単身赴任は会社から手当の支給があっても、家計が2つになるので何かと大変です。特に遠距離だと帰宅のための交通費は相当な負担になるでしょう。そうは言っても、家族が単身赴任中に直接コミュニケーションをとれないのは問題です。

そのため、単身赴任の帰宅費が特定支出に該当するような仕組みとなっています。ただし、所定の要件はあります。特定支出控除を受けるための確定申告に必要な給与の支払者の証明書には、以下のような規定が示されています。

転任に伴い別居する者の区分とは

会社に依頼する「特定支出の帰宅旅費に関する証明の依頼書」の書式には、転任に伴う別居する者の区分(1~3)を記載するようになっています。区分の説明は以下の通りで、特定支出に該当するケースは1~3の範囲となります。

1 生計を一にする配偶者との別居を常況とすることとなった場合の配偶者

2 配偶者と死別・離婚した後婚姻していない者や配偶者の生死が明らかでない者が、生計を一にする子で総所得金額などの合計額が38万円以下の者との別居を常況とする こととなったときのその子

3 配偶者と死別・離婚した後婚姻していない者や配偶者の生死が明らかでない者が、生計を一にする特別障害者である者との別居を常況とすることとなった場合のその子

上記の依頼書には「給与などの支払者により補填される部分につき所得税が課されない部分の金額」を記する欄があります。帰宅旅費の支出につき、勤務先から補填される部分の金額で所得税が課されない部分の金額があるときにその金額を記入します。

■ 筆者プロフィール: 佐藤章子

一級建築士・ファイナンシャルプランナー(CFP(R)・一級FP技能士)。建設会社や住宅メーカーで設計・商品開発・不動産活用などに従事。2001年に住まいと暮らしのコンサルタント事務所を開業。技術面・経済面双方から住まいづくりをアドバイス。