財務省、MBA留学、マッキンゼーを経て、2015年にスタートアップ企業・ウェルスナビを立ち上げた柴山和久さん。お金にまつわる独自のキャリアを生かしながら、現在は、資産を自動運用するサービス、ロボアドバイザー「WealthNavi(ウェルスナビ)」の提供を通じて、誰でも手軽に資産形成ができる世の中を作ることにチャレンジしています。

Q. これから投資をしようと思っています。手元にある自己資金のうち、どれくらいを資産運用にまわすのがよいでしょうか。 (30代・女性・専門職)

■ 柴山和久さんの回答

ご質問ありがとうございます。手元にある自己資金のうち、どれくらいを投資にまわしたらよいかわからないというお悩みですね。

今回は、投資にいくらまわすか決めるときに役立つ考え方をご紹介します。

ご自身のお金を以下のように3つに分けて、そこからどれくらいを投資にまわせるか考えてみましょう。

・近いうちに使うお金
・予想外の出来事に備えるお金(生活防衛資金)
・将来のためのお金(余裕資金)

「近いうちに使うお金」は、家賃や食費などの生活費といったお金です。一般的には、2~3カ月分の生活費を見積もっておくのがいいでしょう。住宅を買うことが決まっていればその頭金など、すでに使うことが決まっているお金もここに入ります。

「予想外の出来事に備えるお金(生活防衛資金)」については、考え方はさまざまですが、かなり多めに見積もっている方が多いような印象を持っています。保険に入っているなら、万一のケースにはある程度備えられていると言えるでしょう。

そして今回注目したいのは、「将来のためのお金(余裕資金)」です。これが資産運用の元手になるお金です。何気なく積み立てている定期預金や、いつの間にか増えていた普通預金の一部は、「将来のためのお金(余裕資金)」と言えるでしょう。

さて、お金を3つに分けて、資産運用を始める際に、特に気を付けたいポイントがあります。

それは、原則として「『将来のためのお金(余裕資金)』の中で資産運用をする」ということです。特に、資産運用や投資を始めてすぐにうまくいった場合に、余裕資金を超えて投資につぎ込んでしまうケースがあります。さらには、借金をしてまで投資にのめり込むというケースも耳にしたことがあるのではないでしょうか。「投資が怖い」という印象があるとすれば、こうした経験談からきているのかもしれません。

また、将来に備えて資産形成するときには、「長期・積立・分散」の資産運用が有効です。詳しくは以前のコラム「投資は怖い? フィンテック起業家に聞いてみた」をご覧ください。


執筆者プロフィール : 柴山 和久(しばやま かずひさ)

「誰もが安心して手軽に利用できる次世代の金融インフラを築きたい」という想いから、プログラミングをイチから学び、2015年4月にウェルスナビ株式会社を設立。16年7月に世界水準の資産運用を自動化したロボアドバイザー「WealthNavi」、17年5月におつりで資産運用アプリ「マメタス」をリリース。
起業前には、日英の財務省で約10年勤務、その後マッキンゼー・アンド・カンパニーに勤め、ウォール街に本拠を置く10兆円規模の機関投資家を1年半サポート。東京大学法学部、ハーバード・ロースクール、INSEAD卒業。
著書に『元財務官僚が5つの失敗をしてたどり着いた これからの投資の思考法』。

元財務官僚が5つの失敗をしてたどり着いた これからの投資の思考法

なぜ資産運用に尻込みしてしまうのか、どこでつまずいているのか、どんな勘違いがあるのか――。2年間で約80回の資産運用セミナーを開き、参加者から募った「1000の質問」のエッセンスを詰め込んだ1冊。「資産運用」初心者の疑問を解決する。


柴山和久 著
定価:1,500円(税別)
発行年月:2018年11月15日