色とりどりのグミは見ていても楽しい。でも、その正体って?

独特の歯ごたえで、なめると溶けるキャンディーのようで、ゼリーのようでもないお菓子・グミ。「あの食感がいい! 」という人も多いでしょうし、キャンディーやガムと並んで支持を集めている代表的なお菓子の一つといってもいいのではないでしょうか。では、あのグミは一体どのように作られているのでしょうか。

ドイツ語でゴムを意味する「グミ」が語源

グミの呼び名は、ドイツ語で「ゴム」を意味するグミに由来しています。英語でもグミキャンディーと呼びます(Gummi candy)。発祥もドイツで、資源の乏しかった時代のドイツが子供の咀嚼(そしゃく)強化のために開発したものが最初と言われています。

日本のグミは、口の中で2~3回もかめばバラバラになるかと思います。一方、本場ドイツのグミは、今もビーフジャーキーのようなかみ応えで、中には差し歯が取れたり、虫歯治療のクラウン(かぶせ物)が割れたりといったこともあるそうです。

あめやガムにくらべて歴史は浅く、発明されたのは1920年とされていますが、日本での普及は80年代です。それまでは「子供向け菓子」という商品位置づけで、本家ドイツでは先述のように咀嚼(そしゃく)強化の健康菓子でした。ただ、日本では明治製菓の「果汁グミ」のヒットから「日本のグミ文化」がスタートしているため、柔らかいグミが大半なのです。

成分はゼラチン

それでは肝心のグミの正体はといえば……意外かもしれませんが、普通のゼラチンです。「水分量を極端に減らしたゼリー」とイメージしていただければ、分かりやすいのではないでしょうか。普通のゼリーは50%以上が水分ですが、対するグミの水分量は1.5~2%程度です。

さてそうなると、実は不思議なことが判明してきます。「果汁入りグミ」と言われている製品は、パッケージに「果汁30%」、もしくは「果汁50%含有」などと書いてあることに気づいたことがある人もいるでしょう。

「果汁●●%」のカラクリ

実はこのグミの中の果汁は、濃縮還元果汁などを材料として使っています。そのため、実際は「濃縮還元果汁に水を足して戻したときに●●%の果汁になります」ということを「果汁●●%」などの表示は意味しているのです。その結果、100g中で果汁の量はわずか1.5gとなります。グミのほとんどがゼラチンと砂糖で、さらに濃縮還元果汁は香りや風味がストレートに比べて失われているので、酸味料や香料で回復させなければいけません。

その結果、100g中で1.5gという果汁とほぼ同量の調整剤(添加物)で味が作られるということになります。「果汁が含まれている」というには、かなり微妙な感じの製品といえます。もちろん果汁が含まれていると風味が増すのは間違いないので、別に良いと言えば良いのですが、なにか釈然としません(笑)。

選ぶならキシリトールグミ

さて、日本のグミにも健康志向商品が出てきています。その中でも特に「キシリトール入り」ではなく、「キシリトール100%」のグミがお勧めです。中には本場ほどではないものの、かなりの硬さがあり、かつキシリトール効果(虫歯菌を弱らせる)もあるという健康に良い商品もじわじわと出現しつつあります。カロリーも低いので間食にも向いています。うまく使えば、仕事中の間食でおいしくデンタルケアもできますよ。

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筆者プロフィール : くられ

『アリエナイ理科ノ教科書』(三才ブックス、シリーズ累計15万部超)の著者。全国の理系を志す中高生から絶大な支持を得ており、講演なども多数展開している。近著に『ニセモノ食品の正体』(宝島社)がある。メールマガジン「アリエナイ科学メルマ」ツイッターなどで、日々に役立つ話を無料配信している。