最後は入局3年目の男性で、「幼いころから結婚こそ最高の幸せと信じている」という貝原ディレクターが登場。「将来の夢は結婚することです。1分後にでも結婚したい」などのコメントも、「剣道歴20年、彼女なし、男子高出身」というプロフィールも記号的で、「NHKの局員もここまでキャラ付けされてしまうのか」と驚かされた。

まず貝原ディレクターは、表参道で『バチェラー・ジャパン』(Amazonプライム・ビデオ)に出演した実業家・小柳津林太郎さん(40歳)にインタビュー。「婚約までしたことは何回かある。折り合いがつかなかったりケンカしたり」「ツインソウル的な発想のもう1人の魂の片割れを探す旅はしています」という独身貴族風のコメントを引き出した。

次に名古屋で、NHKの先輩である福島さん・大間さんカップルにインタビュー。2人は夫婦別姓を希望しているため結婚しないようで、その理由を「それぞれ対等でいたから、どっちかの下につくイメージのある今の結婚はうちらの関係性とは似合わない」と語った。

最後のインタビュー相手は59歳の父親。妻を亡くして24年間、独身を貫いている父親は、「(結婚は)人生において本当に幸せなひとときだったと思いますよ」「病気で亡くなることもあるし、交通事故だってあるし、いつ何が起きるか分からない。でも、そこまで生きている間にどう愛せるか」と清々しい表情で語った。

もともと貝原ディレクターが結婚したい理由は、「1歳のとき母が病気で亡くなった」「父が育ててくれたが、ずっと孤独を抱えていた」「見るドラマも聴く音楽もいつもカップルが主人公で、結婚がうらやましかった」から。

しかし、今回のインタビューを通して、「自分の結婚観が変わった気がしていて、これまでは孤独から救ってくれるものが結婚だと思っていたんですけど、正直言うと、『救ってくれるなら誰でもいい』みたいなところがあって。でも、『最愛の人と幸せな時間を過ごすことが一番大切なんだな』と思って」という気づきがあったという。

■「結婚」以降、テーマは拡大か

稲垣は、父親が言っていた「『生きている時間の中でどう愛せるか』が幸せにつながっていく」という言葉について、「今日一番響いたかもしれない。相手を幸せにしたいから結婚なんじゃないかな。話を聞いていると自分本位じゃないんだよね」とコメント。

さらに、「だから『まだ僕が結婚していない』ってことはまだそういう相手にめぐり合っていないのかなと思うし。今までを否定するわけでは全然ないんだけど、『結婚という意味ではまだそういう相手に出会ってないのかなと思ってみたり。でも結婚っていいものだなとも思ったし」と語った。

クライマックスであることを意識してなのか、誤解を恐れず自分の言葉で語ろうとする姿勢はさすがと言うべきか。番組の締めくくりにふさわしいコメントであり、「もし1時間番組だったら、もっと真に迫ったことを語ってくれたのではないか」と思わされた。

番組全体を通して印象的だったのは、NHKの若手ディレクターがプライベートをさらして、企画に向き合っていたこと。結婚という繊細なテーマであるにもかかわらず、ある意味で民放のADばりに体を張っているように見えた。視聴者がNHKの局員にそれを求めているかと言えば、答えはノーだろう。だからこそ勝手ながら、彼らが今後NHKでどんなキャリアを積んでいくのか気になってしまった。

番組のキャッチコピーは「半径5メートルからのジャーナリズム」で、これまでジェンダー、外国人、働く、お金、選挙、教育など堅めのテーマを扱ってきたが、「結婚」を機に、よりプライベートな柔らかいテーマに及んでいくのかもしれない。稲垣の反応はもちろん、若手ディレクターたちがどんな関わり方をしていくのかが楽しみだ。

■次の“贔屓”は……3組の芸人とJOYのガチネタバトル! 『ラフ&クライ』

『ラフ&クライ! ~笑いのショートプログラム~』MCのロンドンブーツ1号2号・田村淳

今週後半放送の番組からピックアップする次回の“贔屓”は、23日に放送されるTBSのバラエティ番組『ラフ&クライ! ~笑いのショートプログラム~』(毎週日曜13:30~)。

昨夏と今年元日の特番を経て、9日からレギュラー放送スタート。「4組がテーマに沿ったショートネタでガチンコバトルし、4位のみ放送されない」というシンプルかつシビアなコンセプトで放送された。さらに、芸人ではないジョーカーを1組参加させ、「芸人たちは絶対に負けられない」というムードを作っている点も見逃せない。

次回の出演者は、品川庄司・庄司智春、ニッポンの社長(辻、ケツ)、天才ピアニスト(竹内知咲、ますみ)、JOYの4組。

同番組が放送されているバラエティ枠『日曜グランプリ』は、『歌ネタゴングSHOW 爆笑!ターンテーブル』『快答!50面SHOW』『ウッチャン式』『出動!謎ときヒーロー』と全番組が2~3カ月間の放送後、ゴールデン特番となっている。『ラフ&クライ』も、それに続くことが確実視されるだけに、この段階からチェックしておきたい。