全6回のシリーズでお送りしてきた連載「転職の今がわかる、66の質問」も、いよいよ最終回の「転職後」となる。これまで転職の意志を固め、周到に下調べや準備をし、退職の手続きを整えつつ履歴書の提出や面接をこなしてきた転職希望者たち。今回は晴れて転職を果たした先達の「その後」を、アンケートを通じて深堀りしていこう。

  • 転職後

以下、20~30代のマイナビニュース男女会員400名にアンケートを実施し、「転職経験がある」と回答した292名に質問。

Q56.転職は成功でしたか? それとも失敗でしたか?

「成功」(83.6%)
「失敗」(16.4%)

Q57.転職してもっとも良かったと思うことを教えてください

1位「年収のアップ」(27.7%)
2位「仕事のやりがい」(24.3%)
3位「人間関係の改善」(19.2%)
4位「新しいキャリアの形成」(16.1%)
5位「人事評価のリセット」(5.8%)
6位「その他」(4.1%)
7位「特になし」(2.7%)

Q58.転職してもっとも失敗したと思うことを教えてください

1位「特になし」(31.5%)
2位「人間関係の不満」(17.8%)
3位「年収が下がった」(15.8%)
4位「応募要項と実際の業務が異なる」(14.0%)
5位「仕事がつまらない」(7.2%)
6位「仕事についていけない」(6.8%)
7位「ローン審査が不利になった」(4.1%)
8位「その他」(2.7%)

*Q59.転職して、もっとも不安に感じたことを教えてください

1位「人間関係」(35.6%)
2位「金銭面」(17.5%)
3位「会社の将来性」(13.7%)
4位「待遇」(12.7%)
5位「仕事量」(11.3%)
6位「特になし」(8.6%)
7位「その他」(0.7%)

Q60.不安が解消したのは、転職からどれくらいの期間がかかったのかを教えてください

1位「1カ月後」(26.2%)
2位「3カ月後」(22.5%)
3位「解消しない」(21.0%)
4位「半年後」(14.2%)
5位「1~2週間後」(8.6%)
6位「1年以上」(7.5%)

Q61.転職後、もっとも気をつけたことを教えてください

1位「コミュニケーション」(40.4%)
2位「社風を早くつかむこと」(22.9%)
3位「社会人マナー」(13.4%)
4位「言葉遣い」(10.3%)
5位「上下関係」(7.2%)
6位「身だしなみ」(5.5%)
7位「その他」(0.3%)

Q62.転職後、職場で馴染むためにしたことを教えてください(複数回答可)

1位「周囲への気遣い」(45.2%)
2位「仕事を早く覚えた」(43.2%)
3位「社風や社内ルールを尊重すること」(29.8%)
4位「周囲に積極的に話しかけた」(27.1%)
5位「飲み会などに参加すること」(21.6%)
6位「身だしなみに気を配る」(19.5%)
7位「その他」(0.3%)

Q63.転職後、すぐに退職したことはありますか。それはどのくらいの期間でしたか

1位「ない」(52.7%)
2位「1カ月以内」(11.3%)
3位「2カ月以内」(11.0%)
4位「3カ月以内」(9.6%)
5位「7カ月~12カ月以内」(7.9%)
6位「4~6カ月以内」(7.5%)

Q64.転職後、私生活にどのような変化がありましたか。もっとも感じる変化を教えてください

1位「趣味に費やせる時間が増えた」(21.9%)
2位「自由にできるお金が増えた」(20.9%)
3位「何事にも前向きになった」(18.8%)
4位「交友関係が広がった」(16.1%)
4位「将来のビジョンがたてられた」(16.1%)
6位「その他」(6.2%)

Q65.転職前にもっとも「すべきだった」と感じたことを教えてください

1位「仕事に必要なスキルを身につける」(26.4%)
2位「転職先の企業の情報収集」(21.2%)
3位「転職の目的を明確化する」(19.5%)
4位「転職活動のスケジュールを立てる」(17.5%)
5位「転職に必要な費用の工面」(12.3%)
6位「その他」(3.1%)

Q66.転職後、印象的だったことを具体的に教えてください(自由回答)

・「周りの人が穏やかで、人間関係に疲れにくくなった。自由な時間が増えた」(31歳女性/官公庁/公共サービス関連)
・「給料が100万円増えて嬉しかった。ワンランク上の住宅に住み替えできた」(38歳男性/医療・福祉・介護サービス/専門サービス関連)
・「元職場は女性ばかりで人間関係がうまくいかなかったが、転職後の職場は男性が多く人間関係も良好で、自分にとって良い環境」(31歳女性/建設・土木/事務・企画・経営関連)
・「若くしてのキャリアアップにつながるための経験、権限をもらえたこと。たくさんの経営層と触れられる機会が増えた」(39歳男性/通信関連/営業関連)
・「べンチャー企業に移った時、社員数が少数で全員の顔と名前を覚えられるくらいの規模で、前職よりもチームで仕事をするという意識を強く持つようになったのが印象的だった」(34歳男性/広告・出版・印刷/事務・企画・経営関連)
・「同族企業だからか、株式会社なのに創業者一族が異常に神格化されていて驚いてしまった」(33歳女性/銀行/事務・企画・経営関連)
・「直属の上司との接し方、休憩時間の各々のマイペースな過ごし方、デスクに家族写真を飾っている人の多さ」(30歳女性/精密機器/事務・企画・経営関連)
・「もっと早く転職すればよかったと思うほど休みが取りやすかったり、仕事量が多くなかったりした」(32歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「転職したことによって人との会話も増え、とても楽しく職場に行くことができた。仕事自体はきついこともあったが、周りの方々がいい人ばかりだったので、乗り越えてこられたんだろうなと思う」(24歳女性/その他/公共サービス関連)
・「期待を膨らませて心機一転で頑張ろうと思いましたが、朝から夜中まで働かされてその大半がサービス残業。そのことを少し上司に言っても、『ここでは当たり前だから』と聞く耳を持ってくれず。このままだと精神面、体力面でおかしくなると思い、退職しました」(36歳男性/サービス/専門職関連)
・「初めての給与明細を見たら基本給が凄く安く抑えられ、意味不明な手当に総額が割り振られボーナスが低く抑えられるようになっていたり、残業代が一切支払われていなかったりした」(38歳女性/食品/技能工・運輸・設備関連)
・「人間関係が嫌で転職したが、職場が変わってもその場その場での人間関係があるのだと実感した」(32歳男性/医療・福祉・介護サービス/専門サービス関連)
・「成果を出すまでは年下の人間や古参の派遣社員にまで軽く疎んじられてきたが、結果を出したとたんに掌を返したように対応や風向きが変わった」(39歳男性/通信関連/事務・企画・経営関連)
・「前の会社の不満が解消されても、また新たな不満が出てくる。どこの会社で働いてもいいところ、悪いところがあるはずなので、いいところを見るようにすれば続けられるなと思いました」(35歳女性/ソフトウェア・情報処理/営業関連)
・「前職ではお局様みたいなのがいて、男女を問わず神経が磨り減るような毎日だった。転職後の職場では、たまたまであるがセクハラが問題になっていたことがあり、それが原因で男性を採用することになったという経緯があった。そのため、お局様のような人はおらず、ムダに気を遣う必要がなくなった」(38歳男性/その他/事務・企画・経営関連)
・「入った会社の独自の雰囲気になかなか慣れず非常に困っていたし、何度も辞めようと思ったけれど、上司が変わればいろいろ変わると聞いていたので、もう少しもう少しと思って過ごしていた」(38歳女性/不動産/事務・企画・経営関連)
・「保育園からの急な迎えの電話が会社にかかってきて、代わるときに『電話をかけてくるなと言っとけ』とか言ってくる役員がいる。育児環境が整っているとか嘘だらけの会社で、人の出入りが激しかったのが印象的。転職は失敗だらけ」(39歳男性/その他/クリエイティブ関連)
・「どこの企業もブラック企業だと思った」(38歳男性/非鉄金属/技能工・運輸・設備関連)

■総評

調査の結果、転職が「成功」したと回答した人は83.6%、「失敗」と答えた人は16.4%と、大部分の人が成功と考えていることがわかった。

転職してもっとも良かったと思うことは、1位が「年収のアップ」で3割近い27.7%が挙げている。2位は「仕事のやりがい」(24.3%)、3位は「人間関係の改善」(19.2%)、4位「新しいキャリアの形成」(16.1%)、5位「人事評価のリセット」(5.8%)と続いた。この結果は、本連載の第1回で聞いた「転職の一番の決め手」の答え、1位「労働時間や休日などの労働条件」(29.0%)、2位「職場の人間関係の解消」(24.4%)、3位「給与面」(24.0%)、4位「キャリアアップ」(16.8%)と対比すると興味深い。「労働時間や労働条件」「人間関係」が転職の一番の決め手だったものの、実際は「年収のアップ」や「仕事のやりがい」にこそ喜びを感じているということだろうか。

転職してもっとも失敗したと思うことは「特になし」(31.5%)が最多となった。以下、2位「人間関係の不満」(17.8%)、3位「年収が下がった」(15.8%)、4位「応募要項と実際の業務が異なる」(14.0%)、5位「仕事がつまらない」(7.2%)、6位「仕事についていけない」(6.8%)、7位「ローン審査が不利になった」(4.1%)となった。2位と3位はちょうど、上記の転職して良かったと思うことの3位と1位の裏返しとなっている。

転職して、もっとも不安に感じたことは1位「人間関係」(35.6%)、2位「金銭面」(17.5%)、3位「会社の将来性」(13.7%)、4位「待遇」(12.7%)、5位「仕事量」(11.3%)となっている。ここまでの設問の回答としてはいずれも、金銭面や待遇、仕事、人間関係の3点がメインとなっており、転職を成功と見るにしても失敗と捉えるにしても重要な評価基準と言えるだろう。これらの不安が解消したのは、転職から「1カ月後」(26.2%)がもっとも多かった。2位「3カ月後」(22.5%)、5位「1~2週間後」(8.6%)と合わせて半数以上が3ヵ月以内に解消しているが、一方で「解消しない」人も21.0%もいる。

転職後、もっとも気をつけたことは、1位「コミュニケーション」(40.4%)、2位「社風を早くつかむこと」(22.9%)といった、新しい環境への適応を挙げた人が多かった。また、3位「社会人マナー」(13.4%)、4位「言葉遣い」(10.3%)、5位「上下関係」(7.2%)、6位「身だしなみ」(5.5%)など、社会人としての常識的な振る舞いに気をつけている人も一定数いた。

職場で馴染むためにしたことは(複数回答可)、1位「周囲への気遣い」(45.2%)、3位「社風や社内ルールを尊重すること」(29.8%)、4位「周囲に積極的に話しかけた」(27.1%)、5位「飲み会などに参加すること」(21.6%)など、前問と同様、周囲と円滑なコミュニケーションを取ることに腐心している。また、会社員の本分である2位「仕事を早く覚えた」(43.2%)や、外見で不快感を与えないための6位「身だしなみに気を配る」(19.5%)も挙げられている。

転職後、すぐに退職したことがあるか、それはどのくらいの期間だったか、という問いには、「ない」と答えた人が半数以上の52.7%となった。退職したことがある人では、「1カ月以内」(11.3%)がもっとも多かった。「2カ月以内」(11.0%)、「3カ月以内」(9.6%)を合わせると、3割以上が転職後、3カ月以内に辞めた経験があることになる。これはかなり高率の印象だが、皆さんはどう感じるだろうか。

転職後、もっとも感じる私生活の変化は、1位「趣味に費やせる時間が増えた」(21.9%)、2位「自由にできるお金が増えた」(20.9%)、3位「何事にも前向きになった」(18.8%)がトップ3となり、時間、金銭面、マインドの変化が私生活に訪れている様子がわかる。4位「交友関係が広がった」「将来のビジョンがたてられた」(各16.1%)もポジティブな変化と言えそうだ。

転職前にもっとも「すべきだった」と感じたことは、1位「仕事に必要なスキルを身につける」(26.4%)だった。転職者は即戦力として採用されることも多く、課せられたミッションを遂行するための十分なスキルを持っていることは必須の条件かもしれない。以下、2位「転職先の企業の情報収集」(21.2%)、3位「転職の目的を明確化する」(19.5%)、4位「転職活動のスケジュールを立てる」(17.5%)、5位「転職に必要な費用の工面」(12.3%)と続いた。

転職後、印象的だったことについては、転職が成功した人、失敗だと思っている人の両方からの体験談が寄せられているが、どちらかというと失敗だったエピソードに臨場感や切実感を感じるものが多い印象だ。大きな期待を持って転職をしただけに、思惑が外れた時の落胆は大きい。転職が必ずしもバラ色の未来ばかりではないことを認識できるという意味でも、貴重なものとなっている。

さて、6回にわたってお送りしてきた本連載も、今回で最終回となる。いまいちど全編を読み返してもらうことで、現在転職活動をしている人や、近い将来の転職を考えている人にとって有益な情報が得られるのではないだろうか。特に、転職経験者から寄せられた赤裸々なコメントは要注目だ。また現職に満足している人も、いつか訪れるかもしれない転職の日へ向け示唆に富む内容となっていることだろう。それぞれの人がそれぞれの受け止め方で参考にしてみてほしい。

調査時期: 2018年10月12日~2018年10月18日
調査対象: マイナビニュース会員(20~30代会社員)
調査数: 400人
調査方法: インターネットログイン式アンケート

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