毎日のパソコン作業が当然のようになると、ちょっとしたことでは目の疲れを感じなくなる人もでてくるだろう。ただ、私たちの目はちゃんと「使いすぎ」を知らせてくれるシグナルを出してくれている。

・夕方以降になると目がしょぼしょぼして物が見えにくくなる
・目の前に薄いもやがかかったようになり、小さな字がかすんで見える
・テレビやパソコンの画面を見続けたときに目が充血する
・目の奥が痛んだり、ゴロゴロする感じになったりする
・照明や太陽の光がまぶしくて目を開けていられない

これらの症状が出現したら、本来ならば目を休める必要がある。複数項目が該当する人は、自分が想像している以上に目に負担がかかっていると自覚した方がよい。

眼精疲労×ストレスのコラボは危険

特に近年増えてきていると考えられているのが、ストレスを原因とする眼精疲労。「営業ノルマがつらい」「上司とそりがあわない」「連日のように深夜までサービス残業がある」など、仕事や会社にまつわるストレスだけでも、枚挙にいとまがない。ストレスが原因となり、知らないうちに目に負担を与えている可能性があることを覚えておこう。

また、これらのさまざまなストレスと眼精疲労が結びつくと、頭痛や肩こり、倦怠感などを引き起こす可能性がある。その背景には、交感神経と副交感神経からなる自律神経のバランスが深く関わっていると味木医師は解説する。

「心が緊張しているときには交感神経が優位に、反対にくつろいでいるときには副交感神経が優位になっています。日常的にストレスにさらされていると、常に交感神経が過敏に働いてしまい、自律神経のバランスがとれなくなってしまいます。目の場合、ある1点だけを凝視するようなパソコン作業を連続して行い、毛様体の筋肉をずっと緊張させると交感神経の働きはさらに強くなってしまいます。結果として、頭痛や肩こり、疲労感、不眠、体のだるさ、食欲不振などの症状が出てしまうのです」

眼精疲労への対処法

このようにいろいろな体の不調につながりやすい目の疲れに対し、どのような対策をとればよいのだろうか。味木医師は以下のようにアドバイスを送ってくれた。

「目の疾患である場合を除き、正しい生活リズムや適切な身体の休息、定期的な運動を日々の暮らしに取り入れるだけで、眼精疲労が治るケースも多々あります。目だけではなく、ストレスコントロールの観点からも、食事時間や歩き方といった生活習慣を見直すようにしましょう」

※写真と本文は関係ありません

取材協力: 味木幸(あまき さち)

あまきクリニック院長、慶緑会理事長。広島ノートルダム清心高校在学中に米国へ1年の留学。米国高校卒業後に母校に戻り、母校も卒業。現役で慶應義塾大学医学部入学。同大学卒業後、同大学眼科学教室医局入局。2年間の同大学病院研修の後、国家公務員共済組合連合会 立川病院、亀田総合病院、川崎市立川崎病院・眼科勤務。博士(医学)・眼科専門医取得。医師として痩身や美肌作り、メイクアップまでを医療としてアプローチする。著書も多数あり。