本連載の第167回では「問題解決には熟慮よりスピードが大事」という話をお伝えしました。今回はエクセルの集計・分析ツール「ピボットテーブル」を使うことのメリットついてお話します。
毎日、あるいは月次などで、ある資料のデータと別の資料のデータの整合性を目視でチェックしていたり、決められたルールで集計するのに毎回何時間も費やしていたりする現場をよく見かけます。
扱うデータの量や種類が多くて作業量が膨れ上がっているような場合には、自動化できないかかと一度は考えたことがある人が大半ではないでしょうか。しかしそうは言っても「もちろん作業を自動化できれば楽になるし嬉しいけれど、なんだか難しそうだし自動化ツールにお金がかかったりするのでは」という理由から、これまで通り手作業で我慢していませんか。
確かにVBAでマクロを一から作ったりRPAのツールを新しく入れたりするとなると、それなりにスキルや労力、費用を要することはあります。しかし、既に今あるお馴染みのツールを駆使して自動化の恩恵に預かることはできます。
エクセルの集計・分析ならピボットテーブル
ビジネスパーソンならほとんどの方がご存知であろうピボットテーブル。ですが、業務で使いこなせている人はあまりいないように思います。ピボットテーブルは非常に強力なツールなので是非、使いこなしていただきたいです。以下ではピボットテーブルの便利なところを3つご紹介します。
1. 直感的な操作が可能
ピボットテーブルでの集計や分析には複雑なロジックやプログラミングの知識は一切不要です。その代わりにマウスを使ったドラッグ&ドロップの操作で、直感的に必要な集計・分析を行います。しかも、操作の結果は即座に表示されるので待ち時間もなく、手作業での集計・分析と比べて作業スピードが遥かにアップします。
但しピボットテーブルの操作に慣れない内は、何をどのように操作すれば欲しいデータを得られるかピンと来ないかもしれません。その場合は自分でピボットテーブルを作ってみて、データがどのように表示されるのか実験するのが一番です。色々と試している内に、「こう操作するとこういう結果が表示されるのか」と感覚的に理解できるはずです。そこに至るまでにそれほど時間はかからないはずなので、根気よくトライしてみてください。
2. 柔軟に変更できる
ピボットテーブルを使わずにデータの集計や分析をすると、複雑なものでは何時間もかかったりするのではないでしょうか。それだけの時間と負荷をかけたにも関わらず、上司から「うーん、やっぱり違うな。。別の角度から集計し直してください」と言われたらどうでしょうか。データ集計をやり直すのに、また何時間もかかってしまうかもしれません。
しかし、ピボットテーブルを駆使した場合は全く違います。上司から同じように「別の角度から集計し直してください」と言われてから数秒で修正を完了させて、「これでどうでしょうか」と見せることが可能です。もちろん、そこからさらに別の形で集計し直すことも、ものの数秒で対応できます。この圧倒的な柔軟性とスピードは大きな武器になるはずです。
3. 元データの変更が即座に反映される
集計や分析をするためにあれこれとデータを加工した後で、上司から「このデータを追加してほしい」とか「データの一部を修正したい」と言われた場合、元データの追加や修正をした上でもう一度、同じ加工を施さなければならないのではないでしょうか。
また、例えば最新のデータを毎週取得し、反映させた上で集計・分析するといった作業を行う場合には、毎度同じようにデータの加工手順に沿って一から作業しているのではないでしょうか。しかし、これでは手間と時間がかかり過ぎてしまいます。
そこで使えるのがピボットテーブルです。ピボットテーブルを操作して一旦、必要な集計や分析を終えたら、元データの値が変わったり行が追加されたりしてもピボットテーブル上で「更新」という処理をすれば一瞬にして最新の元データを反映した集計・分析結果が表示されます。これまで毎回、時間をかけて行っていた作業がほんの数秒で終わるということです。
なお、元データの値の変更の場合には特に気にする必要はありませんが、元データの列や行を追加または削除する場合にはピボットテーブルの集計対象範囲を調整する必要があるのでお気をつけください。
以上、ピボットテーブルを使うメリット3つをお伝えしました。ピボットテーブルは単純な数値の合計を出すだけではなく集計対象項目の平均値を算出したり、割合をパーセンテージで表したりと色々な操作が可能です。エクセルでの集計や分析の作業が多い方は、使いこなせると生産性が跳ね上がること間違いないので、ぜひチャレンジしてみてください。