連載コラム『株トリビア』では、「わかっているようで、実はよく知らない!?」株式用語、経済用語について、経済キャスターの鈴木ともみ氏が解説します。


今回は、「ECB」と同じく経済ニュースで頻繁に出てくる『FRB』を取り上げます。

『FRB』とは、Federal Reserve Boardの略で、日本語では「連邦準備制度理事会」と訳されます。大統領が任命した7人の理事(うち議長1名、副議長1名)で構成され、ワシントンD.C.を所在地とする中央銀行に相当する機関です。

現在のFRB議長は、女性初の議長となったジャネット・イエレン氏です。

FRBの下に位置するのが実際の中央銀行業務を行っている12の地区連邦準備銀行(Federal Reserve Banks)であり、この連邦準備銀行もFRBと略されますが、経済ニュースでFRBと出てきた場合、通常はFederal Reserve Board (連邦準備制度理事会)のことを指します。

「連邦準備制度理事会」ホームページ

FRBは、中央銀行として公定歩合・FFレートの変更、金融・金利政策、支払い準備率の決定などを行います。そして、その金融・金利政策を行う場が、公開市場操作を決定するFOMC(連邦公開市場委員会)です。

FOMCは、Federal Open Market Committeeの略称であり、FRBの7名の理事の他、5名の地区連銀総裁(ニューヨーク連銀総裁の他は11地区連銀からの輪番制)で構成され、FRB(連邦準備制度理事会)における最高意思会合と位置付けられています。

FOMCは、年に8回(基本的に6週間毎の火曜日に)開催され、その3週間後にFOMC議事録が公表されます。

FOMC終了後には、政策金利と共に、「FOMC声明文」が発表されますが、その内容に毎回、世界のマーケット参加者の注目が集まります。FOMC声明文から「今後の金融政策の方向性を探る」ことができるからです。

特に今は、超金融緩和策としてQE(量的金融緩和)・Quantitative Easing政策が行われています。

QEとは、すでに金利がゼロの状態で引き下げができないなか、景気回復を促進するために、中央銀行が資産の買い入れなどを行って、市場に出回る資金量を拡大するという政策です。このQE(QE3)政策を2014年終盤から2015年半ばまで延長するというのが、これまで、市場のコンセンサスだったのですが、最近では「FRBは10月にも量的金融緩和策を終了させ、来春から秋にかけて利上げに踏み切る」との見方も出てきました。

実際、FRBは今年に入ってから徐々に量的金融緩和の規模を縮小してきており、この縮小のスピードが今後どうなっていくのか、「出口戦略」と言われる量的金融緩和策の解除がどのように進んでいくのか、ということに強い関心が集まっています。

今のマーケットは、世界中の中央銀行が超金融緩和策を実施している前提で成立しているため、FRBの出口戦略の進展次第では、その前提が崩れ、大きな変化が生じてしまう可能性もあるのです。今後もイエレンFRB議長の舵取りと、FOMCの政策運営、声明文には注意が必要です。

執筆者プロフィール : 鈴木 ともみ(すずき ともみ)

経済キャスター・ファィナンシャルプランナー・DC(確定拠出年金)プランナー。著書『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)。東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスター。中央大学経済学部国際経済学科を卒業後、現・ラジオNIKKEIに入社。経済番組ディレクター(民間放送連盟賞受賞番組を担当)、記者を務めた他、映画情報番組のディレクター、パーソナリティを担当、その後経済キャスターとして独立。企業経営者、マーケット関係者、ハリウッドスターを始め映画俳優、監督などへの取材は2,000人を超える。現在、テレビやラジオへの出演、雑誌やWebサイトでの連載執筆の他、大学や日本FP協会認定講座にてゲストスピーカー・講師を務める。