天候が安定せず、曇った空からパラパラと小粒の雨が落ちる朝。天気予報では3月並の暖かさと伝えていたが、全く実感がなく肌寒い。この日も温かいそばを求めて向かった場所は、門前仲町。リニューアルした渋谷駅の銀座線ホームを使い、日本橋駅で東西線乗り換え。お目当ての「笠置そば 深川店」は、東京メトロ東西線「門前仲町」駅から徒歩7分のところにある。駅からは距離があるのだが、葛西橋通りに面しており、また近隣には中小の会社も多く、いわゆる駅そばとはターゲットが異なるのかもしれない。

  • 「海鮮かき揚げそば」(550円)(写真:マイナビニュース)

    「海鮮かき揚げそば」(550円)

お品書きの中には珍しいタネも

半開きで固定された戸から中に入ったのは9時過ぎ。既に4~5人の先客がいた。立ち食いオンリーのL字カウンタースタイルで、厨房内に大将が一人。店内にはラジオが流れ、また大将と一言二言言葉を交わす客。麺を茹でる湯気が早速身体を温めてくれる。注文は口頭で。短冊や写真が貼られているので適当に見やり、検討に入る。きつね、たぬき、わかめ、コロッケ、ちくわ、月見、山菜……鴨そばなんて珍しいタネもあった。卓上にはセルフのネギの隣に漬物と福神漬が。天丼やカレーライスなどのご飯物も揃えているようだ。口頭注文式だと、あまり時間をかけて迷うのも気が引ける。結局頼んだのは、ふと目に入った写真付きの「海鮮かき揚げそば」(550円)。間違いはないだろう。

かき揚げは、注文から揚げる。パチパチパチと軽快な油の音が響く。3分前後は待ったと思う。その間、水を飲みながら、隣の客にならい、卓上に代金を置いておく。かわりに自然にお釣りを渡される。

揚げたての「海鮮かきあげ」を頬張る幸せ

お待ちかねのそばの到着。ここにネギをふたつかみ投入して頂く。本当はもう少し入れたいが、節度を保つ。かき揚げはさほど大きくはなく、見た目は少し地味だ。早速こちらをひとかじり。揚げたての天ぷらはカリカリで、甘い。えび、いかとにんじん、玉ねぎ、さらいししとうで構成されており、海鮮のシコシコした歯ごたえと高温で引き出された野菜の甘みが活きている。そばはもっちりとした歯ごたえで、ややボリュームは少なめ。黒いツユは江戸前を感じるが、こちらも甘みが強い。角のない、柔らかくてやさしい一杯だ。

  • 東京メトロ東西線「門前仲町」駅から徒歩7分の「笠置そば 深川店」

空腹も相まって、最後の一滴まで飲み干す。営業時間が朝から昼過ぎまでだからだろうか、帰り際には大将からの「行ってらっしゃいませ」の声に背中を押される。笠置そばはチェーンではあるが、店舗数は都内に数店舗、それぞれ特徴や雰囲気も異なっている。追って別の笠置そばもご紹介していきたい。

著者:高山洋介

1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に銭湯を紹介する同人誌『東京銭湯』『三重銭湯』『尼崎銭湯』などをこれまでに制作