財務省、MBA留学、マッキンゼーを経て、2015年にスタートアップ企業・ウェルスナビを立ち上げた柴山和久さん。お金にまつわる独自のキャリアを生かしながら、現在は、資産を自動運用するサービス、ロボアドバイザー「WealthNavi(ウェルスナビ)」の提供を通じて、誰でも手軽に資産形成ができる世の中を作ることにチャレンジしています。

  • 有名企業に投資したのに失敗したのはなぜ? フィンテック起業家に聞いてみた

Q. 20代の公務員です。趣味と実益を兼ねて株式投資をしていますが、ことごとく失敗しています。名前を聞いたことのある企業をよく調べて投資しましたが、相場が5%ほどしか下がっていないときに、私が選んだ企業の株価は20%も下がりました。失敗ばかりで鬱々としています。 (20代・男性・公務員)

■ 柴山和久さんの回答

今回の連載は、いわば<番外編>です。相談者は過去の私自身です。

このたび、『元財務官僚が5つの失敗をしてたどり着いた これからの投資の思考法』というタイトルの書籍を出版しました。本のタイトルに寄せ、20代だった頃の私が本連載に相談を投稿したとすればこんな内容だったのではないだろうかと想像し、その相談に回答することにしました。

私がかつて投資に失敗した理由は、「名前を聞いたことのある企業」にばかり投資したからです。

誰もが名前を知っているような有名企業には、個人投資家による投資も集中しがちです。「買いたい」という人が多くなると、需給バランスが崩れ、企業が持っている実力以上に株価が上がることもあります。

しかも、有名だからという理由で株を買うときほど、株価が上がり続けているタイミングであることが多いのです。

その後のリターンがマイナスになりやすいので、短期的な損失に耐え切れず、安値のときに売ってしまう可能性も高くなります。実際、私は株価が天井のときに買い、その後に怖くなって底値で売ってしまいました。

株式投資をすること自体はいいのですが、「長期的な視点で投資する覚悟があるかどうか」を自分に問うてから買うことをおすすめします。

また、そもそも資産運用の王道は、以前のコラムでもお伝えしたとおり「長期・積立・分散」です。
安定的に資産を育てていきたいなら、世界中のさまざまな金融商品に分散投資をすることで、いわば世界経済全体に投資をするべきなのです。

個別株に投資したければ、「コア・サテライト運用」の考え方をベースにすることです。コアは「長期・積立・分散」の資産運用、サテライトは個別株やテーマ投信などの短期投資が中心です。長い目で安定的に資産運用をするには、資産全体の少なくとも7~8割をコアとし、サテライトは2~3割以下に抑えます。

コアの「長期・積立・分散」をしっかり作り上げたうえで、「この会社の株が上がるのでは」「この企業を応援したい」といった考えで株式投資をするのがいいでしょう。そうすれば、個別株が値上がりすれば全体のリターンが上積みされますし、失敗したとしても全体に占める損失は限定的で済みます。


執筆者プロフィール : 柴山 和久(しばやま かずひさ)

「誰もが安心して手軽に利用できる次世代の金融インフラを築きたい」という想いから、プログラミングをイチから学び、2015年4月にウェルスナビ株式会社を設立。16年7月に世界水準の資産運用を自動化したロボアドバイザー「WealthNavi」、17年5月におつりで資産運用アプリ「マメタス」をリリース。
起業前には、日英の財務省で約10年勤務、その後マッキンゼー・アンド・カンパニーに勤め、ウォール街に本拠を置く10兆円規模の機関投資家を1年半サポート。東京大学法学部、ハーバード・ロースクール、INSEAD卒業。
著書に『元財務官僚が5つの失敗をしてたどり着いた これからの投資の思考法』。