今回は自転車のペダルに注目したいと思います。ママチャリからほとんどのノーマル自転車には、普通の靴で乗ることができるフラットペダル(略称「フラペ」)がセットされています。

しかし、ロードバイクを購入すると「フラペ」ではなく、「ビンディングペダル」をセットしたくなるんです。どうですか、カッコイイですよね。このペダルをつけて、かっこよくロードバイクで走行するのが初心者の時の夢なんです。ビンディングペダルには、専用のシューズで乗るのですが、ペダルとシューズが固定されることで、ペダリングがスムーズになる利点があります。

  • ビンディングペダル

  • シューズと一体化するとこんな感じになります

ロードバイク初心者から上級者になると、ビンディングペダルを選択する理由も以下のような順番で変わってくると思います。

  • 1 見た目のかっこ良さ(ロードバイク乗っていてフラペだと邪道に見られる)
  • 2 人馬一体感(人→自分・馬→ロードバイク)
  • 3 ペダリングが安定するため、ロングライドで疲労しない
  • 4 パワー伝達効率を向上させて、より速く走りたい

私も最初から、ビンディングペダルを選び、カタチから入りました。しかし、そこである事件が起こるのです。それは、ビンディングペダルにした人が誰でも経験する「立ちゴケ」というものです。立ちゴケは、その名の通り自転車に乗ったまま、ペダルからシューズが外れず、コケてしまうことです。実はこの立ちゴケ、ビンディングペダルを付けて初めて乗った時だけではなく、「慣れてきた時」にこそよくやってしまうんです。そろそろ大丈夫、俺ならコケるはずがない。という"慣れ"が引き起こす"思い込み"や"油断"が立ちゴケを発生させるのです。

実際私は、東京都心を走っていたため交通量の多い交差点で立ちゴケをしてしまい、さらに歩道側ではなく路上側に倒れてしまったため、交差点に侵入してきた車にひかれそうになるという怖い思いをした経験があります。

つまり今回お伝えしたいのは"慣れ"が生み出す"思い込み"や"油断"という「過信」が、大きな事故を招くということです。この"過信"は、ビジネスシーンでも事故やトラブルを引き起こす要因となり得ます。例えば仕事に慣れてきた3年目当たりで、顧客から大きな取引の失注をしてしまうこともあります。

それは、もう自分ひとりでもやれるという"過信"が、顧客を軽視した提案になってしまったり、ヒアリングが不足し、提案のポイントを外してしまうといったことです。また初めての取引のお客様であれば、しっかりとフォローしようという意識が働きますが、慣れてきたお客様には「もう大丈夫」という気持ちが働き、フォロー不足や不適切な対応となり、大きなクレームとなり、顧客との関係解消といったものに発展してしまうケースもあります。

ビンディングペダルでの立ちゴケも、一瞬の慢心が車との接触や人との接触を招き、自分自身が怪我をするだけではなく、命を落としてしまったり、周りの方に重大な怪我をさせてしまう可能性もあるのです。

だからこそ一流のビジネスパーソンは、「慣れてきた時ほど、慎重に、原点に返る」ことを意識するものです。もし、今の自分が「もう大丈夫」と思ってしまうシーンがあるようならば、一流のビジネスパーソンは、このような精神でビジネスに臨んでいる事を思い出し、意識と行動を変えてみて欲しいと思います。

執筆:染谷剛史(そめや たけし)

ナレッジ・マーチャントワークス 代表取締役社長
1976年、茨城県生まれ。1998年、リクルートグループ入社。中途・アルバイト・パート領域の求人広告営業に従事。新人賞を受賞。マーケットプロデュース部門に異動し、WEB・モバイル系新商品開発に従事。2001年、株式会社デジットブレーン入社。副編集長、広告局マネジャー。大手ホテルやハウスウェディングのPRコンサルティングに従事。2003年、株式会社リンクアンドモチベーション入社(東証一部上場)。大手小売・外食・ホテルといったサービス業の採用・組織変革コンサルティングに従事。2012年には同社執行役員に就任。

以後も新規事業開発(グローバル事業立ち上げ、健康経営部門の立ち上げ)を経て、サービス業に特化した組織人事コンサルティングカンパニー長を担う。2017年、ナレッジ・マーチャントワークス株式会社を設立し、代表取締役に就任。多店舗展開型企業の経営・組織変革を目的にサービス産業に特化したシフトワーカーマネジメントアプリ「はたLuck」の開発を行う。

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