今回の一杯は、新宿駅より。相変わらず複雑な構造をしていて巷では"ダンジョン"などとも呼ばれているが、新宿駅は東口・西口・南口で景色がガラリと変わるので、どちらかと言えばわかりやすい方だと思っている。
「梅もと」は西口、小田急エースの北館にある立ち食いそば店である。小田急エースは大まかに北館と南館があり、北館はJR新宿駅の西口を出て、ロータリーを正面に見た時の右手側にある。南館は左手側。ちなみにこの北館の近くには丸ノ内線の乗り場、南館は都営線や京王新線の乗り場方面なので「小田急」の名前を頼って歩き回るとまずたどり着かないので注意。
メニューは正統派! 交通系ICカード決済にも対応
店舗は立ち食いそば店としては中規模か。立ち食いスペースとカウンター席両方あり、30席以上はあるかと思う。「梅もと」は都内を中心に展開するチェーン店であり、そのロゴもよく見かけた気がするので後日調べてみると、直営店が都内に店舗(ほか千葉県に1店舗、神奈川県に1店舗)だった。意外にも少なかったが、会社はなんと明治9年に創業している。この新宿西口店も開店してから50年を越えているのだとか。
入口の両側に券売機があり。どちらも交通系ICカード決済可。メニューは実に正統派のラインナップで、かき揚げ天やいか天、たぬき、きつねなど(もちろん温・冷)。丼物のセットメニューやラーメンもあるが、タネとして奇をてらうようなものはあまり見られない。こういう時はチョイスに苦しむ。悩んだ末、選んだのは「海老天(2本)そば」(490円)であった。
毎日食べても飽きないマジメな一杯
店内に入ってすぐ左が厨房。トレーが並んだ向こうから「おそばですか? 」と聞かれ、こちらで食券を渡す。そばは流れ作業で次々に仕上がる。蛇口のような所からツユが自動で注がれるのも面白い。30秒程で完成。まさにファストフードだ。14時頃だったが、店内は10人以上の客で賑わっていた。
ご覧の通り、マジメなルックスの一杯。海老天は思ったより存在感がある。早速こちらから一口頂くと、さすが天ぷら界のエースだけある。しっとりツユを吸った衣と海老の甘みがよく合う。この価格で2本なので、もちろん大きくて太い海老、というわけにはいかないが、"海老天そばを食べたい欲"はちゃんと満たしてくれる。濃すぎず薄すぎずのダシもいい。
確かに美味いが、インパクトを残す味ではない。主張しすぎない麺とツユ。だからこそ毎日食べても飽きず、この東京の中心・新宿で半世紀以上も働く大人の胃を満たしてきたのであろう。これからの50年も変わることのない味を期待したい。