女性に毎月訪れる生理。仕事の時や遊びに行く時、生理が来ると気分も萎えてしまう。生理痛がひどかったり、胃腸の調子が悪くなったり、生理の時は体の不調を感じやすい。お祭りや外出のイベントが多い夏の季節は、生理痛に悩まずに過ごしたいもの。

  • 生理痛を改善するには?

    生理痛を改善するには?

そこで今回は、生理痛の改善方法や対策を産婦人科医の疋田裕美医師にうかがった。

 生理痛はなぜ起こる?

医学用語で月経困難症と呼ばれる生理痛。生理時のお腹の痛みや、お腹の張り、腰痛だけではなく下痢、吐き気、食欲不振などの胃腸症状、くよくよしたり、イライラしたりするなどの精神的な症状、頭痛、むくみ、疲れやすいなどの症状が現れる。

生理痛は、子宮筋腫や子宮内膜症、子宮腺筋症などの子宮や卵巣に何かしら病気があって起こる場合と、はっきりと原因となるような病気はないが痛みが起きる場合の2つがある。後者の場合、思春期で子宮が未発達のため、硬い子宮から経血を排出する時に痛みを感じるのが相当する。

また、その他の原因として子宮内膜が剥がれる時に出る「プロスタグランジン」という物質が過剰に分泌するからではないかと考えられている。この「プラスタグランジン」は子宮の収縮を引き起こしたり、痛みや炎症を起こしたりする作用があり、過剰分泌する原因としては、ストレスや冷え、疲労などの体調不良が関係するとされている。

夏になって急に生理痛がひどくなったという場合は、冷房や冷たい食べ物・飲み物による冷えが影響していると考えられる。また、暴飲暴食、疲労、ストレスも生理痛に関係しており、生活環境や体の状態を見直すことが重要である。

 薬を飲むタイミングは?

生理痛を和らげるために、痛み止めを服用している人も多いだろう。薬の効果を引き出すためには、飲むタイミングが重要だという。

「痛み止めは痛くなってから内服するとプロスタグランジンが分泌した後になるので、痛みがなかなか引きません。タイミングとしては、本格的に痛くなる前兆のうちに内服すると効果が現れやすいです」

薬を飲んでもなかなか効果を感じられない人やすぐに効果が切れてしまう人は、低用量ピルを服用することで解決する場合もある。

「痛み止めだけで落ち着かないのであれば、低用量ピルを服用することでかなり痛みを軽減できます。しかし、ピルを内服しても生活がそのままだと、内服を中止した時にまた痛みが出現する可能性があります。生理痛がある場合には、どのような時にひどいか、生活を見直すことで、痛くなる状況を避けることができるでしょう」

また、毎回生理痛がひどい場合は病気の可能性がある。まずは産婦人科を受診し、医師への相談や検査を受けると良いだろう。

 生理痛の原因は冷え?

漢方に詳しい疋田裕美医師によると、体調不良は大きく分けて熱と寒、そして気・血・水のバランスによると考えられるという。

「日本人の場合、主に『寒』つまり冷えからの生理痛が多く見受けられます。気候的に湿度が高いので水分が溜まりやすく、体格も細身なので冷えやすい体質の人が多いようです。生理の時に温めてみて楽になるのであれば、冷えが原因と考えられます。冷えることで血行不良になり血の塊ができやすく、さらに水の流れも悪くなり、むくみやめまい、頭痛なども見られやすくなります」

冷えは様々な不調の原因となるため注意が必要だ。首、手首、足首は大きな血管が皮膚に近いので外の寒さが直接体に入りやすい。体が冷える原因は多くあり、冷たい飲食物を摂取するとお腹の中から体が冷える。また、小麦を使ったパンやパスタ、お菓子も体を冷やす作用があるため、食べ過ぎには気を付けたい。

対策としては、普段から飲み物はなるべく常温にし、薄着をしないこと重要だ。入浴もシャワーで済ませずお湯に浸かり、体を温めるようにしたい。食べ物では、体を温める作用があるシナモン、山椒、発酵食品などを意識的に摂るようと良いだろう。

 体質別の生理痛改善方法

生理痛は体質によって効果的な対処法が違う。自分の体質に合った対応をすることで、生理痛の改善が望めるという。

〇ストレスで生理痛がひどくなる人
ストレスによって気の巡りが悪くなり生理痛がひどくなる体質の人。ストレスがかかると生理の時期や痛みが変化し、胃腸の巡りも悪くなる。お腹が張る、ムカムカする、生理前にイライラやおちこみなどの精神的な不調がある、排卵痛や胸の張りがあるのが特徴だ。このタイプの人は、生理の予定の前後にはイベントを避け、リラックスするようにすると良い。気の巡りを良くするために柑橘系や香味野菜を摂ることも大切だ。

〇疲れると生理痛がひどくなる人
顔色があまり良くなく、疲れると生理痛がひどくなる体質の人。生理の量は多くはないのに痛く、激痛というよりしくしくと痛み、生理の後に痛くなるタイプの人が当てはまる。生理中にはめまいや動悸、たちくらみ、疲れやすい、お腹を壊しやすいというのが特徴だ。このタイプは、エネルギーが不足しているために起き、胃腸も丈夫でないため十分な栄養が摂れていないことが多い。ダイエットで痩せた後や、激務で十分な休養が取れていない時、出産後にしっかりと養生をしていない人に見受けられる。改善策として、休養をとること、しっかり栄養を摂ることが大切となる。

〇普段から時々お腹が痛み、オリモノが黄色で臭いがある人
熱や水分が体にこもりやすく、痛みがひどい体質の人。暑がりでしっかりした体格に多い。普段から時々お腹が痛み、オリモノが黄色で臭いがあるのが特徴だ。このタイプは、温めるとますます痛みが悪化する。辛いものや脂っこい食べ物、アルコールは控え目にし、野菜中心のあっさりした食事を心がけると良いだろう。

いずれの場合でも長くなると、お血(けつ)と呼ばれる血の巡りの悪化を招くと言われている。そうなるとなかなか改善しないので、早めに対処することが大切だ。

 生理痛に効果的な食べ物とは?

生理痛を緩和させるため、生理の時に食べておきたいものを教えてもらった。

「どのようなタイプの人でも、おすすめの食材はタイガーナッツとナツメです。タイガーナッツは、カヤツリグサの根茎で、漢方では香附子(こうぶし)と呼ばれ、女性の病気には万能と言われるものです。月経を整え、痛みを止める作用があり、気の巡りを整えます。ストレスが多い方におすすめです。ナツメは赤いので血につながると言われ、気血を補い、心を落ち着かせる作用があります。妊娠中にも摂りたい食材で、貧血でふらふらしやすい方に向いています」

タイガーナッツやナツメは大型スーパーや輸入食品を取り扱うお店、ネットなどで購入可能。

最後に疋田裕美医師に、生理痛で気を付けたいことを聞いてみた。

「私見ですが、生理痛は体の不調を訴える、体からのメッセージと考えています。そこを気づいてあげなければ、体はますます悲鳴をあげて、生理痛がひどくなるのではないでしょうか。お薬を飲まなくても良い体づくりをしていただければ嬉しいと思います」

薬で痛みを抑えてしまいがちな生理痛。普段の生活を見直してみたり、食べ物に気を遣ってみたり、健康な状態であることが一番の改善策となる。痛みがひどい時は無理をせず、早めに医師に相談しよう。

取材協力: 疋田裕美(ヒキダ・ヒロミ)

日本産婦人科学会認定医
九州大学医学部卒業後、様々な病院勤務を経て、患者さんに寄り添う医療を行うため、「芍薬レディースクリニック恵比寿」を開院。

En女医会とは
En女医会は150人以上の女性医師(医科・歯科)が参加している会。さまざまな形でボランティア活動を行うことによって、女性の意識の向上と社会貢献の実現を目指している。会員が持つ医療知識や経験を活かして商品開発を行い、利益の一部を社会貢献に使用。また、健康や美容についてより良い情報を発信し、医療分野での啓発活動を積極的に行う。