毎月の給与と別にもらえるボーナスは、なんだか得した気分になって嬉しいものですよね。しかし、子育てなどを理由に時短勤務をしている場合は、ボーナスがもらえるのか、またはもらえるとしてもどの程度支給されるのか気になるところです。他の人より勤務時間が短い分、ボーナスにはどのような影響があるのでしょうか? 今回は、時短勤務している場合のボーナスについて解説していきます。

  • 時短勤務だとどのくらいボーナスが減る? 査定期間と育休期間にも要注意

    時短勤務だとどのくらいボーナスが減る?

時短勤務中の給与はどうなる?

時短勤務とは、「短時間勤務制度」を略したもので、「改正育児・介護休業法」という法律によって定められている制度です。時短勤務で働いている場合、一日の労働時間は原則6時間(1日5時間45分から6時間の間で設定)となります。

「1年以上雇用されている」「3歳に満たない子どもを育てている」などの条件に当てはまれば、正社員だけでなくパートや派遣社員として働く人もこの制度の対象者になる可能性があります。ちなみに、配偶者が専業主婦(夫)の場合でも、時短勤務は可能です。

子どもが小さいうちはフルタイムで働くことが難しいため、育休から復帰した直後に時短勤務できるのはありがたいですよね。時短勤務ができるからこそ、「子育てと仕事をなんとか両立できる」という人も多いのではないでしょうか。

しかし時短勤務中は、短縮された分の給与は減ってしまうのが一般的です。時短勤務であることを理由に、労働者にとって不利益な計算で給料を支給することは「育児休業法」で禁じているものの、働いていない時間分の減額は不利益とはみなされないためです。時短勤務は短い時間で働ける分、いつもより手取りが減ってしまうことを覚えておきましょう。

ボーナスの査定期間、査定基準とは

では、時短勤務中のボーナスの扱いはどのようになるのでしょうか。その前に、ボーナスの基本である「査定期間」「査定基準」について確認してみましょう。

多くの企業では、夏は6~7月、冬は12月の年2回ボーナスが支給されます。この年2回のボーナスを支給するためには、勤務態度などを査定する必要があり、その評価の対象になる期間が「査定期間」です。ボーナスの査定期間は、7月支給分が10月~3月、12月支給分が4月~9月となっている場合が多いです。

また、ボーナスの査定基準は大きく分けると3つあり、勤務態度、勤務状況、営業成績(業務に対する貢献度)が挙げられます。このほかにも、ボーナスの金額を決めるためには会社の業績も加味されますが、社員を査定する時にはこの3大ポイントを確認します。つまり、ボーナスとは会社員の通知表のようなもので、どれだけ頑張ったかが数字(お金)で評価されるわけです。

育休期間が査定期間と被っていたら?

ボーナスを支給するにあたり社員を評価する期間が「査定期間」ということでしたが、それでは、育休期間がボーナスの査定期間と被っていた場合はどうなるのでしょうか。

そもそも、育休の取得は、法律で定められた働く人の権利です。育休中は通常の給与は支給されませんが、それに代わり雇用保険から支給されるのが「育児休業給付金」です。

子どもが満1歳まで(該当する要件があれば2歳まで延長できる)給付され、最初の半年は給与×67%、後半の半年は給与×50%が支給されます。この給付金が雇用保険から出ることで、会社としても人件費を節約できています。さらに、その給付金によって社員をつなぎとめることもできているのです。

しかしボーナスの場合は、査定基準の一つでもある「勤務状況」が考慮されます。ボーナスの査定期間が丸々育休期間と被った場合、育休明けのボーナスは、ほぼ期待できないと思っておいた方が良いでしょう。

ただし、ボーナスは出なくても、会社の就業規則などで「見舞金」「祝い金」を定めている場合、第一子となるとかなり高額の金額を支給している企業もあります。相場は、3万円から30万というところも。これは、企業によって異なりますから、自分の勤める会社の就業規則を確認してみてください。ちなみに、この見舞金等は社会保険料控除の対象外となります(健康、年金、雇用、介護保険料がかかりません)。

時短勤務中にボーナスが出るケース

時短勤務だとどのくらいボーナスが減る? 査定期間と育休期間にも要注意

少しでも査定期間に就業していればもらえるケースも

このように、査定期間の全てが育休と重なった場合、復帰してすぐのボーナスは望めない可能性が高いと言えます。しかし、時短勤務中にボーナスが出るケースはあります。育休を取得する権利は法律で定められているのですが、ボーナスの支給は労働基準法などに定めがなく、企業ごとの取り決めによります。つまり、就業規則に時短勤務中のボーナスについて決まりがあれば、その通りに支給されるのです。

たとえば、「査定期間中に数日でも出社していれば支給対象になる」とあれば、育休から復帰後の時短勤務中でもボーナスがもらえます。9月の途中に復帰したとしたら、9月には数日しか働いていなくても、12月のボーナスは支給されるということです。「査定期間の4月から9月に就業していた」という扱いになるからですね。

ただし、査定期間中に出社していなかった分は減額されるのが一般的です。「査定期間の〇分の〇以上出社していること」がボーナス支給の要件に定められていることもあります。ちなみに、査定期間中に出社はしていたものの時短勤務だった場合は、短くなった労働時間の割合を減額してボーナスが支給されるところが多いようです。

どの程度減額されるかについては、就業規則に取り決めがあれば、計算式が定められているはずです。時短勤務中のボーナスがどのくらい減るのかは、この計算式をしっかりチェックしてみましょう。

時短勤務中のボーナスについては、一律に決まりがあるわけではありません。会社によってさまざまな取り決めがありますので、就業規則を確認するとともに、会社の総務・人事担当とも休業に入るタイミングなどをしっかり相談しておきましょう。

武藤貴子

ファイナンシャル・プランナー(AFP)、ネット起業コンサルタント

会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやマネーコラムの執筆を展開。独立後はネット起業のコンサルティングを行うとともに、執筆や個人マネー相談を中心に活動中。