フジテレビはこの4月に、BSを含めたすべての報道・ニュース番組のブランドを『プライムニュース』に統一する大改革を実施。深い取材と鋭角的な視点で、物事の本質に迫る"本格ニュース番組"を目指すもので、マイナビニュースでは、この新番組のキャスターにインタビューをしていく。

第1弾は、平日夕方の『プライムニュース イブニング』(4月2日スタート、毎週月~金曜16:50~19:00)に出演する倉田大誠アナウンサー、島田彩夏アナウンサー、反町理報道局解説委員長。放送スタート前に、予定されていたキャスターが出演を取りやめる事態となったが、3人にはそんな状況を感じさせない見事なチームワークが、すでにできていた。

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    (左から)島田彩夏アナ、倉田大誠アナ、反町理報道局解説委員長

まさかという心境でした

――まずは起用が決まった時の心境をお聞かせください。倉田さんは、メーンキャスターに就任予定だった登坂淳一氏が放送開始前に出演取りやめという事態を受けての起用となりましたので、プレッシャーもあるかと思いますが。

倉田:まさかという心境でした。今まで、情報番組でニュースを読んだことはありましたが、報道の仕事はほとんどやってきていないので、この年次からやるというのは驚きましたね。見ている方や作り手が、「あの人だったらこうだったろうな」という見方をされるかもしれないですけど、守るものは全くないので、マイナスからのスタートと思いながら頑張っていきたいと思います。

――現在『直撃LIVE グッディ!』で一緒にやられています、安藤優子さんは夕方ニュースの大先輩ですが、何かアドバイスはいただきましたか?

倉田:「大丈夫よ! 何かあったら相談して! 困ったら、飲みに行くわよ」って言われました(笑)。安藤さんって、筋書きがない形で2時間の生放送を突っ込んでいくんです。制作側が構成したスタート地点とゴール時点は守るんですけど、その中でいかに振り幅を持ってゴールに向かっていくかというところがあるんですよね。そういう現場は、非常に勉強になった『グッディ!』の3年間でした。

――島田さんは、今回の起用にあたっていかがでしたか?

島田:いま放送されている『みんなのニュース』を担当していて、番組が変わるので当然キャスターも交代するかなと思っていたんですが、新番組でもやることになったので、驚きがありました。会社のためにも、頑張ろうという気持ちです。

反町:正直だね(笑)

島田:2歳と3歳の男の子がいるんですけど、子育てをしながら夕方のニュース番組を担当させていただくのは、かなりチャレンジングなことでした。そのために、スタッフにも理解してもらい、ようやくリズムができてきました。後輩の女性アナウンサーにもこういったやり方もあるんだと示せたらという思いもあり、引き続きやっていこうと思っています。

――『みんなのニュース』の伊藤利尋アナから、何かアドバイスはありましたか?

島田:今日すっぴんで出社したら、「おまえ今日ブスだな」って言われたので、「伊藤さんも顔クシャクシャですよ」って言っておきました(笑)。それは冗談として、やっぱり私は育児や家事でいっぱいいっぱいになることが多くて、朝ご飯作って夕飯作って掃除やって洗濯して保育園送って…ってやってるから、仕事に全ての時間を割けず中途半端になっているのではないかという悩みを伊藤さんにボソボソって言ったら、「それはスタッフがフォローすべきであって、おまえは会社に来た時点から自分の実力を出し切れば良いんだから、そこは気に病む必要はないよ」と励ましてくれたんです。それでふっと楽になりました。

自分のハマりどころはまだ見えない

――反町さんは、一緒にタッグを組む人が変わってしまったという状況ですが。

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反町理
1964年生まれ、神奈川県出身。早稲田大学政治経済学部卒業、青山学院大学大学院国際政治学修士課程を修了。87年フジテレビジョンに入社し、報道局でカメラマンやワシントン特派員を務めたのち、政治部で首相官邸担当キャップ、政治部長を歴任。09年から『BSフジLIVE プライムニュース』メーンキャスター、17年7月から解説委員長、18年4月から『プライムニュース イブニング』メーンキャスターを担当。

反町:僕は隣の人との関係性ではなく、番組全体というものの中で自分の役割を考える方なので、意識というのは変わらないですよ。でも、僕は本当は出役じゃないですからねぇ(笑)。BSで9年キャスターやってて、いい加減もういいんじゃないの?って自問自答している時に、こういう状況になって、どうしたら良かんべかなっていう感じですよ。

――これまでBSの夜帯で硬派の報道番組をやってきた中で、これからは夕方という柔らかいネタも扱っていく時間帯です。

反町:BSの『プライムニュース』は2時間もあるので、言いたいことが言える代わりに痛いところもイジられるというある種の相互主義の覚悟を持って、僕も他の出演者も臨むという番組の特性があったんですけど、それを夕方の地上波でやるのは無理でしょう。じゃあなんで僕が夕方に来るのか。スタッフと喧々諤々打ち合わせしていますが、自分のハマりどころというのが、まだ見えないわけなんです。ただ、政局や朝鮮半島有事など、なにか大きな状況が起きたときに、数字が上がる番組になってほしい。今のBS『プライムニュース』はそういう傾向があるんですが、僕は報道番組としての1つの信頼度だと思うんですね。

――新番組では芸能ネタも扱うということですが、そこにはコメントしていくんですか?

反町:ちゃんとした自分のソースを持って物差しを提示できればいいけど、スポーツ新聞の表の情報の知識しかない人間がコメントする意味はないでしょうね。BSで9年やってきて思うのは、しゃべるというのはやっぱり怖いよね、自分の情報のなさをさらけ出すことにもなるから。その上で、あえて斬ってみせるという意味があるかというと、僕はないと思う。そんなにバッサリ斬れるほど、世の中シンプルじゃないんですよ。鳩山由紀夫さんの辺野古の基地移設での発言じゃないですけど、知れば知るほど言えなくなる部分というのは、芸能ネタにもあるはずですからね。