「結局、泣き寝入りだよ……」そう肩を落としたのは、お笑いコンビ・ニューヨークの嶋佐和也。4月26日に更新されたYouTubeチャンネル『ニューヨーク Official Channel』で、クレジットカードで貯めた12~13万ポイントを不正利用されたことを報告。「警察署に行って被害届出した。ムカつきすぎて」と犯人への怒りとともに、クレジットカード会社のカスタマーセンターの対応に、「電話とかメールでやり取りしたんですけど。“原則、もう戻せません”みたいな」「そりゃねぇだろ!」とショックを隠しきれなかった。
あまりにも理不尽な出来事に同情せずにはいられないが、私たちが同じような状況に直面した場合、嶋佐が絶望したように、諦めるしかないのか。また、泣き寝入りしないための「最善の対処法」とは。正木裕美弁護士(アディーレ法律事務所)が解説する。
まずは利用規約や補償の有無・条件を確認
――ポイントの不正利用に対し、法的に「返還」を求めることは可能なのでしょうか? また、カード会社に「法的義務(調査・補償義務)」はないのでしょうか?
クレジットカードやポイントは、発行している会社との契約に基づいて利用しています。クレジットカードそのものの不正利用の場合、規約には「チャージバック」という、カード名義人が不正利用、商品未着等の所定の理由で支払いに同意しないときに、加盟店の売り上げを取り消して消費者に返金する制度があります。そのため、利用者に重大な過失がなく、規約が定める所定の条件を満たしていれば返金してもらえます。
クレジットカードのポイントの不正利用もポイントサービスの規約の内容によるものの、チャージバックのような制度がないのが一般的で、ポイントの補償に関する条項すらないこともあります。例えば、楽天ポイントカード利用規約では、第三者の不正利用によって受けた損害につき、会社側に帰責事由のある場合を除いて責任を負わないと明記しています。まずは、ご自身の利用しているポイントに関する利用規約を確認したり、カスタマーサポートに連絡をして補償の有無や条件を確認したりするのがよいでしょう。
不正利用か判断するために調査は行われますが、不正利用がカード会社側のトラブルのせいではなく、補償や返還の制度もないとすれば、カード会社にポイントの返還や補償、それ以上の調査を求めることは難しいでしょう。ただし、状況によっては個別にポイント返還に対応している場合もあるようなので、まずは窓口に問い合わせるとよいでしょう。
不正利用によって被った損害の賠償を請求できる可能性
――「被害届」を出すことは、ポイント奪還にどの程度有効でしょうか?
被害届を出して受理番号を提出するよう規定や指示がある場合もありますが、そうでなかったとしても有利に働く可能性があります。
警察に被害届を出して事件化することで、開示してもらえなかった情報等が得られたり、調査が進んだりする可能性があります。
また、嶋佐さんの不正利用被害と同様、誰によるものか不明のケースが多くあります。今年4月には、不正に入手したIDとパスワードからポイント払いに使うバーコードを表示するツールを作成、提供した男や、ツールを実際に利用して他人のポイントで買い物をしていた男らが逮捕されています。捜査によって加害者が特定できれば、ポイントそのものの返還は受けられなかったとしても、不正利用によって被った損害の賠償を請求できる可能性があります。
ログイン履歴や明細など“証拠”を保存
――同様の被害に遭った際、泣き寝入りしないための「最善の対処法」は?
まずは、ポイントサービスに関するカスタマーサービスやサポートに連絡し、不正利用があったことを申告し、停止措置をとってもらいましょう。また、不正利用に使われたIDやパスワード等を使い回しているときは、ポイント以外の全てのパスワード等も早急に変更し、被害拡大を防ぐとよいでしょう。
さらに、警察への被害相談や被害届も行いましょう。カードやポイントを不正利用することは詐欺罪や電子計算機使用詐欺罪になりますが、これらの被害者は名義人ではなくカード会社側だと考えられているために被害届ができません。不正アクセス禁止法違反など別の形で被害届せざるを得ませんので、ログイン履歴や明細など不正利用されたことがわかる証拠を保存しておきましょう。
■アディーレ法律事務所 正木裕美 弁護士
一児のシングルマザーとしての経験を活かし、不倫問題やDV、離婚などの男女問題に精通。TVでのコメンテーターや法律解説などのメディア出演歴も豊富。コメンテーターとして、難しい法律もわかりやすく、的確に解説することに定評がある。

