前回に続き、府中市の京王線「分倍河原」駅である。駅改札の目の前に見える青い壁のそば店「山長そば」。「立ち喰い」「そば・うどん」の提灯と「そば&カレー」の看板が、実にわかりやすい。入口上の札には「牛すじカレー」「牛焼肉丼」「豚キムチ丼」など、食欲に火をつける献立が盛りだくさん。「静岡茶そば」もあるようで、真向かいの「Always SO-BA」で鶏蕎麦を食したばかりだったが、思わずはしごを決めてしまった。

  • サッパリ旨辛味の「温玉辛子高菜そば」を注文

    「温玉辛子高菜そば」(450円)

そばもさることながらカレーもイチオシ!?

券売機が外にあるので、こちらで詳しく物色。上から、カレー、続いて丼物、そばのメニューが並ぶ。カレーに相当自信があるということだろうか……残念だが立ち食いそばの連載だし、既につけそばを完食してきているので、そばの中から選ぶことにしよう。外に出ていた茶そばはもちろん、たぬき、きつね、わかめ、月見のいつものメンバーから、ねぎ肉、鶏そばやコロッケなど食べごたえのありそうなものまで。中で目についたのは「温玉辛子高菜そば」(450円)だ。辛子高菜とは珍しい。こちらを購入して中へ。

  • 京王線「分倍河原」駅改札の目の前に見える青い壁が目印

店内はオールスタンディングでこぢんまりと。正面厨房カウンターと右手側にもカウンターがあり、5~6人のキャパだろうか。相客は一人で、上に取り付けられたテレビを見ながらカレーをつついていた(羨ましい!)。「そばで」とコールしつつ、食券を出す。

ダシはサッパリ、辛子高菜の旨辛味

そばは1分足らずで到着。辛子高菜に色味がないので、写真映りはいささか地味になった。パット見て気づくのが、麺の白さ。うどんやそうめんとまではいかないが、なかなか色白の美人さんで、辛子高菜やわかめとのコントラストが面白い。早速頂いてみると、サッパリ透明感のあるダシに辛子高菜のガツンとした旨辛味。麺にクセや主張はなく、高菜と食べれば辛いそば、ツユとわかめで食べればスッキリと、色々と表情を変えてくれる。ネギの歯ざわりもさることながら、温玉もいい。生玉子を落とした月見もいいが、あちらはどうも潰すタイミングが難しい。その点、温玉は一口頂いてもある程度形を維持してくれるので、自分のペースで食べ進めることができる。

正直なところ、この店はカレーがメインでそばはサブメニューなのかもと思ったが、全くの杞憂。そばでこれだけなら、看板メニューの味はいかに……。これは分倍河原、再訪せねばなるまい。

筆者プロフィール: 高山 洋介(たかやま ようすけ)

1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に銭湯を紹介する同人誌『東京銭湯』『三重銭湯』『尼崎銭湯』などをこれまでに制作。