冬のイルミネーション巡りで見逃せないのが競馬場だ。東京競馬の開催最終日となった11月24日は、奇しくも中山競馬場でクリスマスイルミネーションが始まる日でもあった。これはウマくすると、レース×イルミの欲張りなはしご旅が楽しめるのでは? こんな考えがひらめいたので、挑戦してみた。

  • ジャパンカップの様子

    今年最後となった東京競馬場のレースは「第39回ジャパンカップ」(G1)。外国馬の参戦はなかったが、世界の名手と日本人騎手がしのぎを削った

混戦ムードが漂う中、腕自慢が東京競馬場に集結

というわけで、本連載の第9回10回に引き続き、東京競馬場を訪れた。この日は日本初の国際招待競走として1981年に始まったジャパンカップの開催日。装飾がジャパンカップ仕様に変更となるなど、東京競馬場にはただならぬ空気が流れていた。

  • 東京競馬場

    パドックの電光掲示板や場内通路口などがジャパンカップ仕様のパネルで飾られている

ジャパンカップで1番人気に押されたのは、過去にG1で2勝した実績を持つレイデオロ。パドックの気配もよく、調子は良さそうだが、やはり単勝支持率は4.2倍と少々高め。2番人気のワグネリアンが4.3倍、3番人気のスワーヴリチャードが5.1倍で続くなど、戦前の予想通り混戦ムードが漂っていた。

  • ジャパンカップに出走したレイデオロ

    パドックでカメラ目線をくれたレイデオロ。これはやる気のサインか?

発走時刻の15時40分、ジャパンカップの幕が切って落とされた。武豊騎乗のマカヒキがスタートで後手を踏む中、先手を奪ったのは東京巧者のダイワキャグニー。レイデオロは先行集団の最後方を追走のまま、舞台は東京競馬場が誇る525.9mの長い最後の直線へ。

先頭を行くダイワキャグニーに後方集団が迫る中、前日の雨でぬかるんだ馬場が影響して伸び脚を欠くレイデオロ。変わって最内を突いたスワーヴリチャードと3歳牝馬カレンブーケドールが抜け出し、ラスト200mはこの2頭による叩き合いに。最後は男の意地を見せたスワーヴリチャードが3/4馬身リードして、栄光のゴールを駆け抜けた。

  • ジャパンカップの様子

    G1で2度目の勝利を飾ったスワーヴリチャード。鞍上のオイシン・マーフィーはこれが日本のG1レース初勝利となった

  • ジャパンカップの様子

    ウイニングランで喜びを爆発させるマーフィー騎手。スワーヴリチャードもどことなくドヤ顔!?

点灯式を一目見ようと中山競馬場へ急いだが…

競馬を満喫した時点で満足度は高かったが、今回のはしご旅プランはここからが本番。次なる目的地は中山競馬場の「中山競馬場クリスマスイルミネーション Tales of Christmas 2019」だ。初日となった11月24日は、17時からタレントのMattさんと朝日奈央さんをスペシャルゲストに招いて点灯式を挙行するとのことだったので、急ぎ現地へと向かった。ジャパンカップが決着したとき、時計の針は16時を少し回ったところだった。

東京競馬場に近い府中本町駅から中山競馬場のある船橋法典駅までは、JR武蔵野線で乗り換えなく移動できる。所要時間も1時間16分ほどなので、これから駆けつけても、少しは2人の姿が見られるかもしれない。そんな淡い期待を抱いての移動となったのだが、電車の遅延もあり、中山競馬場に到着したのは18時過ぎ。すでにイルミネーションは点灯していた。

  • 中山競馬場

    ライトアップされた中山競馬場正門。日中に見るのとはまた違った雰囲気だ

当然、点灯式は終了しており、一目だけでも見たいと思っていたお2人の姿もそこにはなかった。ちょっと悔しいので、オフィシャル写真で雰囲気だけでもご紹介したい。

  • 中山競馬場イルミネーション点灯式

    「中山競馬場イルミネーション点灯式」に登場したMattさんと朝日奈央さん (C)田中伸弥

  • 中山競馬場イルミネーション点灯式

    点灯式で“Matt化”に挑戦した朝日奈央さん (C)田中伸弥

国内最大級のヒマラヤ杉を使ったクリスマスツリーは必見!

終わってしまったことをいつまでも引きずっていても仕方がない。気分を切り替えて、中山競馬場内を散策してみることにした。

  • 中山競馬場

    中山競馬場の入口でかわいらしいプロジェクションマッピングを発見

まず目に飛び込んできたのは、クリスマスイルミネーションの目玉の1つであるプロジェクションマッピングだ。世界を旅する魔法の絵本が2つのストーリーを映しだすという内容で、上映時間は17時から19時50分まで、だいたい30分間隔で1日計7回となっている。物語の内容は交互に入れ替わる仕組みだ。

  • 中山競馬場

    目の前にそびえるスタンドの壁面にプロジェクションマッピングが映し出されていた

プロジェクションマッピングを眺めていると、なんだかナレーションの声に聞き覚えが。調べてみたところ、声の正体は緑川光さんと沢城みゆきさんであることが判明した。前者は『スラムダンク』の流川楓役、後者は『ルパン三世』の3代目峰不二子といえば分かりやすいかもしれない。訪れた際には、その声にもぜひ注目してほしい。

スタンドから向かって左側に目をやると、クリスマスイルミネーションが施された巨大なヒマラヤ杉が見えた。その高さは約20mで、生きた樹木を使うクリスマスツリーとしては国内最大級のものだという。その雄大な姿は一見の価値ありだ。

  • 中山競馬場

    中山競馬場のシンボル・ヒマラヤ杉もクリスマス仕様に衣替え

  • 中山競馬場

    スタンド正面付近の休憩スペースもイルミネーションで装飾され、ロマンティックな雰囲気。中央に立つツリーはフォトスポットにもなる

競馬場だけあって、馬をモチーフとして取り入れているイルミネーションが多い。場内にはフォトスポットも点在しているので、競馬場を訪れた記念となる“ばえる1枚”を狙ってみるのもいいかもしれない。

  • 中山競馬場

    休憩スペースには光の馬車も登場

  • 中山競馬場

    有馬記念の歴代優勝馬のプレートが飾られるグランプリガーデンには、馬に囲まれた光のゲートが用意されている

  • 中山競馬場

    定番のハート形フォトスポットは、中山競馬場開設70周年記念植樹前に登場

競馬場が近年、ファミリー層や女性客に対して間口を広げるためにイメージチェンジを図っていることは本連載でも度々お伝えしている通りだが、子供向けのイルミトレインや搭乗可能な光るロボットなど、今回のイベントにもそういった工夫が見て取れた。

  • 中山競馬場

    光るロボットに搭乗し、思いのままに操作したり対戦して遊ぶこともできる「バトルキング」

  • 中山競馬場

    競走馬がレースへ向かう際に通るグランプリロードを運行する「ファンタジアトレイン」

「中山競馬場クリスマスイルミネーション Tales of Christmas 2019」の開催期間は12月22日まで。土曜・日曜の限定開催で、時間は16時30分〜20時だ。イルミネーション点灯後の入場は無料だが、11月30日(土)に始まった中山競馬実施時間帯に訪れると入場料が200円かかる。

今回、初めてチャレンジしてみた東京競馬場から中山競馬場へのはしご旅。中央競馬だけだと、はしごをしてみる機会はなかなかないかもしれないが、地方競馬と組み合わせれば、意外とチャンスはある。たまには、こんなショートトリップで競馬場を楽しんでみるのも面白いのではないだろうか。

著者情報:安藤康之(アンドウ・ヤスユキ)

フリーライター/フォトグラファー。編集プロダクション、出版社勤務を経て2018年よりフリーでの活動を開始。クルマやバイク、競馬やグルメなどジャンルを問わず活動中。twitter:@andYSYK。