最後のコーナーは、「美容を愛し、美に人生を捧げるマニアさんの1/365」。君島十和子(56歳)が9月26日に開催された「Diet & Beauty Fair」を訪れ、最新美容商品をチェックしつつ、コラボできる会社を探すという。

多くの視聴者が「番組が一変した」と感じたのではないか。「有名人が強いこだわりと美容メソッドを紹介していく」という構成は、まるで『ヒルナンデス!』(日本テレビ系)や『ポップUP!』(フジテレビ系)などの情報番組を見ているようだった。

なぜ最後に有名人を登場させ、よくある情報番組のような内容にしてしまったのか。その理由は制作サイドの不安なのかもしれない。今後も含め、一般人のマニア中心でやっていくのか。それとも、一般人と有名人の両者をバランスよくやっていくのか。あるいは、数字が獲れなかったら有名人を増やしていくのか。

含みを持たせたスタートにしたい気持ちは分かるが、安全志向が色濃くなるほど裏番組の『ウワサのお客さま』(フジ系)との差別化が難しくなっていくだろう。締めのナレーションが「以上、美のマニアさん、君島十和子が熱狂する1日でした」だったことも、有名人をベースにした情報番組のような印象を強めていた。

今後は、「一般人のマニアさんをどれだけ面白く見せられるか」という理想に向かって突き進めるか。『マツコの知らない世界』との棲み分けという意味も含め、制作サイドにはその覚悟が問われているのかもしれない。

■博覧会のようなイベントばかりに

その他のポイントとして目についたのは、マニアさんの見せ方、「1/365」のバリエーション、撮り方、テロップの4点。

まずマニアさんの見せ方だが、前述したように『オモウマい店』のような「キャラの面白い人=愛すべき人」という要素をもっと引き出せそうな伸びしろを感じさせた。たとえば、渡邊さんの夫や星野さんの妻子も登場したものの、出番はひと言程度で終了。家族などの身近な人々を絡めてプライベートにもしっかり触れることで、より人間的な魅力を伝えつつ笑いも増やしていけるのではないか。

次に「1/365」のバリエーションは、「結局、博覧会のようなイベントばかりにならないか」と感じた。視聴者の反響さえあれば毎年同じイベントをピックアップしても、それなりの違いは出せるし、何よりマニアさんのキャラが面白ければいいのかもしれない。ただ、それでも似た構成に偏る可能性があるだけに、やはり「面白いマニアさんをどう発掘できるか」が重要なのだろう。

撮影と編集からは、労力を惜しまずテンポを生み出す努力を感じさせられた。特に撮影の手法は、アングルと距離感、スローや静止画、テーブル置きとスプーン上げなど、かなり細かいカット割で撮影・編集。また、一般人のマニアさんは試食シーンをタレントのように長尺で流すことは厳しいため、「スタジオのゲストに試食させてコメントとビジュアルの不安を担保する」などのバランスも抜群だった。

最後にテロップだが、たとえば最初のコーナーでは画面上部に、「農林水産省で働くさつまいも命のマニアさんが1年で1番熱狂する究極の1日 8/17(水)」「1.5万人の争奪戦! 年に一度のさつまいも博」「ツウしか知らない 新さつまいもグルメまで…00:10(※カウンターが表示)」と文字がてんこ盛り。

新番組ゆえ、説明したくなるのはわかるが、2回目以降はどれだけ減らしていけるか。もし今後、「人物ドキュメントの要素を濃くしていきたい」のであれば、過剰なテロップは没入感や笑いを削ぎやすいものだけに、できるだけ避けたほうがいいのではないか。

■次の“贔屓”は……ガチンコの期待大!『住んで良かった!街ランキングBEST100』

『住んで良かった! 街ランキングBEST100』MCの長嶋一茂

今週後半放送の番組からピックアップする次回の“贔屓”は、23日に放送されるテレビ東京系バラエティ特番『住んで良かった! 街ランキングBEST100』(18:30~)。

「関東エリアの本当に住んでよかった街BEST100を発表していく」というコンセプトの特番だが、ポイントは「住んでみたい人」ではなく「実際に住んだことがある人」に聞いたランキングであること。

2万6,180人に「交通便」「家賃や物価など生活コスパ」「商業や飲食店の充実度」「おしゃれさ」「環境」の6部門で、印象や憧れではないリアルな声を拾っていくという。このところテレビ朝日系の『○○総選挙』を筆頭にランキングをベースにした特番は多いが、リアリティで差をつけられるか。

長嶋一茂とイェール大助教授・成田悠輔のMCコンビも含め、何気に楽しみな要素が多い。