ゲストへのお弁当の用意でリスクへの考え方が分かる

元国税職員さんきゅう倉田です。好きな電卓は「カシオ」です。

芸人には営業という仕事があります。

どこかへ出向いて、ネタやトークをすることです。劇場でのネタ時間は、2分〜4分程度が一般的ですが、営業の持ち時間は30分を超えることもあります。 みんなそれぞれの経験と持ちネタを活かして、時間いっぱいお客さんを楽しませています。

ぼくも営業に行きますが、ネタはやりません。事前にテーマが与えられて、講演のようなことをします。何かしらの"話"ですね。30分から90分が持ち時間で、スライドを使ったりグループワークをしたりと参加者に合わせて調整しています。

さて、講演会の場合はその後に会食があります。参加者や依頼者と交流する楽しい時間なので積極的に参加するし、それを目的に依頼してくれる人も多い。

一方で、営業の場合は打ち上げはありません。参加者は当日ふらっと参加した方やチケットを購入した方で、依頼者と知り合いではないからです。流石に、事務局の数人でご飯に行きましょうと誘ってくることはない。だから、営業の場合はお弁当が用意されています。

営業で用意されているお弁当には担当者のカラーが出る

テレビ局の楽屋に置いてあるお弁当は、用意されるお弁当の中で出色だと思います。種類が選べるし、力を入れているのでどれを選んでも美味しい。

営業でご用意いただくお弁当は普通のお弁当が多い。なんというか、普段、お弁当を用意してない人が買ってくれたと分かるお弁当です。

具体的には、"熱や力のもとになるもの"が1つ置いてあるだけです。そこまでの道中で買った「お弁当」と呼べるものを適当に買ってきています。あるいは、スタッフと同じ採算のみを追求した仕出し弁当です。

前提として、用意していただけるだけありがたいです。拘束時間は5時間程度なので、食べ物はなくても構いません。用意されたものを食べない先輩も多い。ただ、せっかく用意するのなら、その人の仕事の能力が伝わるものがいいと思います。

最もリスクが低いのは「◯◯に行くんですが、何がいいですか? 」と聞くこと

お昼休憩のときに、買いにいらっしゃるときは何が食べたいか聞いてくださいます(営業は同じ日に複数のステージをこなすことが多い)。どこに行くのかが分かれば、こちらも頼みやすい。そのときの気分で、サラダにしたり、ヨーグルトにしたりします(眠くなるので、合間にはあまり食べないようにしています)。

お仕事の都合で買いに行く時間がないとか、1ステージのみであるとか、そういった場合は、事前に用意したものが楽屋に置いてあります。結果、ぼくが食べられないものかもしれないけれど、それはぼくが悪い。というか、基本的に誰も悪くない。

ただ、休憩中に買いに行く場合で、食べる人に何も聞かないのは良くないことであると断言します。

※以下は、過去の担当者さま個人を責めるものではありません

お弁当を買ってきてくれたんです。それが、お寿司とお蕎麦がセットになったお弁当(?)だったんです。近所のスーパーで買ってきてくださいました。付け合わせとか野菜のない、個性的なお弁当でした。

基本的には、聞いたほうが良いと思うんです。そのほうがトラブルがないから。

事前に聞けない状況なら聞かなくていいですよ。さっきまでお喋りしてたのに、いつのまにかお弁当を買いに行って個性的なものを用意するのは、リスクに対する考え方が甘いと思います。

担当者さんは、自分にも同じものを買ってきていました。

それも工夫が足りないと思います。2個買うなら、自分が食べたいものを2種類買ってきて、それをぼくに見せて1つ選ばせたほうが、満足度は高まる。もし、ぼくが蕎麦アレルギーだったらどうするのでしょうか。また違うものを買いに行くのでしょうか。

そういうリスクを避けるために、事前に確認したほうが担当者さんにとっても楽だと思います。お弁当1つで、その人が何を考えて仕事に向き合っているかが分かります。

ぼくはお弁当を残してしまいました。それに気づいた担当者さんの悲しい顔。それを見たときの締め付けられるような思い。もう2度と味わいたくありません。

でも、その経験があるから、自分が他人に食事を用意するときは積極的にリスクを回避するようになれたと思います。リスクへの考え方は、仕事の能力に比例するとても重要なものなのです。