春には育児休業から復帰される方も多いのではないでしょうか? 慣れない育児をしながらの久しぶりの職場復帰は楽しみな反面、忙しさも増すでしょう。

いざ職場に復帰してから慌てないためにも、今からできる準備はしておきたいですね。今回は、特に大切なお金の手続きについてお伝えします。

  • 育休復帰後に忘れがちなお金の手続き※画像はイメージ

復職後に給料が減る場合、2つの手続きを忘れずに

育児休業を終えて職場に復帰する場合、多くの方が短時間勤務(時短勤務)制度を利用することになると思います。

短時間勤務制度とは「3歳未満の子を育てていること」を条件に、1日6時間まで勤務時間を短縮することができる制度で、派遣社員やパートタイマーでも、「会社に1年以上雇用されていて、週に3日以上の所定労働日がある場合」、利用可能です。

また、フルタイム勤務で復帰しても、残業ができないことで、産前に比べて給料が減る方はいらっしゃるでしょう。

これらのケースに該当する場合、「社会保険料を減額するための手続き」と「年金の支給額を減らさないための手続き」を忘れないようにしましょう。

「産前産後休業・育児休業等終了改定」で社会保険料の減額を

毎月の給料から天引きされている厚生年金保険料は、『標準報酬月額』に保険料率をかけて計算します。そのため計算上は、給料が減れば、支払う保険料額も減るはずです。

しかし、復職後に給料が減ったとしても、何も手続きをしないままでいると、『産休前の給料をもとにした標準報酬月額』が適用されてしまうのです。

そこで、「産前産後休業・育児休業等終了改定」という手続きを忘れないようにしましょう。申し出ることで、『育児休業の終了日の翌日の属する月から3カ月間の給料をもとにした標準報酬月額』が適用されるので、産休前と比較すると、社会保険料が減額されます。

「養育特例」を利用して年金額は維持しよう

ここで気になるのが、「社会保険料が減ると将来もらえる年金額も減るの?」ということでしょう。

これについては、厚生年金保険加入者を対象とする「養育特例」を利用することで、子どもが3歳になるまで、給料から天引きされる保険料は下がったまま、将来の年金額は産休前の標準報酬月額で計算してもらえます。つまり、年金額は減らすことなく、維持できるのです。

この制度を利用するためには、被保険者が職場を通じて「厚生年金保険養育機関標準報酬月額特例申出書」を日本年金機構へ提出する必要があります。

必要な添付書類は「戸籍謄(抄)本または戸籍記載事項証明書」と「住民票」です。職場復帰するとなかなか書類を取りに行く時間がないかもしれません。育休が終わる前に必要な書類を準備しておくと安心ですね。

配偶者控除も忘れずに

世帯主の年収が1,120万円以下の場合、配偶者の年収が150万円以下なら配偶者控除の対象に、201万5,999円以下なら配偶者特別控除の対象になります。

共働きで働いていたら今まで配偶者控除を利用したことがないという人も多いのではないでしょうか。でも、産休・育休を取った年は夫の配偶者控除を利用できる場合があります。

産休中や育休中にもらえる出産手当金や出産育児一時金、育児休業給付金は、給与所得ではなく非課税です。つまり、職場復帰をしてからの給与が201万5,999円以下であれば配偶者控除または配偶者特別控除の対象になります。

今、育休中で今年職場復帰を考えているという人は、年末の給与額が配偶者控除の対象になるかどうか確認してみましょう。

配偶者控除の手続きは、夫の勤務先の年末調整で、所定の書類を提出して完了します。

子どもが生まれると今まで以上にお金がかかります。

お金の面で少しでもおトクになる制度は忘れずに利用して、育児と仕事を両立させていってくださいね。

安部智香

女性のためのお金の総合クリニック「エフピーウーマン」認定ライター 安部智香ファイナンシャルプランニングオフィス代表、 ファイナンシャルプランニング技能士2級、AFP(日本FP協会認定)、一種外務員資格 短大卒業後、証券会社に勤務。在職中は資産運用のアドバイスを担当。結婚退職後は、証券会社在職中に得た知識を活かし投資による資産形成を行っていたが、周りの主婦の大半は投資の方法を知らないことに気付く。そのため、「もっとお金のこと、家計のこと、資産運用のことを伝えたい」という思いで個人事務所を立ち上げる。個別相談、執筆業務、マネーセミナー講師として活動中。著書は「幸せなお金持ちになるマネーレッスン♪」(パブラボ)
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