今日のひとっ風呂は、品川区大崎の「金春湯」に決めた。3歳の子どもを連れて友人宅に遊びに行った帰り、近くのこの銭湯が「子連れにも優しいよ」と聞いていたからである。「金春湯」とは珍しい名前だが、数年前に紹介した銀座の「金春湯」をはじめ、都内に4軒あり、調べた限り他の県では見られない屋号だ。

  • 「金春湯」へは、JR「大崎」駅/東急池上線「大崎広小路」駅/都営浅草線「戸越」駅から徒歩7~8分

    「金春湯」へは、JR「大崎」駅/東急池上線「大崎広小路」駅/都営浅草線「戸越」駅から徒歩7~8分

休憩スペースには絵本の本棚も

つい半年ほど前まで、同じ品川区中延にもうひとつ「金春湯」があったが、残念ながらそちらは廃業してしまった。閑話休題。こちらの「金春湯」は、公式ホームページによると創業は昭和25(1950)年。アクセスはJR「大崎」駅、東急池上線「大崎広小路」駅、都営浅草線「戸越」駅の3駅利用可。どの駅からも徒歩7~8分程度、百反坂と呼ばれる通り沿いにある。

少しの階段を上がった先が入り口。のれんをくぐって、手前に板鍵の下足箱がある。中に入ると、左手に畳敷きのゆったりとした休憩スペースが。こちらにはマッサージチェアやドリンクケース、テレビなどの他、絵本が並んだ本棚もある。湯上がりはこちらで一休みしようと決めつつ、フロントで入浴料を支払う。男湯は左、女湯は右に進むが、脱衣所へはのれんをくぐりさらに引き戸を開ける二重構造になっている。

ロッカーは境目、壁側、背側に3面分。その上には角型の脱衣カゴもいくつか積まれていた。境目側に洗面台が2基とコインドライヤー。中央には腰掛けがある。ほか、デジタル体重計など。訪れたのは土曜日16時頃で、カランは9割方埋まるほどの人出だったが、比較的広々とした脱衣所のため、窮屈さはあまり感じられなかった。

幼児にもぴったりな湯加減な浅風呂も

男湯のイメージ(S=シャワー)

男湯のイメージ(S=シャワー)

浴室は、男女境目側にカラン、壁側に浴槽が並ぶレイアウト。「ゆ」のロゴが入った黄色い桶。ボディソープ、リンスインシャンプーの備えあり。ペンキ絵などの装飾は特になし。

湯は奥と中央に浅風呂がふたつ。中央のにはジェットバスが2基ついている。それに加え、水風呂と、別料金でサウナがある。浅風呂の温度はちょうど42度くらいだろうか。ぬるめで、3歳児も余裕で立てる浅さなので、なるほど子どもに優しい。浴槽の底には丸石が敷いたようになっていて、ツブツブが気持ちいい。もしかしたら滑り止めにも一役買っているかもしれない。

湯上がりは畳でヨーグルトドリンクで一休み。大崎の金春湯は、派手な装飾があったり湯の種類がたくさんあったりするわけではないけれど、どこかホッとする居心地の良さがある銭湯だ。それはにぎわう地元客の数が裏付けしている。

また、ホームページには「乳幼児も入れますよ」の心強い言葉。金春湯のお子さんはなんと1歳から入っているらしい。電車のアクセスもいいので、子どもとの散歩コースに組み込んでみるのもいいかもしれない。

※イメージ図は筆者の調査に基づくもので正確なものではございません

筆者プロフィール: 高山 洋介(たかやま ようすけ)

1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に銭湯を紹介する同人誌『東京銭湯』『三重銭湯』『尼崎銭湯』などをこれまでに制作。