持つマイナビニュース会員に「Uber Eatsを導入した時期」を聞いてみたところ、以下のようなランキング結果になりました(※「わからない」という回答は除外)。

1位「3年以上~5年以内」(40.4%)
2位「1年以上~3年以内」(21.7%)
3位「1年以内」(16.8%)
4位「5年以上~7年以内」(8.1%)
4位「7年以上~10年以内」(8.1%)

「3年以上~5年以内」が約4割で最多となり、「1年以上~3年以内」が次いで2割超という結果になりました。

最近導入した店舗から、日本でのサービス開始から比較的早い時期に導入した店舗まで。その声を時系列でたどってみると、飲食店を取り巻く環境と、デリバリーに求められる役割の変化も見えてきます。

ここからは、導入時期ごとに「Uber Eatsを導入した理由」を紹介していきます。

1年以内

・「新たな販売方法を増やし、より多くのお客様に商品を知ってもらうため、デリバリーサービスの導入を検討し、Uber Eatsを導入しました」(47歳・女性)
・「販売の選択肢を増やしたいと思った」(47歳・男性)
・「フードデリバリーに力を入れているから」(26歳・男性)

まずは、この1年以内にUber Eatsを導入した人たちです。最近の回答を見ると、売り上げを増やすことはもちろん、販売チャネルを増やしたり、これまで接点のなかった顧客に商品を知ってもらったりと、実店舗とは異なる新たな販路としてUber Eatsを活用しようとする声が見られました。

店舗に足を運ぶ人だけではなく、デリバリーを利用する人にも商品を届ける。Uber Eatsを一つの「販売チャネル」として捉えている様子がうかがえます。

1年以上~3年以内

・「お客さまから需要があったから」(45歳・女性)
・「コロナ禍の頃はまだ導入していなかったけれど、徐々に近隣の店舗が導入し始めたから」(41歳・女性)
・「デリバリーに人を割けないから」(35歳・男性)
・「自社社員に配達させるにはコストがかかりすぎるため、導入をした」(46歳・男性)
・「コロナ禍以降、テイクアウトの要望が増えたため」(41歳・男性)

1年以上~3年以内に導入した人たちからは、顧客からの要望や近隣店舗の動向、人手不足など、より具体的なきっかけが挙がりました。特に印象的なのが、「デリバリーに人を割けない」「自社社員に配達させるにはコストがかかりすぎる」という回答です。注文された商品を店舗側が自ら届けるとなれば、そのための人員を確保する必要があります。

一方で、飲食店にとって人手の確保は大きな課題の一つ。デリバリー需要に応えたいけれど、そのためだけに人員を増やすのは難しいという店舗にとって、Uber Eatsの仕組みが選択肢になっているようです。

また、「お客さまから需要があった」という声も。店舗側が一方的にデリバリーへ進出するだけではなく、利用者側からのニーズが導入を後押ししたケースもあったことがわかります。

3年以上~5年以内

・「自分がヘビーユーザーだったので上長に掛け合って導入にこぎつけた」(42歳・男性)
・「コロナウイルスや変異株の感染流行により、店舗の営業に規制があったときに従来よりも利益が大きく落ちた。まず来客が少なくなり、原料の入荷も不安定になった。あるとき、来客者から現代の需要を考えてUber Eatsなどの出前型サービスを導入してはどうかと推薦された。そこから自分で調査してUber Eatsの担当者とよく話をして導入になった」(38歳・男性)
・「コロナ禍で飲食制限がされていて、経営状況が悪かったので、デリバリーで売り上げを上げようと導入した」(41歳・女性)
・「コロナの流行で他の飲食店も始めていて、当店でも始めないと太刀打ちができなくなったから」(32歳・男性)
・「売り上げを伸ばしたいので、他店の動向や配達員の充足状況を考えて導入」(47歳・男性)

3年以上~5年以内になると、新型コロナウイルスの感染拡大という大きな社会変化が、Uber Eats導入のきっかけとして色濃く表れます。中でも目を引くのが、来店客からデリバリーサービスの導入を勧められ、それをきっかけに自ら調べ、Uber Eatsの担当者と話をして導入に至ったという回答です。

コロナ禍では店内営業が制限され、飲食店を取り巻く環境が大きく変化しました。「他の飲食店も始めていて、当店でも始めないと太刀打ちできない」という声からも、当時デリバリーが急速に広がっていった様子が伝わってきます。

一方で、「自分がヘビーユーザーだったので上長に掛け合った」というユニークな回答もありました。Uber Eatsを利用する側として感じていた利便性が、今度は店舗への導入につながったケースと言えます。

5年以上~7年以内

・「コロナがきっかけ少しでも売り上げを確保するため」(49歳・男性)
・「コロナ禍の巣ごもり需要対策のため」(42歳・男性)
・「コロナ禍で苦しくて店舗の売り上げを稼ぐために導入した」(42歳・男性)
・「コロナ禍での生き残り戦略です」(39歳・男性)
・「平日のアイドルタイムや雨の日の売り上げをカバーするための補填策として導入した」(48歳・男性)

5年以上~7年以内に導入した店舗でも、やはりコロナ禍をきっかけとする声が目立ちます。ただ、回答を詳しく見てみると、単に「デリバリーを始めた」というだけではなく、売り上げが落ち込む時間帯や天候への対策など、店舗経営を補完する手段として活用しようとしたケースもありました。

「少しでも売り上げを確保する」「生き残るため」といった言葉からは、当時の飲食店が置かれていた厳しい状況が伝わってきます。

その一方、「平日のアイドルタイムや雨の日の売り上げをカバーするため」という回答は、デリバリーのもう一つの役割を示しています。客足が落ちやすい時間帯や、天候によって来店者数が減る日でも、店舗の外から注文を受けることができる。実店舗だけではコントロールしづらい売り上げの波を補う方法としても、Uber Eatsが活用されていたようです。

7年以上~10年以内

・「より顧客獲得を目指すため」(43歳・男性)
・「デリバリーで売り上げを拡大しようとした」(42歳・男性)
・「ちょうどそのころデリバリー事業を強化しようという話が出ていたため、導入に至った」(38歳・男性)

最後は、日本でUber Eatsのサービスが始まって以降、比較的早い時期から導入していた人たちです。この期間の回答数はほかの期間と比べて多くありませんでしたが、現在では一般的になったデリバリーを、早い段階から新たな事業機会として捉えていた店舗もありました。

現在から振り返れば自然にも見える理由ですが、Uber Eatsが日本でサービスを開始して間もないころから、実店舗とは別の販売チャネルとしてデリバリーの可能性に注目していた店舗があったことがわかります。

Uber Eats導入が売り上げや経営に与えた影響

では、実際にUber Eatsを導入したことで、店舗の売り上げや経営にはどのような変化があったのでしょうか。アンケートでは「Uber Eatsの導入で売り上げや経営面にどのような影響が出たのか」についても聞きました。

新たな顧客の創出

・「宅配をきっかけに店にも来てもらえるようになった」(43歳・男性)
・「Uber Eatsを導入したことで、店舗に来店されないお客様にも商品を提供できるようになり、売り上げの新たな窓口が増えました。また、忙しい時間帯でもデリバリー注文が入ることで、売り上げアップにつながっています」(47歳・女性)
・「売り上げが増えて、新たな客層を開拓できた」(42歳・男性)
・「新規顧客開拓と満席時でもデリバリーという手段で売り上げが見込めるようになった」(35歳・女性)
・「知名度の上昇にもつながった」(32歳・男性)

まず目立ったのが、店舗に来店しない人への販売や、新しい顧客との接点が生まれたという回答です。

店舗の席数には限りがありますが、デリバリーであれば店外の顧客にも商品を提供できます。店舗という物理的な空間だけに依存しない売り上げのつくり方が生まれたとも言えそうです。

人手や固定費を増やさずにデリバリー

・「元々売り上げアップのために宅配はやりたかったが、人件費などの固定費は増やしたくなかった。新たに人を雇わず配達してもらえるUber Eatsは渡りに船だった」(49歳・女性)
・「人件費の圧縮につながった」(46歳・男性)
・「人手をあまりかけることなく売り上げアップ」(45歳・男性)
・「人件費は抑えられるし、新たな客層も獲得できたので、良い影響があった」(32歳・男性)

  • 新たな社員を雇用することなく食事をデリバリーできることのメリットをあげる声が多かった

    新たな社員を雇用することなく食事をデリバリーできることのメリットをあげる声が多かった

経営面では、人件費や人手に関する声も目立ちました。「宅配を始めたいけれど、そのために人を増やすのは難しい」という店舗にとって、配達部分を自前で用意する必要がないことが導入を後押ししたケースもありました。

雨の日などの「売れにくい時間」を補う

実店舗では、天候や時間帯によって客足が大きく変わることもあります。そんな店舗経営ならではの課題に関する回答も見られました。

・「閑散期や悪天候の売り上げ維持」(42歳・男性)
・「天候の悪い日などでも売り上げがよかったです」(49歳・女性)
・「昼間の売り上げが上がった」(49歳・男性)

「雨だから来店客が少ない」「ランチとディナーの間だから店が空いている」――。そうした時間でもデリバリーの注文を受けられることは、売り上げの波を補う一つの方法になっているようです。

コロナ禍を耐え忍ぶための「武器」

そして、今回の回答で忘れられないのが、コロナ禍でUber Eatsを導入した店舗から寄せられた声です。

・「多少ではありましたが、コロナ当時には仕事もすることができ、何とか持ちこたえれたと思います」(49歳・男性)
・「Uber Eats導入後、コロナ禍前より減収となったが、閉店は免れることができた」(46歳・男性)
・「デリバリーが飛躍的に増えて何とか生き抜けました」(39歳・男性)

「売り上げが増えた」という言葉だけでは表せない、当時の切実な状況が伝わってきます。飲食店にとってデリバリーが売り上げを伸ばすための追加チャネルというだけではなく、店舗を続けるための選択肢になった時期もありました。

導入したからこそ見えてきた課題や新たな気づき

もちろん、Uber Eatsを導入すればすべてがプラスになるというわけではありません。アンケートには、コストや競争について率直に語る声もありました。

・「売り上げはそれなりに上がったように思う。しかしながら競合他社が続々参入したため、効果は限定的だった」(38歳・男性)
・「手数料は少なからず発生するが、収益は上がった」(35歳・男性)
・「負担も増えたが、結果としては売上高の増加につながり多少は利益になった」(47歳・男性)

デリバリーという新しい販路が広がれば、その分だけ競争も生まれます。手数料などのコストも発生します。それでも、最終的には収益や売り上げの増加につながったと振り返る回答がありました。また、こんな声も寄せられています。

・「出前型での需要というのは多いもので、来客型の提供とやり方に違いはあるが、大きな利益であると思う。調理方法や包装容器に工夫をすることもあり、得るものも多かったと思います。世間からの求める声や商品への意見も拾いやすくなったし、そこを店舗の改善につなげています」(38歳・男性)

デリバリーを始めたことで、調理方法や包装容器にも工夫が必要になった。その一方で、これまでとは違った顧客の声を拾い、それを店舗改善に生かすようになった――。売り上げという数字だけでは測れない、Uber Eats導入後の変化と言えそうです。

「新しい販路」から「生き残る手段」、そして店舗経営を補う選択肢へ

今回の回答を振り返ると、Uber Eatsを導入する背景は、この10年間でさまざまに変化してきたことがわかります。

日本でサービスを開始して比較的早い時期には、「デリバリーで売り上げを拡大したい」「新しい顧客を獲得したい」と、新たな販売チャネルとして可能性を感じて導入した店舗がありました。

その後、飲食店を取り巻く状況を大きく変えたのがコロナ禍です。来店客が減り、店内営業も制限されるなか、「少しでも売り上げを確保したい」「生き残りたい」とUber Eatsを導入した店舗もありました。「閉店を免れた」「何とか生き抜いた」という回答は、当時デリバリーが担った役割を象徴しているのかもしれません。

そして現在、Uber Eatsを導入する理由はさらに広がっています。顧客からの要望に応える。自前で配達員を抱えることなくデリバリーを始める。雨の日やアイドルタイムの売り上げを補う。満席時にも商品を販売する。Uber Eatsを通じて店を知ってもらい、新しい顧客との接点をつくる――。

この10年間で、Uber Eatsは飲食店にとって「料理を届けるためのサービス」だけではなく、実店舗とは別の「もう一つの店先」のような役割も担うようになったのかもしれません。

調査時期: 2026年8月21日
調査対象: マイナビニュース会員
調査数: 男女合計501人
調査方法: インターネットログイン式アンケート