蒸し暑い夏、デリケートゾーンが蒸れたり、痒くなったりした経験がある人も多いのではないだろうか。ちょっと気になるけれど病院に行くべきなのか迷ったり、性感染症かもしれないと悩んだりと、デリケートゾーンのことはなかなか人に相談しづらいもの。そこで今回は美容皮膚科・美容外科・形成外科のやながわ厚子医師に、気になるデリケートゾーンの悩みについて解説してもらった。

  • デリケートゾーンの悩み、解決策は?

    デリケートゾーンの悩み、解決策は?

 デリケートゾーンの痒みの原因は?

痒みには色々な原因があり、一般的なものでは、皮膚がかぶれてしまい痒みが出てくる接触性皮膚炎や刺激性皮膚炎、もしくは性感染症の2つが挙げられる。

■接触性皮膚炎や刺激性皮膚炎の原因

・生理ナプキン
・下着の化学繊維や染料
・新品の下着に付着している接着剤などの成分
・通気性が悪い矯正下着や密着性の高い下着
・入浴時の洗いすぎ
・トイレのビデでの擦りすぎ

おりものは膣内を弱酸性の常在菌で環境を整えて、雑菌の繁殖を防いでいる。洗いすぎはこの環境を壊してしまう。特にアルカリ性となる石鹸などの成分が残っていたりすると弱酸性の環境が崩れ、細菌などの感染のリスクが高まる。日常的な生活習慣でも痒みの原因になるため、注意が必要だ。

■性感染症の原因

・カンジダ
・クラミジア
・トリコモナス
・性器ヘルペス
・毛じらみ
・股部白癬(インキンタムシ)

性感染症の中でも多いのはカンジダ症。性交渉で感染するが、性交渉がなくても感染するケースがある。特に免疫力の低下した際や、抗生剤の服用などで常在菌のバランスが崩れるとかかりやすくなる。

 デリケートゾーンが臭うのはなぜ?

デリケートゾーンには体臭の原因の一つとなるアポクリン汗腺がある。汗自体は無臭だが、皮膚の表面に出ると、皮脂や分泌物や垢と混ざり合う。そして常在する細菌により分解、酸化されるために、臭いの原因物質が作られていく。おりものなどの分泌物があり、湿気が多く蒸れやすいデリケートゾーンは臭いが気になりやすい部位となっている。

 デリケートゾーンの痒みへの対策は?

デリケートゾーンの痒みをなくすには、洗い方が重要だとやながわ医師は解説する。

「デリケートゾーンは粘膜があり、皮膚も薄くて敏感な場所です。洗いすぎは良くないので、擦らずに優しく洗浄し、刺激の少ない洗浄料で洗うことをおすすめします。デリケートゾーン専用の洗浄料も販売されているので、使ってみるのも良いですね。同様にビデの使いすぎには注意してください。下着など直接触れるものでは、痒みが出た場合は接触している原因になっているものを避けるといいでしょう。また、コンドームでアレルギーによる痒みが出る方もいます。デリケートゾーンはお顔を扱うのと同じで優しく扱ってください」

痒みがひどい場合や痛みがある時、赤く腫れている場合は医療機関への受診が必要だ。また、おりものの色や臭いが変だったり多かったりする場合も、病気の可能性があるため早めに受診をしよう。

 デリケートゾーンの蒸れへの対策は?

デリケートゾーンの蒸れは、通気性が関係している。下着の繊維によっては、蒸れを起こしやすいので、通気性、吸湿性の良い綿素材を選ぶことが重要となる。また、レギンスやストッキング、締め付け過ぎる下着など密着性の高いものは蒸れの原因になるので、気になる時は使用を避けるといいだろう。

最近では蒸れだけでなく、デリケートゾーンの黒ずみを改善し、臭いも抑えてくれるジェル状のデリケートゾーン専用ケア製品も販売されている。これらの商品を活用することも効果的だ。

 VIOの脱毛はしてもいい?

広告でよく見るVIO脱毛。美容皮膚科として脱毛も行っているやながわ医師は、一定の効果があると話す。

「雑菌の繁殖や、蒸れを抑えるために、デリケートゾーン(VIO)のレーザー脱毛をする時ももあります。生理中は毛に経血が付着し、毛があると蒸れやすく、清潔に保つことが難しいので医療脱毛をする方も多く、おすすめしています」

蒸れ対策として脱毛は効果があるそうなので、気になる時は一つの解決策として考えてみても良いかもしれない。

 生理の時の蒸れへの対策は?

生理中の蒸れの対策は、雑菌の繁殖を防ぐために生理ナプキンをこまめに変えることが重要となる。ナプキンの種類も最近は豊富にあるため、自分に合ったナプキンを見つけると良いだろう。布ナプキンを使用するのも一つの方法だ。タンポンの使用では、繊維でかぶれてしまうことがあるため、一定時間での取り替えを心がけるようにしたい。

デリケートゾーンの痒みや蒸れには様々な原因がある。敏感な部分だからこそ、優しくケアをすることが大切だ。痒みや臭いが強い時は、病気のサインの可能がある。気になる時は、早めに医師に相談すると良いだろう。

取材協力: やながわ厚子(ヤナガワ・アツコ)

美容皮膚科・美容外科・形成外科。En女医会所属。
美容皮膚科クリニック ヤナガワクリニックの院長を務める美容のエキスパート。
美容医療や化粧品に詳しく新しい美肌治療や化粧品や食事やサプリメントも含まれて体の中からも美肌を目指す。インスタグラムなども活用し、積極的に情報を発信している。二児の母でもある。

En女医会とは
En女医会は150人以上の女性医師(医科・歯科)が参加している会。さまざまな形でボランティア活動を行うことによって、女性の意識の向上と社会貢献の実現を目指している。会員が持つ医療知識や経験を活かして商品開発を行い、利益の一部を社会貢献に使用。また、健康や美容についてより良い情報を発信し、医療分野での啓発活動を積極的に行う。