『あんぱん』では役を生きるため5キロ増、そして5キロ減
2025年、高橋はNHK連続テレビ小説『あんぱん』に初出演。北村匠海演じる柳井嵩の親友・辛島健太郎を演じた。高橋は健太郎を演じるにあたり、福岡から東京へ出てきた青年らしい雰囲気を作るため、まず体重を約5キロ増量。その後、戦争場面の撮影に向けて1週間で約5キロ落としたという。戦時中の食生活を意識し、実際に干し芋を1日1枚食べる生活を3日ほど試すこともあった。
「なるべくできるところはやろう」
そんな姿勢からも、役を外側から演じるのではなく、その人物が置かれた状況を少しでも自分の身体で理解しようとする、高橋の役作りへの向き合い方が見えてくる。また、北村との出会いについても「すごく大きい」と語り、芝居への意識や現場でのたたずまいなど、多くを学んでいると明かした。『最愛』で先輩俳優との共演によって価値観が変わったと語ってから約4年。キャリアを重ねてもなお、共演者から何かを吸収しようとする姿勢は変わっていない。
主演だけでなく「作る側」へ
2025年には、さらに新しい一歩を踏み出した。縦型ショートドラマ『この恋は、理想形。』で主演を務めるだけでなく、初めて企画プロデュースにも挑戦したのだ。タイトルを考え、キャスティングに参加し、台本作りにも携わった。本人にとっては「何もかもが初めて」。それでも、スタッフやキャストに支えられながら作品と向き合う日々について、「自分は幸せ者」と語った。
役を与えられて演じる俳優から、自分自身が作品の形を考える立場へ。芝居をするだけでなく、タイトルやキャスティング、台本作りまで作品制作の領域へと関わりを広げたことは、高橋のキャリアにおける新たな一歩と言えるだろう。
2025年末には「GQ MEN OF THE YEAR 2025」のブレイクスルー・アクター賞を受賞。高橋は2025年について、朝ドラ初出演や初プロデュースなど「いろんな初めて」を経験したと振り返り、自ら掲げていた「挑戦の年」が形になったと手応えを口にしている。
そして『ブルーロック』へ
そんなキャリアの先に待つのが、2026年8月公開予定の実写映画『ブルーロック』だ。高橋が演じる主人公・潔世一は、“ブルーロック”と呼ばれる施設でライバルたちとの熾烈な競争に身を投じ、世界一のストライカーを目指していく人物。物語の中で、自らの才能や“エゴ”を覚醒させながら変化していくキャラクターでもある。
振り返れば、高橋自身もまた、俳優として走りながら変化を続けてきた。2021年には「役者としての価値観も変わりました」と話し、芝居の楽しさと深さを知った。2024年には「僕は芝居が好きです」と言い切った。そして2025年には、芝居を「人生の生きがい」と呼び、「1人でも多くの人を救える役者」になるという目標を掲げた。
18歳で『仮面ライダーゼロワン』という大作の主人公に抜てきされた青年は、多くの役、作品、人との出会いを経て、25歳となった今、再び大きな作品の主人公を背負う。高橋文哉がこれまで積み重ねてきた芝居への思いは、潔世一という役でどんな形を見せるのか。『ブルーロック』は、俳優として走り続けてきた彼の現在地を映す一本にもなりそうだ。

