2008年秋に公開され、興行収入50億円突破の大ヒットとなった『レッドクリフ Part I』の続編が待望の公開です。原作は言わずと知れた、日本でも高い人気を誇る「三国志」。Part Iでは強敵、曹操を討つべく、周瑜と諸葛亮が手を組み、劉備軍と孫権軍が共に戦う事を決意、いざ舞台はタイトルにもなっている"赤壁"へ!! というところで、「続く」……。焦らされたようでウズウズしている人も多いのではないでしょうか?『レッドクリフ PartII ―未来への最終決戦―』、いよいよ完結です。

予告編の始まりは、もう既にすっかりおなじみになってしまった、レッドクリフのテーマ曲から。テンテンテンッ ツンテケテッテン♪と、「中国の歴史映画がはじまるよー」といった印象的なリズミカルなイントロに続いて、ジョン・ウー映画のお決まり、白い鳩が飛翔する姿が映し出されます。

そう、『レッドクリフ PartI』のラストを皆さん覚えていらっしゃるでしょうか? 『~PartI』では金城武演じる諸葛亮が、曹操軍に向けて白い鳩を放つシーンで終わりました。続編である本作はそのPartIのエンディングから引き続き物語が始まります。

本作では女性にも焦点をあて、"愛"も重要なキーワードとなっています

話は戻って予告編。死屍累々と横たわる兵士の映像の直後、涙を流す小喬、周瑜と諸葛亮、そして曹操が次々とフレーム・インし

愛と勇気の伝説
ここに完結

の文字。前作Part Iからのプロローグがこれで整いました。随所に挿入される兵士の大軍からも本作での戦いがサブタイトルでもある"最終決戦"と呼ぶにふさわしい壮大な戦いであることが伺えます。

「二日後、全軍で赤壁を落とす!」

と声を荒げるのは曹操。一方孫権側では諸葛亮と周瑜のこんなやり取りが。

「十万本の矢を用意する? 無理なら首を差し上げます」

言い切る諸葛亮。今回も知将と呼ばれる彼の知謀がさく裂します。戦乱の時代を描いた作品でありながら、唯一、武器を手にしない孔明はいわば異色を放つ存在。物資の少ない孫権軍に果たしてどんな方法で十万もの矢をもたらすのか? 本作での重要な見どころでもあります。そして十万本の矢と引き換えに

「敵の指揮官の暗殺を。無理なら……」

と投げかける諸葛亮に

「私を斬れ」

と続ける周瑜。男たちの命を賭す覚悟が垣間見られる瞬間です。物語はいよいよクライマックスを迎え、それぞれの登場人物たちの決意とも取れる凛とした表情が観る者を釘付けにします。

「時は満ちた これで運命が決まる」

という台詞で、決起する兵士たち、曹操の元へ赴く小喬……刻一刻と決戦の時が近付き――ついに突撃の時、炎が闇夜を明るく照らし、数万の矢が空を切り裂きます。趙雲が、周瑜が、諸葛亮が! 張飛が、小喬が、孫尚香が、甘興が、孫権が!! 各々の戦うべき場所で戦う姿がめくるめく速さで映し出されます。

ここでタイトル、どーん!!

レッドクリフ PartII

刀を掴み自分の首に押し当てようとする小喬を、すばやく制止する曹操。ここで予告編は終わり。いよいよ大詰めを迎えるという物語の加速感がよく現れている予告編です!!

戦場の迫力は流石の一言

この日本オリジナルのこの予告編ですが、ただでさえ歴史モノというのは小難しい印象を持たれがち。加えて、その歴史が自分たちの国のものではない、というハードルもあるため、字幕も判りやすさを重視して制作されているそうです。また、すでに『レッドクリフ』はアクション大作であると認知されているので、"感動"できそうな部分も多用することを意識しているとか。配給のエイベックスの担当者にお話を伺うと、

「中国歴史モノというジャンルは、ある一定の固定ファンを保有しているものの、ハリウッド娯楽大作のような幅の広いターゲットにリーチするのは難しいため、日本人が見た『三国志」という作り方でなく、ハリウッドが「三国志」を題材に映画を作るとどうなるか?という目線から考えています。」とのこと。また、日本ではどうしても、ネームバリューがある「中村獅童」や「金城武」の露出頻度が高くなってしまい、「今までと同じような」予告になってしまうことが懸念されたということから採った策は、なんと日本国内ではなくハリウッドでの予告制作!!

「日本からハリウッドの予告編制作会社に発注をし、役者のバリューに頼らないスピード感のある予告編映像に仕上げています。映画のキャラクターの魅力を100%生かし、映画が持つストーリーの魅力を100%出すことができたのではないかと思います。」とおっしゃるのも頷ける仕上がり。

また、本作の公開にあたり、自分だけのオリジナル予告編を作れる"予告編メーカー"なるものがあるのを、ご存知でしょうか? 実は前回も好評だったというこの"予告編メーカー"、なんと様々なシーンから選んだ映像をつなぎ、音楽を選び、独自に字幕もつけることも出来ます。つい時間を忘れてハマってしまうこと、間違いナシ! ちなみに私が作ってみた予告編はこちら。

いやあ、自分でプチ予告編を作ってみて改めて感じることですが、様々なシーンから想像力を駆使して無数のパターンからたった一つの組み合わせを選び、生み出される予告編。本当に大変な作業です。皆さんもオリジナルの予告編を作ってみて、予告編という存在の奥深さを是非実感してみてください! 今までとはちょっと違った目線から予告編を観ることが出来るようになるかもしれません。

さて、本編ですが、個人的にツボなのは、勿論、金城武演じる諸葛亮。私はインテリっぽい男性に弱いのですが、それに加え、どんなにピンチでも取り乱す姿を微塵も見せたりしないのですから、モロ、ストライクゾーン。そしてもう一人、心ときめく人がいます。……それは、劉備軍の武将、髭がシンボルマークの関羽です。武を誇る猛将でありながら、学問も好んだそうで、そろばんを発明したという説も。やはり…インテリ好き!? なようです。

他国の物語、歴史、戦モノという女性には苦手な要素をいくつも持ちながらも、女性も楽しめるエンタテインメント作品となっているのはジョン・ウー監督の力があってこそ。文章や漫画などの静止画ではいまひとつピンと来なかった戦法も動画で目にすることが出来、新鮮味をもって本作鑑賞に臨めました。今回も新たな戦略の応酬が満載なので、是非楽しんでください。

この作品のタイトルであり、物語の主軸である"赤壁の戦い"は原作「三国志」のほんの一部。日本国内での三国志の認知度はなんと97%だそうですが、詳しい人となるとかなり数字が減るのではないでしょうか? 本作を機会に、「三国志」読破に挑戦してみるのも良いかも知れません。

かつらの予告編★ジャッジ

内容バレバレ度 ☆☆☆
本編との共鳴度 ☆☆☆
どーん壮大度 ☆☆☆☆☆

STORY

西暦208年、魏呉蜀が争う中国・三国時代。諸葛亮の奇策で曹操軍を撤退させた孫権・劉備連合軍だったが、食料不足と疫病のために戦意も尽きようとしていた。2,000隻の戦艦と80万の兵士で全軍攻撃を企てる曹操軍。迎え撃つ周瑜と孫権、諸葛亮が仕掛ける作戦とは?それぞれの未来は、赤壁で決する─。


(c) 2009, Three Kingdoms, Limited. All rights reserved.

4月10日(金)よりTOHOシネマズ 日劇ほか全国超拡大ロードショー

春錵かつら(はるにえ・かつら)

映画予告編評論家 / ライター

CMのデータ会社にて年間15,000本を超える東京キー5局で放送される全てのCMの編集業務に3年ほど携わる傍ら、映画のTVCMについてのコラムを某有名メールマガジンにて連載。2004年よりフリーライターとして映画評論や取材記事を主とした様々なテーマを執筆しながらも大手コンピュータ会社の映画コンテンツのディレクターを務めたのち、ライター業に専念、現在に至る