連載『「老後破産」を回避せよ! - アラサーから始めるマネー対策』では、FPの馬養雅子氏が、貧困により老後の生活が破綻する「老後破産」をどのように回避すればよいのか、アラサーのうちからできる対策法をご紹介します。
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「老後破産」を避けるために必要なのは、支出をコントロールして計画的にお金を貯めること。反対に、絶対にしてはいけないのは"借金"です。

お金を借りると、それを返済することが最優先となるので、返済している間はお金が貯められません。それだけでなく、一度お金を借りると、それを返すためにまたお金を借りるということにもなりかねず、そうした負のスパイラルにおちいると「老後破産」どころか、それ以前に破産してしまう可能性もあります。

住宅ローン以外の借金はしないこと

とはいえ、マイホームは金額が大きく現金一括払いで買うのは難しいので、住宅ローンを借りないわけにはいきません。なので、住宅ローン以外の借金はしない、というのが鉄則です。

例えば車やバイクをローンで買う人もいますが、やはり望ましいのは現金一括払いです。「ローンの返済をしながら貯蓄もするからOKでしょ」と思うかもしれませんが、ローンの利息は預金の利息よりずっと高いので、バケツに水を溜めているつもりが、底に穴があいていて少しずつ水が漏れているようなもの。金利の差は確実に負担となります。

「借金」は絶対にしてはいけない

クレジットカードは「一括払い」か「ボーナス払い」のみ

今の世の中はとてもお金が借りやすくなっていて、「お金を借りる」ということを意識せずに気軽に借金できる方法があります。

その1つがクレジットカードのキャッシング。クレジットカードを使って、銀行やコンビニのATMからお金を引き出すことができる仕組みです。といってもそれは自分のお金ではなくカード会社や消費者金融会社からの借り入れなので、返済しなければならないし、利息もつきます。

もう1つはリボルビング払い。クレジットカードの利用代金を毎月一定額額支払っていく仕組みです。

通常、クレジットカードの利用代金は翌月あるいは翌々月に銀行口座から引き落とされます。買い物額が違えば、返済額も毎月違いますよね。

それに対してリボルビング払いは、例えば毎月の支払額を2万円に設定にすると、ある月のカード利用額が3万円だったとしても、翌月あるは翌々月に銀行口座から引き落とされるのは2万円。残りの1万円の返済はそれ以降に繰り越されます。繰り越された部分はカード会社から借り入れたことになり手数料(利息)がかかります。さらに、カードの利用額が毎月の支払額を上回る状態が続くと、いつまでたっても支払いが終わらず利息を払い続けることになってしまいます。

クレジットカードで買い物をしただけのつもりが、実はお金を借りていた、というわけで、リボルビング払いは「隠れ借金」といえるかもしれません。クレジットカードを利用するときは、手数料のかからない一括払いかボーナス払いだけにしましょう。

キャッシングやリボルビングは、いったん利用するとその返済に追われて貯金ができないだけでなく、利息の負担も生じます。今、銀行の預金金利は0.01%に満たず、住宅ローンの金利も2%前後。そんな中で、キャッシングやリボルビングの利率は何と15~18%! ものすごく高いということを知っておいてください。

支払いの先送り=コントロールができていない証拠

そもそも、キャッシングでお金を借りたりリボルビング払いで返済を先送りしたりする状況というのは、収入を上回る支出をしているということですから、それ自体が問題アリ。支出のコントロールができていないとすれば、それを見直す必要があります。

「欲しいものはお金を貯めて買う」というのが基本。それができずに、欲しいモノがあると借金までして買ってしまうという人は、「欲しい」と思ったときにその気持ちを抑える力をつけること、そして何かを買おうとしておサイフを開ける前に「これは自分にとって本当に必要か」を考えることを身につける努力が必要。それができないと、老後破産へまっしぐらです。

執筆者プロフィール : 馬養雅子(まがい まさこ)

ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、一級ファイナンシャルプランニング技能士。金融商品や資産運用などに関する記事を新聞・雑誌等に多数執筆しているほか、マネーに関する講演や個人向けコンサルティングを行っている。「図解 初めての人の株入門」(西東社)、「キチンとわかる外国為替と外貨取引」(TAC出版)、『明日が心配になったら読むお金の話』(中経出版)など著書多数。オフィシャルホームページ「あなたのお金のアドバイザー」。